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難民として、ダンサーとして 友人のドイツ初舞台

ブラウンシュバイク劇場が主催する市民参加型のダンスプロジェクトで、友人のコロンビア人が踊ると聞き、初舞台を見に行きました。「tanzwärts!」は、市民がプロの振付師の指導を受け、5週間の練習を経て公演を作り上げる企画です。2015年の開始以来、7〜81歳までの1000人以上が、州立劇場というプロの環境で踊ってきました。2023年には僕のパートナーと娘も参加し、娘は自信を付けて今もダンススクールに通っています。当時の仲間とも定期的に会っているようで、市民同士の強い結びつきを生む企画だと感じます。僕自身もいつか参加したいのですが、スケジュールが合わず、2026年も観客として見に行きました。

会場となったブラウンシュヴァイク劇場会場となったブラウンシュヴァイク劇場

今回参加した友人は、2025年にコロンビアから欧州へ亡命し、難民申請をしながらドイツで暮らしています。幼い頃からの夢は、役者・パフォーマーとして舞台に立つことでした。母国で叶わなかった思いを実現できるという期待がある一方、ドイツ語も英語も思うように話せず、不安を感じていました。実際に始まってみると、振付師や参加者には、コロンビアの公用語であるスペイン語が堪能な人が多く、コミュニケーションも円滑にいったようです。ソロパートには彼自身のアイデアも反映されていましたが、練習期間には休んだり遅刻したりすることもあったので、ちゃんと舞台に上がれるだろうかと、少し心配しながら公演当日を迎えました。

初日、最前列で開幕を待っていると、彼が撮影した街の写真がスクリーンに映し出されました。スポットライトの下、通行人の役で舞台を横切ったり、ソロパートで体を動かしたり、力強いステップを踏んだり。彼が出てくるたびに僕は拍手を送り、兄のような気持ちで見守りました。終演後、彼は「緊張した」と、ほっとしたような、うれしそうな表情を見せていました。

プロジェクトリーダーのBrigitte Urayさんと友人プロジェクトリーダーのBrigitte Urayさんと友人

移民・難民として生きていると、相手の言うことが分からず、伝えたいことが伝えられず、誤解も解けず、気持ちが折れそうになるときもあります。彼自身もこの一年、コミュニケーションで大きな苦労を抱えてきました。それでも、ソロパートに自分の考えを反映させ、多くの人に見てもらえたことに深い喜びを感じているようでした。2日目の公演前、無人の客席を見つめる彼の眼差しから緊張感が伝わってきました。彼のように社会の中で見えづらい存在が舞台の上で輝き、仲間と共に一つの公演を作り上げていく。本当に意義のあるプロジェクトだと感じました。いつか僕自身も、この舞台に立ちたいです。

国本 隆史(くにもと・たかし)
神戸のコミュニティメディアで働いた後、2012年ドイツへ移住。現在ブラウンシュバイクで、ドキュメンタリーを中心に映像制作。作品に「ヒバクシャとボクの旅」「なぜ僕がドイツ語を学ぶのか」など。三児の父。
takashikunimoto.net
 
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