【ベルリン 8月27日 時事】ドイツ政府は27日、軍増強に向けた新たな兵役制度に関する法案を閣議決定した。志願制を基本としつつ、不足が生じれば、一定の条件で強制招集を可能とする方針。議会審議を経て、来年の施行を目指す。ドイツは2011年に徴兵制を停止したが、ウクライナへの侵攻を続けるロシアの脅威を踏まえ、防衛力強化を急いでいる。
メルツ首相は閣議後の記者会見で、「われわれは兵役のある軍隊への道に戻った」と強調。同席したピストリウス国防相は「若者は自分の住む国の安全保障のためにどのように貢献できるか、どの立場で責任を負いたいかを決断しなければならない」と訴えた。
法案によると、制度では18歳になった男女に、身体能力や兵役への関心を聞くオンラインでの意向調査を実施。男子は回答が義務付けられる。27年7月以降は男子の適性検査を義務化。応じない場合は過料が科せられる場合がある。「安全保障上、志願者だけでは足りない事態が生じた場合」(国防省)は強制招集できる。
30年までに現役兵を現在の18万人から26万人に増やし、予備役20万人を確保する計画。兵役期間は最低6カ月で23カ月まで延長できる。独誌シュピーゲルによると、兵役期間中の給与は現行より大幅に引き上げられる。
強制招集の条件については、連立与党内でも意見が割れている。法案は、その都度議会承認が必要だとする中道左派の社会民主党(SPD)の立場に沿ったが、保守政党キリスト教民主同盟(CDU)は、目標人員を確保できなければ、自動的に徴兵可能としたい考え。停戦後のウクライナに欧州部隊を派遣する構想の行方も、法案審議に影響を与えそうだ。
15 Aug. 2025 1248号
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