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ウアラウプ病って?

楽しい休暇旅行の後は、なんとなく体調が優れません。「ウアラウプ病」というものはあるのでしょうか。

長い休暇の後の体調不良?

休暇の目的は日常の仕事やストレスから離れ、身体的・精神的なリフレッシュを図ることです。特にドイツでは夏に長い休暇(ウアラウプ)を取るのが一般的。多くの人が旅行に出掛け、民族大移動と呼ばれるほどです。しかし、休暇旅行から戻った後に、さらに体を休める真の休暇が必要だという人も少なくありません。「Warum ist man nach dem Urlaub immer krank?(なぜ休暇後は具合が悪くなるのか?)」と言われているほどです。なぜでしょうか。医学的に原因を探ってみましょう。

最も多いのは肉体的な疲労

長時間におよぶ目的地までの移動、スポーツ・ハイキングなど普段とは違った筋肉の使用や体力の消耗など、精神的な気分転換はできても肉体的には負担となっていることがあります。また、せっかくの機会だからと早朝から晩まで行ける所すべてを観光しようとも考えがち。一見、時間的・物理的には可能な予定でも、身体に大きな負担を掛けている場合があります。さらに問題は、旅先ではその疲れに気付かないことです。ドイツでは子どもの学校が休みに入ったその日から出勤の前日まで(人によっては当日朝まで)目一杯、休暇を楽しもうとする人もいますが、できれば1~2日前に自宅に戻り、静かに体調を整えたいものです(旅のクールダウン)。

食べ過ぎも原因の1つ

訪問地での食事は休暇中の楽しみの1つ。美味しいゝと美酒・美食を楽しんでいると、1~2週間で2キロ近くも体重が増えたなんてことも。一般的なHalbpension(2食付)、Vollpension(3食付)やAlles inklusiveで、食べないと損とばかりに恩恵に預かっていると、思わぬ落とし穴が待っています。

侮れない時差の影響

まとまった休みを利用して日本、もしくは米国や南洋の海など遠くへ足を伸ばす人もいます。平気だと思っていても、時差の影響は1週間近く残るものです。それに現地での活動が加わり、無意識にも身体への疲労は蓄積されるばかり。これは侮れません。コーヒーなどの刺激物を控え、とにかく眠ることが時差対策の秘訣です。

気候の変化によるストレス

日焼け止めクリームが欠かせない地中海の島に滞在するにしても、気温の低い北欧へ旅行するにしても、高温多湿な夏の日本に一時帰国するにしても、気候の大きな変化は身体的きな変化は身体的なストレスとなりなストレスとなりえます。強すぎるえます。強すぎる日差しは体に負担日差しは体に負担を掛け、急激な日を掛け、急激な日焼けは皮膚の炎症焼けは皮膚の炎症(一種のやけど)で(一種のやけど)であるとの理解も必要です。

精神的な疲労もあります

ホテル泊まりで常に誰かと行動を共にする家族旅行では、いつもと違った気遣いを要求されます。以前「亭主元気で留守がいい」という言葉が流行りましたが、最近では「主人在宅ストレス症候群(?)」などという造語もあるくらいです。また、普段出張で忙しく飛び回っている人がいるとすれば、真の休暇とは自宅でのんびりすること。一方、1日中デスクワークをしている人にとっては違った環境に身を置くことが休暇になるかもしれません。そのため、皆が楽しめる計画作りや現地での柔軟な対応が大切です。実家からご両親が来独しての家族旅行の際は、特に配慮が必要です。

そして現実の生活へ

緊張の連続である日常生活から解放された休暇から戻ると、待ち受けているのは「現実」の生活と溜まった仕事の山ということもあります。休暇後の興奮が冷めやらぬ状態では、ちょうど週末に続く「月曜日症候群」のような気持ちになってしまことがあります。次回の休暇旅行を心に描き、うまく気分転換を図るよう心掛けましょう。

ウアラウプと病気欠勤

ドイツでは休暇と病気欠勤は労働者に認められた権利、しかも2日間までは医師の診断書なしで病欠が可能です。そのため休暇直前・直後の病欠が話題となることがあります。本当に病気なのか、それともより長い休暇のためなのか。実際に多くの人が休暇後に具合が悪くなることがあるのは確かですが、無理な計画が関係していることもあるようです。

休暇旅行の留意点

事前に、一緒に旅行するメンバーと十分に話し合って計画を立て、皆が楽しめるものにする。普段、慣れていないスポーツや活動をした後は、身体を休める。休暇の最終日より1日前には自宅に戻り、心身の調整のための真の休養日を設ける。旅先での連日の暴飲・暴食は避け、散歩などの適度な運動を行う。時差を伴う休暇旅行の後は、2~3日は無理をしない。休暇後1週間は体調を元のリズムに戻すことを心掛けましょう(表1)。

表1 ウアラウプ病の予防対策
身体的疲労 • 休暇が終る日の1日前には自宅に戻る
• 旅行中のスケジュールを緩やかに
旅行中の食事 • 食べ過ぎに注意(特にビュッフェ・スタイル)
• 油の多い料理は控えめに
• アルコールは適量に
戻ってからの時差 • 仕事開始の1~2日前に自宅に戻る計画を
• 戻ったら、とにかく眠ること
• 帰りの機内や帰宅後のコーヒーを控える
• 戻ってすぐの過密スケジュールは避ける
• 食事は適量に、水分は多めに
精神的ストレス • 家族旅行では皆が楽しめるスケジュールを
• パートナーに怒りをぶつけない
• 帰宅後は次のウアラウプを楽しみに待つ
 
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馬場恒春 内科医師、医学博士、元福島医大助教授。 ザビーネ夫人がノイゲバウア馬場内科クリニックを開設 (Oststraße 51, Tel. 0211-383756)、著者は同分院 (Prinzenallee 19) で診療。

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