Hanacell
ペットと送る幸せ生活
犬を連れて散歩すれば、ご近所さんとのコミュニケーションの輪が広がり、
ペットを飼うことは、子どもが自然や動物との共生について考える良いきっかけにもなる。
そして最大のペットの効用 ── それは生活を愛と笑顔で満たしてくれることだ。
「ドイツでペットを飼うのって、日本とは勝手が違って大変そう……」と
躊躇しているあなた!心配することなかれ。
適切な飼い方さえすれば、ここドイツでもペットとのハッピーな生活が送れます。
(編集部:林 康子)

ドイツのペット事情

2008年、ドイツのペット総数は2330万匹を記録した。内訳を見るとトップは猫で820万匹。そして小動物が620万匹で2位、犬が550万匹で3位と続いている。また、ペットを飼う人の年齢層をみると、最も多いのが60歳以上で28%、次いで40代(24%)、30代(19%)となっている。世帯別では3人以上の家庭が41%、2人が33%、1人が26%。高齢者や子どものいる家庭でペットが飼われるケースが多いようだ。

ドイツのペット事情

dogペットを飼う前に確認しよう!

ペットは「欲しい!」と思い立ったらお財布と相談し、即決して買うような「モノ」ではない。飼い始めたものの、飼育に失敗し、ペットと飼い主の両者にとって悲しい運命が訪れる……なんてことにならないように、ペットを飼う前に飼い主としての最低限の責任を満たせるかどうかチェックしてみよう。

  • ペットと一緒に過ごす十分な時間を持てる?
  • 家族みんなが新しい家族の一員となるペットを迎え入れることに賛成している?
  • 子どもたちが、「必ず責任を持って面倒をみるから」と約束しても、病気やけがなど、いざという時には両親が世話をすることもしばしば。その覚悟はある?
  • 動物たちにも寿命があり、犬や猫なら10~20年、モルモットやハムスターなら6~10年、寿命が短い小型のハムスターでも3年くらいは生きる。ペットの生涯を通してしっかりと世話をしてあげられる用意はある?
  • 長年ともに生活を送ったペットにいずれ訪れる死。悲しい死を受け入れ、乗り越えることができる?
  • 動物が快適に過ごせる環境は、その種類や個性によって千差万別。飼う前にその動物の特性をしっかりと習得して、飼うために必要な環境を準備し、しつけを施す用意はある?
  • ペットが病気になって、治療が長期に及んでも、さらには嘔吐や下痢などの症状を伴っても、ケアをしてあげられる?
  • 家族の一員となるペットには、購入時だけでなく、食費や予防注射、治療代などの生活費もかかってくる。それらを負担できる見通しはある?
  • ペットが子どもを生むことがあるかもしれない。去勢が必要かどうかの情報を確認し、的確に判断できる?
  • 休暇中にどこに預けるかなど、不在時の予定も立てられる?
  • アパート、マンションなどの賃貸住宅に住んでいる場合は、ペットを飼うことが許可されているかどうか、家主に確認してある?

catどんなペットを飼う?

動物好きなら誰でも、飼ってみたいと思う動物がいるはず。ただし、飼う前に対象となる動物ならではの特性、飼育方法を熟知しておくことが大切だ。さらに、家の大きさや構造、その動物の世話に掛かる時間、子どもに合っているかどうかなどの点も考慮しよう。

!ここで紹介するのは、ペット用に飼育、養殖されている動物。しかしペットショップに行くと、本来ペットに適さないオウムやフェレット、チンチラ、ハ虫類などの希少動物もいる。見た目のかわいさに惹かれて飼っても、知識不足でなくうまく飼育できないがために苦しむのは動物たちだ。どの動物も、かけがえのない命を持つ生き物であることを忘れないようにしよう。


