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So. 20. Aug. 2017

自然の恵みを食卓へ
ジビエを堪能

秋はジビエが旬を迎える季節。日本人にはあまり馴染みのないジビエだが、自然のものを食べ、野山を駆け回る野生の動物の肉は脂肪が少なく、ミネラルやビタミンをたっぷり蓄えた、森が育てた栄養食。「食欲の秋」に、本場欧州のジビエを楽しんでみよう。ジビエ(Gibier)はフランス語で、ドイツ語ではヴィルト(Wild)と呼ばれている。
(本文:ドイツニュースダイジェスト編集部)

猟師は自然保護のエキスパート?
現代ドイツにおける狩猟事情

童話の世界に登場する猟師のイメージが強いが、現代ドイツ社会において、「猟師」はどのような役割を果たしているのだろうか。ノルトライン=ヴェストファーレン州の世論調査会社が1000人にアンケートを行った結果をまずは見てみよう。「猟師が自然と野生動物の保護のために、その区域を管理することに貢献している」と思う人は93%、「野生動物による森や畑への被害を避けるため、野生動物を仕留めることは仕方がない」と思う人は77%いた。

一方で、現在ドイツの総人口の約10%に当たる約780万人※がベジタリアンになっており、その数は年々増加傾向にある。こういった食習慣の変化の中で、動物愛護の観点から猟師が野生動物の個数を制限することに対して疑問視する声もあり、毎年狩りのシーズンになると話題に上る。例えば、動物を増やすために冬に餌を与えることは禁止されているが、野生動物の数が少なくなると判断された場合には例外的に餌を与えることが許されている。ところが狩猟反対派は、「本当に数が少ないのか?狩るために増やしているのではないか?」と疑問を呈する。

前述の調査結果では、「狩猟は個人の喜びのために行っているものではない」と考える人は87%で、ここ10年で約10%上昇。狩猟は、何千年もの歴史を持つ文化財として大切にされており、根強い人気があるようだ。この傾向は、ドイツの狩猟免許保有者数の増加にも表れている。ドイツでは、狩猟免許を取得するために最低140時間の研修が必要で、欧州でドイツほど幅広いことを集中的に学ばなければならない国はない。狩猟が好きで仕事にしたい場合は、3年間の職業研修が必要だ。

ジビエの消費量については、一人当たりの年間消費量は1キロを下回っているものの、増加傾向にある。2014/15年のドイツ国内で獲れた肉は1万6585トンで、前年比で564トンの増加。約60%のジビエは国産で、残りは東欧やスペイン、英国、ニュージーランド、オーストラリア、南米から輸入している。

ドイツの狩猟免許所有者の変化
出典:ドイツ狩猟協会(DJV)
※Institut für Demoskopie Allensbach (IfD)

「ウィーン会議」でも狩猟を行っていた
王侯貴族や政治家を魅了した狩猟の歴史

人類は、狩猟によって肉や革、牙、羽毛など、生きるための食糧と物資を得てきた。農耕文化が始まり、牧畜業が発達すると、狩猟は食糧を得るための唯一の手段ではなくなり、スポーツや趣味としての役割も果たすようになっていく。

欧州では、狩猟は王侯貴族の特権として発展していった。彼らが狩りを好んだのは、狩りを通していつ戦場に行っても戦うことができるように身体と精神力を鍛える目的もあったから。特にフランスの宮廷では追走猟が流行り、ドイツにも伝わった。

