Hanacell

現代芸術祭へ行こう!

2017年はカッセルで5年毎に開催される「ドクメンタ」と、ミュンスターで10年毎に開催される「ミュンスター彫刻プロジェクト」の2大芸術祭が同じ時期に重なるスペシャルイヤー。美術館だけでなく、公共空間を含む街全体を舞台に長期間にわたって開催されるこれらのイベントは、美術ファンだけでなく誰もが気軽に自由にアートを楽しむことができる。この夏のドイツならではのチャンスをどうぞお見逃しなく!(取材・執筆:坪井由美子)

Skulptur Projekte Münster 2017
ミュンスター彫刻プロジェクト2017

ドイツ西部にある大学都市ミュンスターで10年毎に開催される彫刻プロジェクトは、その成り立ちと質の高さから世界的に有名なパブリックアート展。近年日本や世界各地で急増している地域の芸術祭のモデルともいえる存在だ。第5回目となる今回は、第1回目から運営に関わるカスパー・ケーニヒを芸術監督に迎え、変化し続ける社会とアートの関係性を問う。

ミュンスター

ミュンスター彫刻プロジェクトについて知ろう!

ミュンスター彫刻プロジェクトとは?

ことの発端は約40年前、市が買い上げ設置しようとした有名アート作品に対する住民の反対の声からはじまる。その後さまざまな議論を経て1977年に「市民と公共空間、現代アートの関係性」を考える第1回ミュンスター彫刻プロジェクトが開催された。こうした背景から、同プロジェクトでは参加アーティストがミュンスターに長期滞在し、街の歴史や文化を十分知った上で市民と対話しながら作品をつくり上げるのが特徴。美術館の中だけでなく公園や庭、歩道、商店など街のいたるところに作品が展示されるため、市民は普通に歩いているだけでも意図せずしてアートに出会うことができる。しかも展示会場の入場はすべて無料。

自転車でアートめぐり!?

ドイツ歴史古都連盟の一つであるハンザ都市ミュンスターは、世界で一番住みやすい街に選ばれたこともある環境にやさしい街。学生街ならではのオープンで活気ある雰囲気が魅力だ。自転車の街としても有名で自転車の数はなんと人口の2倍もあるのだとか。広範囲にアート作品が点在している本イベントの開催期間中は、専用のレンタサイクルショップも設置される。事前に気になるアーティストの作品がある場所をチェックしておくと効率的にまわれるはず。切妻屋根の建物が並ぶ旧市街や世界最大のピカソのグラフィック作品コレクションを所蔵する美術館、広大な湖や公園を自転車でめぐりながら思う存分アートを楽しもう!

開催期間:2017年6月10日~10月1日
開催時間:月~日曜 10:00~20:00 金曜10:00~22:00

入場料:無料
アクセス:デュッセルドルフ中央駅からミュンスター中央駅までICで約1時間半
www.skulptur-projekte.de

ミュンスター彫刻プロジェクト2017必見アート7選

1

自然の中にそびえる「映像+音楽」の融合作
Harsh Citation, Harsh Pastoral,
Harsh Münster 荒川 医

芝生の中に置かれた数枚のLED スクリーン。映像が音楽を奏でるミュージカル形式のインスタレーションからは、芸術的な美しさとともに作家の批判精神が感じられる。アー湖の西端というアクセスしにくい場所にもかかわらず、はるばるやってくるアートファンが多数。
Handwerkskammer Bildungszentr.駅 Mecklenbecker通り近く

Britta Marakatt-Labbaによる「Histolia」
Britta Marakatt-Labbaによる「Histolia」
Britta Marakatt-Labbaによる「Histolia」
2

そこに暮らす人々の本音から考えるアート
How to Live Together 田中 功起

8名の参加者とともに共同生活を送りながら難民問題について話し合う様子を映し出した作品。私達はそのリアルな記録を追うことで、彼らとともに共生の可能性を考え、コミュニケーションと対話の大切さを痛感することになるだろう。
Aegidiimarkt A / LWL-Museum駅 Johannis通り近く

How to Live Together
How to Live Together
3

こことは違う異空間への入り口
N. Schmidt Pferdegasse 19 48143 Münster Deutschland Gregor Schneider

2001年の「ヴェネチア・ビエンナーレ」で金獅子賞を受賞したグレゴール・シュナイダーは、代表作「Haus u r」をはじめ「部屋」をつくることで知られる作家。ミュンスターの美術館につくられたもう一つの世界へ足を踏み入れ異空間を彷徨い、その不思議な感覚を体験してみてほしい。
Aegidiimarkt A / LWL-Museum駅 Pferde通り近く

N. Schmidt Pferdegasse 19 48143
Münster Deutschland
N. Schmidt Pferdegasse 19 48143
Münster Deutschland
4

先の読めない仕掛けにわくわくする実験作
Matrix CAMP

北海道生まれのインド人アーティスト、アショク・スクラマンがシャイナ・アナンドと結成したCAMPは、昔の劇場の壊れた壁が残る新劇場のバルコニーを舞台に、新旧を結ぶ実験的な作品を発表。黒いケーブルの先に何が現れるか……ボタンを押して試してみよう。
THEATER Münster駅 Neubrücken通り近く

Matrix / CAMP
Matrix / CAMP
5

リアルとファンタジーが交差する世界へ
Cosmic Generator Mika Rottenberg

肉体、労働、生産などの関係性を提言し「価値」についての追及を続けるミカ・ロッテンバーグは、アジアショップの一室で映像インスタレーションを上映。現実とファンタジー、不条理が交差する鮮烈な世界観は、一度体験したらクセになること間違いなし。
Kolpingstr.駅 Garten通り近く

Cosmic Generator / Mika Rottenberg
Cosmic Generator / Mika Rottenberg
Cosmic Generator / Mika Rottenberg
6

アーティストと市民の合作!?
Speak to the Earth and it Will Tell You (2007-2017) Jeremy Deller

人類学の研究をテーマに掲げるジェレミー・デラーは、クラインガルテン(市民庭園)の利用者に2007年〜2017年の日記をつけてもらうというプロジェクトを実行。10年をかけてアーティストと市民でつくり上げた、まさにこの芸術祭ならではのアートだ。
Pumpenhaus / Lublinring駅 Lublinring近く

Speak to the Earth and it Will Tell You
Speak to the Earth and it Will Tell You
Speak to the Earth and it Will Tell You
7

IT を駆使した最先端アートを体感
After Alive Ahead Pierre Huyghe

今や現代アートの巨匠の一人に数えられるピエール・ユイグの会場には、今回一番長い行列ができている。元スケート場の巨大な空間に出現したのは、SF映画のセットのような壮大なインスタレーション。謎の生物が飛び交う専用アプリを使って宇宙旅行を楽しもう。
Technologiepark駅 Steinfuter通り近く

After Alive Ahead
After Alive Ahead
 
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