欧州委、再生可能エネルギー法に改善要求
連邦議会で可決も、課題山積み
連邦議会は6月27日、再生可能エネルギー法(EEG)改正法案を圧倒的多数で可決したが、この直前に欧州委員会から新たな改善点を指摘されたことを受け、施行に向けて暗雲が立ち込めている。ヴェルト紙が伝えた。
最も大きな懸案となっている欧州委員会の要求は、外国からの輸出電力に対してEEGの賦課金を免除すべきというもの。欧州委員会側の見解では、これは関税に相当し、欧州連合(EU)域内市場における自由経済の原則に反するとしている。2つ目は、自家発電に対する増税を行うというもの。これに従えば、個人や企業などで独自に太陽光発電パネルなどを取り付けて自家発電を行っている場合、賦課金の30%が2016年以降40%に引き上げられることになる。連立政府は、これについては妥協案を受け入れる用意があるとしている。3つ目は、企業に対するEEG賦課金の免除を撤廃し、2018年までに全額支払いを義務付けるというもの。現在、優遇措置を受けている企業の賦課金は5分の1まで減額されている。
欧州委員会からの改正要求を受けてメルケル首相(キリスト教民主同盟=CDU)は、「(EUは)現在の移行期間を乗り切ることを視野に入れずに長期的な助成システムに言及することはできないはずだ」と述べた。また、ガブリエル経済相(社会民主党=SPD)は、「何カ月にもわたる折衝の間にEU側は一度も輸出電力の課税について触れなかった」としてEUを厳しく非難。また、「EUはEEGを潰そうとしている」と述べ、「ドイツは決してEUの要求に屈しない」と反論している。
一方で、この事態に対して各州政府および野党からは、ガブリエル経済相に対する批判が集中。左派党と緑の党からは、直前にEEG改正法に手直しを加える必要が生じることについて「ずさんな仕事ぶり」とする声が上がり、緑の党の州環境相らからは「経済相に騙された」との厳しい非難の声が出ている。
EEG改正法は、8月1日の施行に向けて、7月11日には連邦参議院での決議が予定されている。6月27日に連邦議会で実施された決議では、圧倒的多数の454人が賛成票を投じて可決され、123人が反対、6人が棄権した。