犬 Hunde

犬との生活
犬大きな犬は庭付きの戸建て住宅向き。一方、集合住宅には小さめの犬が適している。さらに、種類によって特性が大きく異なるので、犬の個性をよく把握し、なるべく多くの時間を一緒に過ごしてあげよう。またドイツでは、特別運賃で犬は公共交通機関に同乗でき、多くの店やレストランで犬同伴の入店が許可されている。犬入店お断りの店かどうかは、犬のイラスト付きの「Ich muss draußen bleiben」と書かれた店頭のステッカーで判断できる。

しつけ
ドイツ語では犬のしつけに、“Komm”(来い)や“Sitz”もしくは“Platz”(お座り)、“Bleib”(待て)、叱るときの“Pfui”(コラッ!)などの言葉が使われる。ちゃんと言うことを聞いたときは褒めてあげることを忘れないで。また、ドイツ各地に設けられている「犬の学校(Hundeschule)」は、犬のしつけコースを提供している。 (www.hundeschule.net)

食事
犬に人間の食事の残飯を与えることは、犬の健康にとって有害。肉、野菜、果物をバランス良く、成長期なら1日4食、成犬なら2~3食の割合で与えよう。市販のドッグフードなら、栄養バランスが優れているものを選んで。ただし、狂犬病の原因となる生肉、犬にとって命取りの危険がある物質を含むネギ類やチョコレート、下痢を引き起こす牛乳は禁物。

散歩
ドイツ動物保護連盟によれば、犬は1日4回ほど散歩に連れていくのが理想的とのこと。また散歩中は犬の歩くテンポに合わせ、匂いを嗅いだり、ほかの犬と触れ合ったり、自分の縄張りを示すためにマーキングをしたりする犬を見守ってあげよう。郊外や公園には、リードを外して犬を自由に遊ばせることができる犬専用の広場“Hundeplatz”がある。

予防接種と病気
犬ジステンパーや肝炎、狂犬病などの予防注射を生後7~9週間の時期に受けさせよう。4週間後には2度目の予防接種が必要となる。咳や血尿、下痢、目やに、鼻水、鼻の乾きなどの症状が出たらすぐ病院へ。また、外で駆け回る犬はマダニに刺され、マラリアに似た病気に罹る危険性があるので、病院で「マダニ除け」を処方してもらおう。


猫 Katze

猫との生活
猫猫を飼うには、自然豊かで静かな環境の中にある戸建て住宅が理想的。ただし、猫が好きな時に散歩に出掛け、いつでも家に戻ってこれる環境を整えてあげることが大切だ。環境さえ整っていれば、家の中で飼うことも可能。昼間に家を留主にすることが多い家庭では、猫が退屈をしないよう、遊び相手となる相棒猫がいると良い。

トイレのしつけ
家の中で飼う場合、食事や睡眠の後に猫用トイレに連れていけば、猫がそこで用を足すことを覚えるのは早い。にもかかわらず、トイレ以外の場所で用を足してしまうことがある。でも叱らないで!後で見つけて叱っても、猫はなぜ怒られるのか見当が付かないからだ。きれい好きな猫のために、トイレを常にきれいな状態に保ってあげることが大切。

居住環境
同じ場所に居ると猫は飽きてしまうので、家で飼う場合は気晴らしに歩き回れるよう、2部屋以上あることが望ましい。隠れるのが好きな猫のために、ベッドやソファの下、壁と棚の隙間など、入り込める場所を確保したり、高いところに登れるようにキャットタワーなどで工夫して遊び場を作ってあげよう。また、家具を傷つけないように爪研ぎ板も用意して。

食事
犬と同様、肉や野菜、果物が猫の主な食事で、食べてはいけないものもほぼ同じ。栄養バランスを考慮した市販のドライ、そして缶入りレトルトのキャットフードを組み合わせると良い。猫は体力を維持するために1日に何度も食べるので、太り気味でない限り、常に食べられる状態にしておくと良い。また伝染病感染を防ぐために、飲み水は毎回新鮮なものに入れ替えてあげよう。

去勢と予防接種
1年に2回ほど、数匹の子猫を生む繁殖力豊かな猫たち。自然繁殖のままに任せるのは危険だ。望まれない繁殖を防ぐためにも、雄猫なら生後6~9カ月で、雌猫なら生後6カ月以降に去勢手術を施してあげよう。伝染病(Katzenseuche)、風邪(Katzenschnupfen)対策の予防接種もお忘れなく。


