ジャパンダイジェスト

旅ールのすすめ - ビールに会いに旅に出よう

山片 重嘉コウゴ アヤコ 1978年東京生まれ。杏林大学保健学部卒業。ビール好きが高じて2008年から1年半、ミュンヘンで暮らす。旅とビールを組み合わせた“旅ール(タビール)をライフワークに世界各国の醸造所や酒場を旅する。ビアジャーナリストとして『ビール王国』(ワイン王国)、『ビールの図鑑』(マイナビ)、『Coralway』(日本トランスオーシャン機内誌)など、さまざまなメディアで執筆。 www.jbja.jp/archives/author/kogo

ブラウキルタで田舎のビール祭りを堪能

アイインガー醸造所は、ミュンヘンからSバーンで35分のアイインク村にある家族経営の醸造所だ。アイインクは麦畑や牧草地に囲まれた人口5800人ほどの小さな村で、村の中心部にある玉ねぎの形をした教会の尖塔やドイツ屈指の高さを誇るマイバウム(5月の木という意味で、街のシンボルとして立てられる装飾が施された柱)、建物を覆うツタや窓辺の花々が大変美しい。

この村で1年に1回、国内外からの観光客でにぎわう祭りが開催される。「Ayinger Bräu-Kirta」だ。Kirta(キルタ)は教会献堂祭などと訳されるドイツ語圏のお祭りで、市場や遊園地が立ち、ごちそうを食べて祝うのが伝統。地域によって習慣が異なり、KirchweihやKirmesなど、呼び方もさまざまだ。

アイインクでは、醸造所が主催するビール祭りの趣が強い。今年は10月10日(木)~14日(月)に開催予定。マイバウムの下で開かれる開会セレモニーを皮切りに、さまざまな催し物がスタートする。会場となるのは醸造所の敷地内とその周囲の畑。巨大ビールテントでは、ブラスバンドの演奏のなか、伝統衣装に身を包んだ人々がビールジョッキを手に歌って踊る。テントの周囲には食べ物の屋台や地元の職人による工芸品の販売所、ゲーム小屋などが並ぶ。

土曜日に開催される牛レースは祭りの目玉。声援だけでなく笑い声も多く湧き上がる。ミュンヘンのオクトーバーフェストと比較すると規模が小さく、提供されるビールもアイインガー醸造所のみだが、「伝統的な田舎の祭り」といった風で、アットホームな雰囲気。

この日のために特別に醸造されるビールが「Kirtabier」だ。赤褐色で無ろ過の伝統的メルツェンスタイル。ドライフルーツのような複雑な芳香と麦芽の甘みが口いっぱいに広がり、後からやって来るホップの苦みが心地良い。楽しい気分になり、つい杯を重ねてしまう。

www.ayinger.de

vol.93
Kirtabier

Kirtabier

 
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