追走猟は森に行くときに数十匹もの猟犬の群れを率いて、騎馬で獲物を狙う。猟犬は野生的な本能を発揮し、嗅覚を使って獲物を追い詰める。人は猟犬と獲物、動物間の自然な戦いを追うだけというスタンスである。通常複数の仲間で猟犬を率いて、ホルンで合図を送りながら獲物がいる場所を突き詰めていく。その後、ドイツでは16世紀頃から障害物を設置して狭い範囲で狩りを行う「囲い込み猟」が生まれた。囲い込み猟は、予め障害物を設置しなければならず、準備をするための狩猟賦役が存在した。また、国家元首や首相などの公賓との狩猟が頻繁に行われていた。『狩猟の文化―ドイツ語圏を中心として』(野島利彰 著)によると、「会議は踊る」として有名な1814年のウィーン会議でも狩猟が行なわれていたという。ドイツでも1975年に公式行事としての狩猟が廃止されるまで、ハノーファー近郊の国有狩猟地シュプリンゲ、カッセル近郊のラインハルツヴァルトなどで外交的な狩猟が行われていた。また旧東ドイツでもホーネッカー元国家評議会議長らが、来賓を狩りに招いていたことが、1990年のドイツ統一後、発覚している。

ドイツで動物愛護の観点から追走猟が禁止になったのは、1952年のこと。以降は、「模擬猟」が発達した。模擬猟は追走猟と同様、馬に乗り、犬を率いて草原を駆け巡るのだが、狙うものは人工的に作った野生の動物の臭い。模擬猟は、狩りというよりは乗馬スポーツの一つとして親しまれている。

追走猟を模した「模擬猟」の様子
追走猟を模した「模擬猟」の様子

森の自然を丸ごといただく
ジビエ料理に挑戦!

市場やお肉屋さん、はたまたスーパーマーケットでも、シーズン中は手軽にジビエを購入できるドイツ。今年は、ご自宅でもジビエ料理にチャレンジしてみませんか?人気のあるジビエの種類と調理のコツをご紹介。

ノロジカ Reh / Hirsche

牛肉と比べて1/5の脂肪しかないシカ肉は、たんぱく質が豊富でカロリーも低く、ビタミンB、カリウム、鉄、リンを多く含む。腰肉は柔らかいが、固い部位は調理前には一晩マリネしてから使う。若いノロはとても風味が良く、マリネにしなくても十分に繊細な味を楽しめる。狩猟シーズンはシカの年齢や性別によって細かい規定がある。例えば、小鹿(Kitz)は9月1日~2月28日、出産未経験の2歳のノロジカ(Schmalreh)は5月1日~1月30日、メスのノロジカは1月30日~9月1日、オスのシカは10月15日から5月1日など。

おいしい食べ方
フライパン、または網を使って焼く際の焼き加減は、中火でさっと火を通すイメージ。厚みのある肉の場合は6~10分ほど。薄切りにして、フライパンでソースと炒めてもおいしく、ぶつ切りにして圧力釜で野菜と一緒に蒸し煮にしても良い。香りを付けたいなら、木イチゴなどの果物や、赤ワインでマリネにする。脂肪が少ない場合は、豚の背脂を差し込む。

ノロジカのソテー アンズタケ添え

ノロジカのソテー アンズタケ添え
材料
シカ肉(ノロジカ) 500g
アンズタケ 300g
白ワイン 125ml
200ml
塩コショウ 適量
マスタード 小さじ1

作り方
  • フライパンに油(分量外)を数滴入れ、キッチンペーパーで全体に伸ばす。シカ肉は表面のみを焼き、塩コショウを振る。
  • シカ肉を別の鍋に移し替えて白ワインと水を加え、弱火で約15分煮る。
  • 下処理したアンズタケは、フライパンでバター(分量外)炒めにする。
  • ボウルにマスタードとの煮汁を大さじ1杯ほど混ぜる。
  • 煮詰めて鍋に残った煮汁で、のソースをさらに伸ばす。シカ肉を食べやすい大きさに切り、アンズタケのソテーを添える。

野ウサギ Feldhase

野ウサギウサギ(Hase)の肉は白いが、野ウサギの肉は褐色であるという違いがある。また、野ウサギの方が洗練された味わいがあり、脂肪分は少ない。美食家に人気があるのは、この素材の香りの良さがゆえ。若い野ウサギほど美味とされているが、森で何を食していたかによって肉質が変わってくる。乾燥した暖かい気候を好む野ウサギはドイツ各地で見かけられる動物だったが、最近は全国的に野ウサギの数が減っている。ここ20年間の統計によると、ピークを記録した2004/05年から捕獲数は徐々に減少し、2014/15年は10年前より42%減少している。

