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Fr. 16. Apr. 2021

ドクターの診察室
ドクターの診察室: 健康に関する悩み・質問にDr. 馬場が答えます!

新型インフルエンザA(H1N1)の基礎知識

連日ニュースで取り上げられている新型インフルエンザA(H1N1)(豚インフルエンザ)とは、いったいどういう病気ですか?

新型インフルエンザA(H1N1)とは

H1N1型インフルエンザ(米国)、インフルエンザA(H1N1)(WHO)、Schweinegrippe(ドイツ)などいくつかの呼び名があります。「豚インフルエンザ」の名前は、当初この新型インフルエンザのウィルス遺伝子が豚のインフルエンザに似ていることから付けられました。ブタH1型ウィルスが豚の体内で人や鳥のウィルスと混ざって変異し、人から人にも感染する新しいウィルスになったと推定されています。
写真)図1 新型インフルエンザA/H1N1 米国の疾病対策予防センター(CDC) 発表のウィルス写真

過去にも豚由来のインフルエンザが人に感染したことはありましたか?

1976年に米国で豚インフルエンザによる死亡患者が出ています。その時は、4000万人にワクチンが接種されましたが、そのワクチンにより10万人に1人がギラン・バレー症候群という神経疾患をきたし、問題になりました。しかし、今回のワクチンについてはその心配はないでしょう。

感染者数はどのくらい増えていますか?

この新型インフルエンザ・ウィルスは人から人へ感染します。この3月末にメキシコ、米国での発症が確認されて以来、世界中に拡がり、WHOによると26日の時点ですでに46カ国、1万2954名が感染しています。ドイツでの感染患者は17名、日本では350名です。特にメキシコ、米国での感染例が多く報告されています。

どんな症状がみられますか?

通常の季節性インフルエンザと同様、38℃近くの高熱に加え、鼻水・鼻づまり・のどの痛み・咳などの急性熱性呼吸器疾患のいずれかの症状がみられます。米国での集計では4人に1人が嘔吐、下痢などの消化器症状を伴っています。

表1 米国の642名の患者の背景と症状
男女の比 --- ほぼ同じ
年齢の幅 --- 3ヵ月~81歳
最も患者の多い年齢層 --- 10~18歳(全体の40%)
51歳以上の患者 --- 全体の5%

発熱 --- 94% / せき --- 92% / のどの痛み --- 66% / 下痢 --- 25% / 嘔吐 --- 25%

4月15日~5月5日発症の患者(米国医学誌のNEJM5月7日号の論文より抜粋)

どんな経路で感染しますか?

咳やくしゃみを介して感染が拡がります。ウィルスに感染した器具に触り、その手を口や鼻に持っていった場合も感染の原因になります。体内から排出されて器具の表面に付着したウィルスは、排出後も2~8時間程度は感染力があると推定され、感染力は通常の季節性インフルエンザと同じか、それ以上と考えられています。

表2 新型インフルエンザの診断
インフルエンザ症状 ・発熱、咳 、のどの痛み
疑われる
(右記のいづれか)
・突然インフルエンザの症状が出現
・最近発生地域へ旅行した
・新型インフルエンザの可能性のある人に接触
可能性が高い ・人のインフルエンザH1およびH3が陰性
確定診断 ・新型インフルエンザの遺伝子を確認
・培養にて新型インフルエンザのウィルスを確認
5月11日発表の米国の疾病対策予防センター(CDC)のガイドラインより

確定診断はどのように行いますか?

感染が疑われる患者の鼻咽頭からの分泌物を培養してウィルス同定がなされるか、RT-PCRという分子生物学的手法でウィルスの遺伝子の配列の確定することにより新型インフルエンザA(H1N1)感染が確定診断されます。

どのような場合に感染が疑われますか?

前記のインフルエンザの症状がみられ、1) 最近、新型インフルエンザA(H1N1)発症地域へ旅行した、もしくはそこに居住している、2)発症前7日間以内に新型インフルエンザA(H1N1)感染と関連のある人と接しているなどの場合に疑われます。

どのような人に感染が多いのですか?

一般的な季節性インフルエンザの場合には、5歳未満の幼児、65歳以上の高齢者、慢性疾患患者、妊婦などが重症化に対する注意が必要とされています。しかし、今回の新型インフルエンザでは51歳以上の中高年層での感染が少ないことが分かってきました。理由はまだ分かっていませんが、この世代の人たちが過去に今回の豚インフルエンザ・ウィルスと抗原的に似たウィルスに感染し、何らかの免疫を得てていた可能性も指摘されています。

豚肉を食べても大丈夫ですか?

きちんと調理された豚肉を食べた場合の感染は確認されていません。新型インフルエンザ・ウィルス(A型H1N1)は75℃以上の高温で死滅します。

今までのインフルエンザのワクチンに予防効果はありますか?

残念ながらありません。現在、新型インフルエンザA(H1N1)に対するワクチンの開発が行われていますが、全く新しいインフルエンザに対するワクチン製造には通常5~6カ月を要します。

抗インフルエンザ薬は新型インフルエンザA(H1N1)にも効果がありますか?

今回のメキシコおよび米国から得られたウィルスに関しては、タミフル(Oseltamivir)とリレンザ(Zanamivir)の効果が期待できます。一方、アマンタジン(Amantadine)に対しては耐性であることがわかっています。

予防の基本は?

外出後は必ず手を良く洗う、人混みから戻った後はうがいをする、汚れた手で口の周りや顔を触らない、咳・くしゃみの際には口を覆い分泌物が飛び散らないようにする、具合が悪いときには外出を避けるなど、季節性インフルエンザ流行時と同様の注意が必要です。

 


馬場恒春 内科医師、医学博士、元福島医大助教授。 ザビーネ夫人がノイゲバウア馬場内科クリニックを開設 (Oststraße 51, Tel. 0152-05412673)、著者は同分院 (Prinzenallee 19) で診療。

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