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Di. 18. Dez. 2018
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坂口 紀代美・環境造形作家坂口 紀代美 さかぐち きよみ
環境造形作家

彫刻やパブリックアートを得意とするアーティスト。05年文化庁特別派遣芸術家在外研修員彫刻家として、デュッセルドルフに3カ月間滞在。96年東京都住宅局の練馬区大泉中島公園に設置した新小松石のモニュメント「石舞台」で、建設省都市局長賞受賞。福祉局の東京都女性相談センター、都立葛飾野高等学校、大阪・北野病院をはじめ、日本全国に多数のモニュメントやレリーフを設置。都市計画やまちづくりに広く関わっている。日本美術家連盟会員。
http://homepage3.nifty.com/kiyomi-sculpture/sakura/

デュッセルドルフ市内のギャラリー・ニアガラで新作展を開く傍ら、アトリエを構えて3カ月創作活動を行う。「日本とドイツの文化の懸け橋」として渡独した坂口さんとドイツの関係は?

1992年にイタリアのダンテスカ国際ビエンナーレに出品していました。そのときに初めてベルリンに立ち寄りました。当時はベルリンの壁が崩壊してから約3年の頃で、崩壊後の雰囲気を存分に残していました。その後2002年にはパリで展覧会を開いたので、その際にまたベルリンに行きました。その時期のベルリンには、世界中から磯崎新さんら著名な建築家が押し寄せてきていると聞いたもので。そうやって、何かと言うとドイツに足が向くようになりましたね。

05年には、文化庁からの派遣でデュッセルドルフに3カ月滞在していますが、文化庁への応募書類の1つとして、地元の受け入れ機関のサインが必要でした。そのときに快くサインをしてくださったのが、デュッセルドルフ在住の芸術家ギュンター・ユッカーさんでした。ユッカーさんは、03年に栃木県立美術館の個展のオープニングにいらっしゃっていて、そこでお話をして、一緒に焼き鳥屋さんに行ったんです(笑)。この出会いがあって、デュッセルドルフ滞在が実現したのです。

今回が2度目となるデュッセルドルフでの生活は、いかがですか?

昔は紡績会社だったという建物に、デュッセルドルフ市がアトリエを準備してくれました。室内はいつも暖かく、天井は高くて日本よりも作業がしやすい。食器洗浄器は2時間かけてじっくりお皿を磨く。ドイツ製の家具に囲まれて、この国の暮らしを感じる日々です。住み続けたいな、と感じさせてくれる環境です。

また、アートの伝統的な深さと寛容さを感じます。例えば、ユッカーさんの作品は釘を打ち付けたオブジェで有名ですが、棘がこちらを向いている作品の1つ“Interferenzen” というレリーフが、ノルトライン=ヴェストファーレン州議会堂にあります。日本では、特に公共の場では安全性が最優先されます。それが悪いというわけではありませんが、地元のアーティストの芸術作品の価値と安全性という価値とを一緒に語ることができる文化的土壌を持っているという意味で、デュッセルドルフがますます好きになりました。

今回の展覧会の作品について教えてください。

 円や、真っ直ぐに上昇するイメージの作品郡です。「TENN」というブロンズの作品は、数字の「TEN(10)」というよりも、精神的な意味での上昇を表す「天」の方が近く、自分の精神的な宇宙を作品に込めています。05年にドイツに長期滞在し、この国が移民や東西格差の問題など日本とは違う問題を抱えていることを知って、それで今まで自分が造ってきた「TENN」に鉄条網を絡めるようになったんです。鋳物ならではの荒々しい感じや、その肌合いを生かして仕上げました。12個の「TENN」をサークル上に配置していますが、展示スペースもひとつの作品と考えていますので、空間はドローイングの余白と同じ意味を持ちます。また、肌で触れないとわからない感覚があるので、お客さんには作品を手に取ることをお薦めしています。

今回1番大きい2メートルのドローイングは、ユッカーさんからいただいた詩に答えるもの。ドイツ語で「ユッカーの魂は海のようだ 時にはうねり 時にはきらめく」と書いています。


「TENN」のサークルの中にいる坂口さんと
ギャラリー・ニアガラのオーナであるシュピーカーさん。

アーティストになろうと思ったきっかけは?

奈良で育った子どもの頃、静かな場所で、静かな時間の中、瞑想的な時を過ごすことが幸いにしてできました。そういうことが、今なお創作活動を続ける上での背骨のようなものになっていると思います。古都には時間を越えて、また時間の厚みもって生き残っている素晴らしいものがたくさんありました。今ある作品も、良い変化を遂げて普遍のものになってゆくといいなと。これが私のテーマでもあります。

子どもの頃から表現者になりたいと思っていました。いろいろな表現方法を模索した中で、彫刻に魅せられました。これは奥が深いぞって。20代半ばには、認められようが認められまいが彫刻に携わっていくのではないかと、そんな確信を持ちました。積極的な気持ちで想っていることって大事ですね。そうしたら、自分で道を切り開いていくことも可能になる。願いのないところでは何も起こらないですよね。


巣鴨駅前商店街に設置された2つのモニュメントは、
老齢化社会と団塊の世代の人々へのメッセージ
「MADAMADA!」と「KOREKARA!」。
(写真は「KOREKARA!」)

今後の活動の展望は?

創作活動は、年を重ねるごとに面白くなっていくんです。20代の頃には気付かなかったことがわかったり、見えなかったものが見えてくる瞬間があり、興味が尽きないんです。やりたいことがいっぱいある。そういう気持ちがますます増してくる。動いていると次々に扉が開いていく感じです。展覧会などで各国を回るのも、深呼吸するみたいに楽しくて。旅の香りを胸いっぱい吸い込みながらドイツやイタリアを歩いています。問題が発生するのも、不便なのも当たり前。そこでくじけない。「MADAMADA!」「KOREKARA!」(自身の作品に掛けて)ですよ!

今後も日本内外で展覧会の活動を続けて、そして日本と同じようにドイツでもパブリックアートの仕事をしていきたいと思っています。

ありがとうございました。小さな体からは想像もつかないほどのバイタリティーと創造力に溢れる坂口さん。今後の活躍にも目が離せません。

展覧会情報
坂口紀代美の彫刻とドローイング
Kiyomi Sakaguchi "sculptures and paintings"


開催中~4月16日(木)
10:00~18:00 土~16:00 ※日曜休館
入場無料

Galerie Niagara
Heinrich-Heine-Allee 14, 40213 Düsseldorf
TEL: 0211-320266
www.niagara-galerie.de

インタビュー・構成:編集部 高橋 萌

 
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