ドイツ国内を隈なく走る高速列車ICEには、長旅を静かに過ごしたいという人のための車両「サイレントゾーン」が設けられているが、やはり他人の迷惑を顧みない人というのはいるもので、「Psst! (しーっ!)」と書かれたステッカーを横目に遠慮なく携帯電話越しに大きな声で話す姿をよく見掛ける。しかし、ドイチェ・バーンによれば、この迷惑行為を車掌に訴えても、彼らに強硬手段に出る権利はないという。というのも、サイレントゾーンでは静かにするよう配慮することが求められているが、携帯電話での通話が禁止されているわけではないからだ。携帯電話で話す人を強制的に車両から締め出せば、大声で話すグループにも同じ対応が必要になる、という理屈だそうだが、そうなると「静か」の基準をめぐって揉め事が起きないだろうか。
2 Mai 2025 1241号
終戦80周年記念特集
追放はどう語られてきた?
戦後独を考えるための問い