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ロンドンのゲストハウス
Sa. 24. Aug. 2019

ロンドン五輪代表候補にインタビュー

レナ・シェーネボル近代五種競技・ドイツ代表候補  レナ・シェーネボルン

Lena Schöneborn
1986年4月11日生まれ、ノルトライン=ヴェストファーレン州トロイスドルフ出身。幼少時から体操、陸上、テニス、水泳など様々なスポーツに挑戦し、14歳のときに近代五種競技 を始める。2008年北京五輪で優勝を果たし、同年、各界の活躍者に贈られるゴルデネ・ヘネ賞の「出世者賞」を受賞。10年欧州選手権2位、11年欧州選手権優勝。現在、世界ランキング1位。所属クラブはSSFボン05。ベルリン経済・法科大学でインターナショナル・マーケティング・マネージメントの修士課程に在籍中。好物はコーヒー。北京五輪前2週間はコーヒーを絶ち、競技当日の朝に飲んで 気合いを入れたというエピソードも。 www.lena-schoeneborn.com

「近代五種競技」というのは、文字通り5種目をこなすスポーツです。競技を始めたとき、「これはちょっと負荷が大きいかも」というような思いはありませんでしたか。

それは考えなかったですね。むしろ、「こんなに多くの種目を一度にできるなんてクール!」という思いでした。私は10歳の頃から地元のスポーツ・クラブで水泳を習っていたのですが、そのときのコーチが近代五種のトレーナーでもあったのです。そこで「ちょっと試してみるか」という話になり、ランニングや射撃、フェンシングと徐々に競技の幅を広げていきました。どれもすごく楽しくて。水泳を重点的に続けてはいたものの、1つの競技を徹底してやるという才能は自分にはないのかもしれないと思い始めていた時期だったので、近代五種をやろうと決意しました。

5種目の中で得意、不得意はありますか。

得意な種目はフェンシングです。習い始めた当初から左手を使い、しかも多くの選手のように柄の部分がピストル状になったベルギアンやヴィスコンチなどではなく、棒状のフレンチ剣を使用していますが、これだと剣 の後方を持ち、相手より素早く突くことができるのです。逆に言えば、グリップの安定感に欠け、ディフェンス面では劣るという弱点はあるのですが。いずれにせよ、この方法で相手より先に得点する技を学んできました。

不得意な種目は特にありません。5種目すべてにおいてバランスが取れているということが、私の長所だと思っています。得意なフェンシングを除き、ほかの種目では首位に立ったこともなければ、下位についたこともありません。

競技馬の抽選後に味わう
むずがゆいような緊張感が好きです

乗馬では、競技馬は大会当日に割り当てられるそうですね。

そう。どんな馬に当たるか分からないからこそ、抽選から実際に馬の背中にまたがるまでの間に味わう、むずがゆいような緊張感が好きです。そして、乗った瞬間に静かなタイプか、それともあまり落ち着きのないタイプかなど、馬の特徴を見極めなければいけないのですが、障害を越える過程で馬の性格が変わることがあります。また、すべての馬が一様に私の命令に従ってくれるわけでもなく、馬との意思疎通が図れないこともあるので、馬のスタイルを瞬時に把握し、適応することが重要になってきます。

2009年に射撃とランニングが複合形式となり、10年には射撃がエアピストルからレーザーへ変更されるなど、ルール改定が盛んな競技ですが、そうした動きに順応するのは大変ですか。

射撃とランニングが複合形式で行われることが決まったときは、「なんて意地悪な……」と思いました。やっと競技への取り組み方を見付けたと思っていたところだったので。あっという間に新ルールが導入され、気持ちも技術も追い付かず、ここで競技生活を辞めようかとも考えました。でも、やはりこのスポーツが大好きだし、それまでに多くの時間と労力を費やしてきた競技なので、気持ちを切り替え、「新たな挑戦」と捉えることにしました。そんな折に、今度は射撃の様式変更。それを聞かされたのが、昨年のワールドカップ開催の3週間前ですよ! 大会前は通常、熟知したルールをいかに上手く利用し、記録を出すかを考えながら練習するので、そのときはかなり不満を覚えましたね。私の場合、それまでランニングを終えて射撃の姿勢に入るまでに2回深呼吸する時間があったのですが、エアからレーザーになったことでその時間が持てなくなり、呼吸困難になるかと思いました。そのくらい大きな違いです。

今ようやくオフシーズンに入り、練習に集中できる時期なので、新方式に慣れるために色々試しています。

2008年、五輪初出場にして見事金メダルを獲得されました。

北京五輪で金メダル
2008年8月、北京五輪の競技後、表彰台にて。左は2位のヘザー・フェル(英国)、右は3位のヴィクトリア・テレシュク(ウクライナ)