おいしい食べ方
野ウサギは年齢、サイズによって調理法が違ってくる。3~5kgの大人の野うさぎの場合はシヴェ(赤ワインで煮込み、血でつないだもの)、パテ、テリーヌに向いている。若い野ウサギはローストやソテーに。背肉は白ワインをかけてオーブンで焼く。タイム、ローズマリーとの相性も抜群。食用のウサギと同じく、背中とモモ肉がおいしい。

野ウサギのクリーム煮

野ウサギのクリーム煮
材料
野ウサギ(大きな野ウサギの場合は背中の肉だけ使用する) 1匹
生クリーム 250g
ワインビネガー 60ml
エシャロット 4個
塩、コショウ 適量
ハム 200g
バター 40g
白ワイン 100ml
片栗粉 小さじ2

作り方
  • 鍋にバターを溶かし、肉を入れる。火を止める数分前に、小さく切ったハムとエシャロットを入れる。
  • ワインビネガーと1/3の白ワインを投入し、塩 コショウを少し加える。ふたをして1時間、弱火で蒸し煮にする。
  • 煮ている最中に水分が不足してきたら、残り 2/3の白ワインを少量ずつ加えていく。最後に生クリームを加える。
  • に水溶き片栗粉を加えてとろみを付け、出来上がり。
  • 付け合わせには、塩水で茹でた芽キャベツやジャガイモのソテーを。深めの皿にたっぷりのソースと一緒に盛り付ける。

イノシシ Wildschwein / Schwarzwild

イノシシ イノシシはドイツ各地に生息しており、ジビエとして一般的な食材。特に子イノシシは最高の味として人気がある。生まれたばかりの頃は身体に縞があり、1歳未満の子イノシシは「Frischling」と呼ばれる。子イノシシは寒さや病気に弱く、生後1週間ほどで死に至るケースも。肉の部位は豚と同じ。イノシシは雑食性で、植物や動物、草、ハーブ、球根、根、果実、種子、昆虫、ねずみなどを食べる。優れた嗅覚を持つ動物としても知られ、トリュフを探すときも活躍する。天敵は、オオカミやクマ、オオヤマネコ。狩猟シーズンは6月16日から1月30日まで。

おいしい食べ方
イノシシは脂がさらっとしており、肉には独特な旨みがある。イノシシ肉は煮れば煮るほど柔らかくなるが、強火で煮てしまうと固くなるので、弱火でじっくり煮込む。よく香辛料を効かせたマリネ液に数日間漬けておくと良い。ビールに1日漬け込む方法もおすすめ。食中毒予防のため、必ず中心部まで火が通るよう、よく加熱しよう。

イノシシのロースト

イノシシのロースト
材料
ロースト用のイノシシ 1個
赤ワイン 750ml
玉ねぎ 1個
エシャロット 1個
パセリ、タイム、ローリエ、クローブ 適量

作り方
  • マリネ液を作る。スライスしたエシャロットを鍋の底に半量ほど敷き、パセリの葉を散らす。肉を置き、その上に残りのエシャロットとパセリを加え、赤ワインを注ぐ。クローブを玉ねぎに差し込み、塩コショウを加える。24時間漬けて置き、定期的に(4回ほど)肉を裏返す。
  • 24時間後に肉を取り出して、別の鍋に少量のバターや油(分量外)を引き、表面に茶色い焼き色がつくまで焼く。
  • にマリネ液を注ぎ、途中で肉を裏返しながら1時間半ほど弱火で煮る。
  • 水溶き片栗粉を加え、とろみをつける。

マガモ Wildenten

マガモ

カモ肉(Entenfleisch)はドイツ料理でもよく使われる肉だが、マガモは家畜のカモに比べて脂肪分が少ない。オーブンで焼いても、煮ても、詰め物をしてオーブンで焼いてもおいしく、調理もしやすい。注意点は、火を通し過ぎると肉が硬くなってしまうので、肉の色がピンク色になったらすぐに火を止めること。若いカモは、マディラワインやポートワインをかけて焼くのもおすすめ。大人のカモの肉は、フリカッセなど煮込み料理にすると柔らかくなる。