食事国外への旅行
犬・猫の国外への移動に関しては、以下の条件を満たしている必要がある。

EU域内
  • 狂犬病の予防注射(接種後30日以上経っていること)を受けた証明
  • ペット登録チップ(タトゥー、もしくは体内チップ)があること
  • 獣医によって動物の予防接種暦やその他の病歴が書かれた「EUペットパス(EU-Heimtierausweis)」を所持していること。
    ※その他の条件を課している国もある。 詳細:www.tierschutzbund.de

EU域外
  • EUは、狂犬病対策が整っている第三国のリストを設けている。そのリストに載っている国(日本も含む)へは、EU域内の移動と同条件で入国可能。http://ec.europa.eu/
  • ペット同伴の際の渡航条件については、各航空会社に問い合わせを。

食事犬・猫登録制度と犬保有税
ドイツには犬・猫の登録制度がある。これは誰がどの犬・猫を飼っているかを把握しておくためで、登録しておけば失踪したときに捜索が楽になり、病気の際にも的確な治療を受けられる。ペット登録に関する詳細は、www.registrier-dein-tier.deまで。また、犬の飼い主には犬保有税(Hundesteuer)が課せられる。詳細は各地方自治体に問い合わせよう。

食事新しい仲間をどこで見つける?
まずは近くの動物保護施設(Tierheim)を覗いてみよう。そこには新しい我が家を求めるたくさんの動物たちがいる。飼い主がやむを得ぬ事情で手放さざるを得なかった動物や、無責任な飼い主に見捨てられた動物たちだ。日本なら保健所に連れて行かれ、最終的に安楽死などで処分されてしまうケースが多いが、ドイツの保護施設は、飼い方をちゃんと知っている新たな飼い主に動物たちを仲介する活動を行っている。そのほか、愛情を込めて動物を飼育しているブリーダーから直接買う方法がある。ブリーダーのアドバイスをしっかり聞いて、正しい飼い方をマスターしよう。また、犬猫以外の動物をペットショップで買う場合は購入時、そして購入後のサポートが充実している店を選ぼう。


鳥 Vögel

鳥との生活
オーストラリアに生息するセキセイインコとカナリア諸島を故郷に持つカナリア。どちらも自然界では群れを成して長距離を自由に飛び回る鳥たちだ。そんな鳥たちを小さな鳥かごの中に入れて飼うことは非常に困難。鳥を飼う際には、出来るだけ大きな鳥かごを用意し、1日1回は家の中を飛び回ることができる環境を作ってあげたい。

ペアで飼育
パートナーとなる別の鳥が居ない環境下では、鳥は孤独を感じ、大きなストレスを抱えることになる。鳥が飼い主の言葉を真似る行為は、人間をパートナーと錯覚してしまったがゆえの行動障害ともみなされている。少なくともつがいで飼ってあげるようにしたい。

リング
ドイツでは鳥から発生する伝染病を防ぐため、鳥を飼う際には登録した上で、それを証明するリングを足に付けることが法律によって義務付けられている。病気の治療など何らかの理由で一時的にリングを外すときも、飼い主は常に携帯していなければならない。


魚 Zierfische

魚との生活
魚1980年にドイツで飼われていた魚は約4800万匹。それが2007年には8500万匹にまで増加し、熱帯魚の人気は年々高まっている。その一方で、はるか太平洋やインド洋、カリブ海からヨーロッパへ連れてこられる魚の中には、絶滅危惧種も含まれている。魚を飼うということは、繊細な魚たちに適切な環境を与える責任が生じることを自覚しておきたい。

水質と水温
種類によって必要な水質や水温は異なる。1つの水槽内で共生できるのは、同じ水質環境に暮らす魚のみ。水槽の水を入れ替える際も、水温や水素イオン指数を適切な値に整えてから入れよう。

