ジャパンダイジェスト

世界を動かすビジネスリーダーに聞く!ドイツ発グローバル時代を生き抜くチカラ

海外進出が、大企業だけではなく、中小企業や個人にとっても必要不可欠な選択肢となっている時代。欧州の中心部に位置する地の利を活かして、ドイツを活躍の拠点としているビジネスパーソンが見いだした海外での挑戦の意義や魅力とは?


第18回

そろばん教室の新たな魅力をドイツへ
BINGO! Soroban School 代表

BINGO! Soroban School 代表 山片重信氏山片重信氏
Yamakata Shigenobu

プロフィール


2008年よりデュッセルドルフ在住。日独で塾講師として働いたのち、13年に子どもにさまざまな体験の場を提供するASOBO! を立ち上げる。16年にそろばん教室を開き、19年にBINGO! Soroban School として再スタートした。 https://soroban-schule.de

かつて日本の習い事の代表格だったそろばん。しかし、今ではそろばん教室に通う子どもは少数派だ。そんな時代に、しかもドイツでそろばん教室を開校したのが、山片重信氏だ。2016年に生徒数7名からスタートし、現在はデュッセルドルフとフランクフルトで教室を経営。その人気の秘密は、これまでのイメージとは違うそろばんの魅力にあるようだ。

苦境下でもとにかく続けるチカラ

そろばん教室といえば、上の段を目指していく「競技」のイメージが強い。しかし、山片さんの教室が目指すのは、1人でも多く幸せな子を増やすこと。一見、そろばんとは関係なさそうなテーマだが……
「教室を始める前、ASOBO! という子どもたちにスキー教室などを通じて多様な体験をしてもらう活動をしていました。長らく塾講師として受験指導をしてきたのですが、本当に良いと思う教育を実践することに限界を感じ、始めたのがASOBO! でした。そこで、子どもたちにチャレンジすることや『できない』を『できる』にする経験をもっとしてほしいと思っていたところ、日本から来たそろばんの先生と出会ったんですね。私はそろばんの経験がなかったのですが、先生のお話を聞いて、そろばんは遊びの感覚で楽しめる、スモールステップで成長を感じやすい、それぞれの目標に向かって学べる、お互いを高め合う環境がつくれるなど、ほかの教育にはない魅力を感じました」

そうして山片さんはその先生と共に、2016年にデュッセルドルフでそろばん教室をスタート。ところが、開校当初の生徒数はわずか7名だった。「ビジネス経験ゼロだったため、火の車状態でした。でも、ここで子どもたちに何を得てもらいたいのかを常に考え、とにかく運営を続けました。そろばんだけでなく遊びやアクティビティを取り入れた授業は、子どもの成長や楽しさにつながり、やがて口コミで徐々に生徒数が増えてきたんです。さらにフランクフルトから通ってくれていた子たちの要望もあり、思い切ってフランクフルト校をオープン。ここまで来られたのは周りの方の助けがあってこそだと感じています」

ゼロから市場を生み出すチカラ

2年間一緒に働いた先生が帰国したのち、日本全国で220校のそろばん教室を展開する「いしど式」に今年1月に加盟。BINGO! Soroban Schoolという名前で再出発した山片さん。「自信をつける、チャレンジするなどのいしど式の理念が自分の考えと近く、加盟を決意。日本の本社を訪問したとき、社員の方々が生き生きと働かれていて、理念と現実が一致していると感じました。加盟後はいしど式の教材や検定試験などを利用しています」

インターナショナルクラス
インターナショナルクラスには、ロシア、リトアニア、
イラン、カザフスタン、モンゴルの子どもたちが通う

日本語クラスとインターナショナルクラスを開講するデュッセルドルフ校には、現在5~11歳までの子ども75名が通う。そのうち1割は非日本語話者だ。「日本人のほかに、ロシアやリトアニアの子どもがいます。実は旧ソ連圏や東欧、中東、アフリカでは、そろばんがすでに認知されているんです。逆にドイツではほどんど知られていないので、完全に市場がないところでの挑戦です。ただ、少なくともそろばん教室は日本人には需要があるので、デュッセルドルフのように日本人の多い地域から現地展開をしていくことは、セーフティーなやり方と言えるかもしれません」

また、現地展開する上で特に大切なことは教師育成だと山片さんは言う。
「教室は先生がいないことには始められません。ただ、先生の育成をゼロからやるのはとても大変なこと。そこで、いしど式のオンラインの教師育成講座が役立っています。今は日本人4名、ロシア人1名、ルーマニア人1名がそろばんの先生を目指していますよ」

若い世代を尊重するチカラ

新しいスタートを切ると同時に、20代のスタッフ1名を迎え入れた山片さん。自身が長く教育に携わってきた経験から、最初は口を出しがちだったと話す。「あるときマニュアル通りにやっても、そこから新しいものは生まれないと気づいたんです。なので、2人でどうしたらいいか話し合い、さまざまなアイデアを試みるようになりました。若い世代のほうが進化して優秀、というのが私の考え。やりたいことができる環境をつくるのが、上の世代の役割ではないでしょうか。

今後の課題はドイツ人の生徒を増やすこと。最近では、英語で大人向けのそろばんワークショップを開催したり、今年10月5日には第1回ドイツそろばん大会を開き、初心者でも楽しめる催しも計画中。今後もドイツでのそろばん普及にチャレンジしていきたいです」

何かにチャレンジし続けることは、山片さんが日々教室に通う子どもたちに伝えようとしていることの1つ。子どもたちとの関係を通じて得た経験や考え方も、きっと山片さんのビジネスに生かされているのだろう。

 
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