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旅ールのすすめ - ビールに会いに旅に出よう

山片 重嘉コウゴ アヤコ 1978年東京生まれ。杏林大学保健学部卒業。ビール好きが高じて2008年から1年半、ミュンヘンで暮らす。旅とビールを組み合わせた“旅ール(タビール)をライフワークに世界各国の醸造所や酒場を旅する。ビアジャーナリストとして『ビール王国』(ワイン王国)、『ビールの図鑑』(マイナビ)、『Coralway』(日本トランスオーシャン機内誌)など、さまざまなメディアで執筆。 www.jbja.jp/archives/author/kogo

きらびやかなお味はザクセン王室御用達

ドイツの東側に位置する古都、ドレスデン。エルベ川の畔にバロック様式の壮麗な宮殿や教会、商館が並ぶ。第二次世界大戦末期の大空襲で街の85%が破壊されたが、東西統一を経て原型に忠実に再建された。ドレスデンは17世紀末に王位に就いたアウグスト1世(アウグスト強王)のもと、ザクセン王国の首都として全盛期を迎える。

「ツヴィンガー宮殿」や「ドレスデン城」の内部は博物館として公開されており、その規模の大きさと、豪華絢爛な建築や財宝の数々は圧巻だ。街には、マイセン陶磁器による100メートルもの壁画「君主たちの行列」、美しさと音響の良さで知られる「ザクセン州立劇歌劇場」、戦後60年の歳月を経て蘇った「フラウエン教会」など、見どころが多い。夕闇が迫るころ、エルベ川岸を散策してみよう。川面に映りこんだ灯りが街を幻想的にきらめかせ、息をのむ美しさだ。

このドレスデンで愛されているビールがラーデベルガー醸造所の「Radeberger Pilsner」だ。この醸造所は1872年にドレスデンの北西にあるラーデベルクの町で創業したZum Bergkeller醸造所が前身だ。ピルスナービール発祥の地であるチェコのボヘミア地方に近く、同醸造所がドイツで初めてピルスナーを造ったとも言われている。当時、革新的な味であったピルスナーは数々の権力者や著名人にも愛された。ドイツ帝国の鉄血宰相として知られるビスマルク・オットーは、公式に「宰相のビール」と名付けている。またザクセン王、フリードリヒ・アウグスト3世は1905年に「ザクセン王室御用達ビール」として採用した。このことからボトルネックには、ザクセン王家の紋章が入っている。

それ自体が光を発しているかのような鮮やかな黄金色。舌の上で弾ける細かな炭酸と、ホップの爽やかな苦みは、まさに王宮の食卓を飾るにふさわしい上品な味わいだ。

vol.19
Radeberger Pilsner

Radeberger Pilsner

 
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