購入と水槽の構成
海から直接捕獲されて売られている魚は、輸送中に免疫力が衰え、飼っても病気になることが多いため、信頼のおけるブリーダーから養殖魚を飼うのがオススメ。また水槽は、石、木、海藻などで極力海底を忠実に再現し、生態系の均衡を保つことが大切だ。


小動物 Kleintiere

愛らしい仕草で飼い主を虜にしてしまう小動物。気軽に家の中で飼えると考えられているが、彼らは実はとても繊細で、快適な生活環境を整えるのは難しい。でも、それぞれの動物の特性を知って適切な飼い方をすれば、鳴き声が静かで近所に迷惑をかけることもなく、人間にもなついてくれる。


ウサギ Kaninchen

ウサギは群れで生活する動物なので、複数で飼うことが必須となる。幼少期から一緒に育ったウサギたちは特に相性が良いので、同時に飼うのに適している。地中に穴を掘る習性があり、室内で飼うには不向きだが、ケージの底の干し草を深めに敷くことで対処できる。ほかに、隠れられる場所や高見台を設置してあげれば、ウサギにとってより快適な環境に。


モルモット Meerschweinchen

体長25~30cm程度。従来、標高4000mのアンデス山脈地帯に生息するモルモットは、約400年前にヨーロッパにもたらされて以降、たちまち人気のペットとなった。社交的な動物なので、複数で飼うようにしたい。雄同士の相性が良いが、去勢済みなら雄雌混合で飼ってもOK。昼行性のため、昼間に活発に動き回る様子を観察できる。


ハムスター Hamster

体長12~20cm程度。ドイツでは、ハムスターの飼育は1930年代から始まった。従来の生息地はシリアの湿原地帯で、深さ約2.5mの巣を掘って1匹で生活している。餌を求めて毎日長距離を走る習性を持つハムスターに欠かせないのが回し車。直径25~30cm程度の回し車をケージの中に入れ、ハムスターが十分に運動できる環境を作ってあげよう。


食事草食性のモルモットやウサギにはニンジンやセロリ、チコリなどの野菜、その他ビタミンを豊富に含む果物が最適。またドイツの寒い冬を乗り切れるよう、今の時期なら栄養食として穀物も与えてあげよう。一方、ハムスターは雑食で、野菜・果物のほかに昆虫なども食べる。

居住環境モルモットやウサギ2~3匹を飼うに当たっては、最低1.50m×0.75m、ハムスターなら1匹につき1m×50cm程度の大きさのケージが望ましい。床に古新聞、その上に干し草を敷く。さらに寝るための小屋や食事用の受け皿を設置する。格好の遊び道具となる木の枝や樹脂も入れてあげよう。

デュッセルドルフの動物保護施設にて

動物保護施設デュッセルドルフの施設には現在、約9000㎡の敷地に犬62匹、猫95匹、鳥51羽、ウサギ19匹、ネズミ7匹、モルモット3匹がいる。同施設の責任者カトリン・ポリジエクさんによれば、施設に預けられてから仲介されるまでの期間は、猫は平均10~30日程度。犬の場合は個性やそれまで過ごしてきた環境などの背景に大きく左右されるので、施設に来て3日で飼い主が見つかることもあれば、すでに8年もここで過ごしている犬もいるという。

はじけんばかりの勢いでしっぽを振りながら、訪問者に向かって吠える犬がいれば、部屋の奥から物静かにじっとこちらの様子を伺う猫もいる。どの動物も皆「僕を飼って!」という訴えを表情に出しながら、温かい家族に迎え入れられる日を待ち望んでいるのだ。

豚や羊もいます。特に都会に住み、普段動物と縁がない子どもたちにとっては、愛らしい動物たちと触れ合う絶好のチャンス。ぜひ一度、遊びに来てください!

Tierheim Düsseldorf
Rüdigerstraße 1, 40472 Düsseldorf
Tel. 0211-651850
11:00~16:00 水~18:30 土10:00~13:00
※木曜休館
www.tierheim-duesseldorf.de

 
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