北京五輪には、出場することに意義があると思って参加しました。特に印象的だったのが開幕式。ドイツ選手団が、大観衆が迎えるスタジアムへと行進していく中、気分が高揚して、とにかく感激しました。そんなに大きなイベントとは想像していなかったものですから。その感動が大き過ぎて、自分の競技自体はあまり重要ではないと思ったくらい(笑)。でも、最終種目のランニングを1位でスタートしたとき、「これはいける」と思いました。それまでトップでスタートした経験がなかったので。優勝を実感したのは、結果が出て表彰台に立ち、ドイツ国歌を聴き、家族や友人、大勢の報道陣に囲まれたときです。あんなに注目されたのは、スポーツ人生の中で初めてでした。

ロンドン五輪でも、目指すのはやはり「金」ですか。

「優勝したい」と、簡単には言えません。トレーニングで積み重ねてきたことを、最大限発揮するのみです。すべての種目で自己ベストを出して4位になったとしても、悔いはないと思います。経験上、全種目でベストを尽くせば、自ずとそれなりの結果が付いてくることは分かっています。

周囲からのプレッシャーも感じますが、それにとらわれ過ぎないようにしています。「結果を出さなきゃ」などと考えていると、国の代表として出場する栄誉も、重荷になってしまいますから。個々の種目に集中さえできれば、失敗することはないと信じています。

最小のエネルギーで
最大の効果を出すための計算は、一種の芸術

普段、どんなトレーニングをしていますか。

基礎体力を付けるため、ジョギングを週6回、水泳を週5回行っています。あとは、五輪に向け、現在は乗馬と射撃に注力しています。2月には、米コロラド・スプリングスで集中合宿を行う予定です。

何が最適な技術なのかを自分で把握しているので、トレーニングはその技術を身に付け、理想の状態に近付くための手段と捉えています。どこで何を改善できるのか、何が可能なのか、どんな練習が有益なのかを突き詰めるのです。例えば、水泳の記録を1秒縮めるために今より4時間長く泳ぐこともできますが、本当にそこに意味があるのかを考えます。だったら、その時間を射撃の練習に費やした方がより効果的なのではないかと。どの種目において最小のエネルギーで最大の効果を出せるか、そこを上手く計算する。それは一種の芸術のようなものです。

近代五種の知名度は高いとは言えず、競技人口も多くありません。この状況が変わる余地はあると思いますか。

世界選手権・射撃
2009年8月、ロンドンで行われた世界選手権、射撃に挑む瞬間。同大会では3位に輝いた

近代五種の競技人口がほかのスポーツに比べて少ないのは事実です。原因の1つは、膨大な時間とコストが掛かるという点にあると思います。ドイツ代表に選ばれて初めて、用具やトレーニング、大会遠征費が支給されるという状況です。また、各種目を週1回練習したとしても、それだけで5日掛かってしまうので、特にやりたいことがたくさんある若い世代には不人気なのかもしれません。私は両親の理解と支援のおかげで続けてこられましたが、「そこまでこのスポーツに肩入れできるか?」と考えるのは無理のないことだと思います。

ただ、私が北京五輪で優勝した後、ドイツでは近代五種をやりたいと地元のクラブに申し出る小さな子どもたちが増えたようです。特に女の子が多かったとか。この人気を維持し、後継者を育てるためには、五輪種目であり続けることが大事だと思います。五輪種目であるか否かは、そのスポーツの人気を左右しますから。そして、学業と両立できる支援体制が整えば、近代五種の未来はきっと明るいでしょう。

現在、大学の修士課程でマーケティングを専攻されています。将来の目標は。

「スポーツをやっていたら、いつけがをするか分からない。そうなったとき、ほかに選択肢がなかったら?」。両親が常に私にそう言い、勉強するよう鼓舞してくれました。だから、大学進学は当然の成り行きだったのです。マーケティングを専攻したのは、単に興味があったから。英語を使って何か国際的な学問を学びたいと考えて決めました。今の大学は、自分のトレーニング・プランに合わせて授業や試験のスケジュールを立てられるのがメリットです。

将来のことは……これまでオリンピック開催周期に合わせて計画を立ててきたので、今のところはロンドン五輪以降のことは考えていません。でも、もし将来、近代五種がテレビ中継されるようになったら、私はキャスターとして解説しているかもしれませんね(笑)。

競技解説
5種目/馬術フェンシング、水泳、馬術、バイアスロン形式の射撃とランニングを合わせた計5種目の複合競技。フェンシングは1分1本勝負の総当たり戦。水泳は200メートル自由形。馬術では15の障害を越え、ランニング & 射撃は、馬術の時点で最も記録が良かった選手からスタートするハンディキャップ制。19世紀、ナポレオン統治時代のフランスで、急使が馬を操り敵陣に乗り込んだものの、敵軍に突き落とされて剣とピストルで戦うことを余儀なくされ、川を泳いで渡り、最後は走って自陣にたどり着いたという故事が競技の由縁とされる。


 
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