ヤマウズラ Rebhuhn

ヤマウズラ

ハトほどの大きさのヤマウズラは、ほかの鳥と比べて脂肪分が1/3ほど。灰色のヤマウズラは赤よりも希少で、より味わい深い。口の中で溶けるように柔らかい肉は、ローストやグリルにすると素材の良さがより引き立つ。硬くなった肉は、蒸し焼きや、サルミ(ローストした肉のソース煮)、パテにすると良い。より小さいウズラ(Wachtel)も、脂肪分は少ないが旨みがあり、簡単に調理できる。なるべくぽっちゃりした肉を選ぼう。

キジ Fasan

キジ

肉は締まっていて風味が良く、良質なたんぱく質として人気がある。メスの方が繊細で美味。肉をより柔らかくするために、マリネにしてから調理を始めることもある。脂肪分が少ないので、詰め物をしてオーブンで焼いたり、ソースをかけて頂く。ロースト、煮込み料理、コニャックやワインで味を付けるなど、様々な調理法がある。付け合わせには、生パスタや、ベーコンと玉ねぎと一緒に炒めたじゃがいもなどが合う。10月1日~1月15日までが狩猟シーズン。

相性抜群な付け合わせ&調味料

  • ヤマドリタケ Steinpilz

    ヤマドリタケ
    香りが高く、欧州では人気の高級キノコ。秋にコナラ属の木や栗の木の根元で採れる。乾燥させたものや、粉末にしたものも販売されている。身が締まっていて、傘がきゅっと閉じているものが良い。購入する際は、傘の裏側が緑色や茶色に変色していないか、虫食いの穴がないかなどをチェック。大きさは味にさほど影響しないが、鮮度は味を左右する。調理前に土をはたき、汚れているところは切り取ったり、濡れ布巾でやさしく拭き取る。
  • アンズタケ Pfifferling

    アンズタケ
    傘が反りかえっている黄色のキノコで、傘の裏には無数のしわがある。アンズの風味がすることからアンズタケと名付けられた。伝統的にシカ肉と合わせて食す。乾燥しているものの方が色も濃く、香りも強い。色が均一で弾力があり、香りの高いものを選ぼう。流水を使うと水を含んで風味が損なわれてしまうため、調理の下準備の際は、ナイフの先やブラシ、もしくはぬれ布巾で汚れを取り除くようにしよう。

  • キャベツキャベツ Kohl 特に鳥類は、軽く茹でたキャベツを下に敷いて焼くと、焼き汁と合わさってよりおいしくなる。
  • 栗 栗 Kastanie シカ肉の付け合わせに茹で栗を添える。ピューレにすると栗の柔らかい甘みがジビエによく合う。
  • セロリセロリ Sellerie 根セロリは、ピューレやサラダに。スライスしてサラダにするときには、レモン汁をかけておくと変色しない。
  • りんご りんご Apfel スライスしてパターで焼いたものを付け合せに。鳥類と一緒にオーブンで丸焼きにしてもおいしい。
  • レンズ豆 レンズ豆 Linse レンズ豆はジャガイモと玉ねぎと一緒に茹でてピューレ状に。バターと生クリーム、刻んだエストラゴンを混ぜる。
  • ベリー ベリー Beere ベリー類とジビエは相性抜群。特に赤フサスグリを砂糖で煮詰めたジャムやジュレがおすすめ。
  • セイヨウネズ セイヨウネズ Wacholder 独特な強い香りがあり、マリネに漬けるとき効果を発揮する。
  • 粒コショウ 粒コショウ Pfefferkorn 辛味をつけると同時に風味や香りをつけ、臭みを抑える。
  • ローリエ ローリエ
    Lorbeerblatt
    爽やかな芳香があり、臭みを消す効果がある。
  • ローズマリー ローズマリー Rosmarin 刺激的な香りがあり、臭みを抑え、抗菌作用を持つ。

 
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