旅ールのすすめ - ビールに会いに旅に出よう

山片 重嘉コウゴ アヤコ 1978 年東京生まれ。看護師を経て、旅するビアジャーナリストに転身。旅とビールを組み合わせた「旅ール」(タビール)をライフワークに、世界各国の醸造所や酒場を旅する。ドイツビールにほれこみ1 年半ドイツで生活したことも。「ビール王国」(ワイン王国)、「ビールの図鑑」(マイナビ)、「BRUTUS」(マガジンハウス)など、さまざまなメディアで活躍中。
www.jbja.jp/archives/author/kogo

ミュヘンで醸造マフィアが勢力拡大中!

ミュンヘンのビール界で今、革新的な醸造集団Munich Brew Mafiaが市民の心を掴みつつある。ロゴにはミュンヘン市民の憩いの場・オリンピア公園内にあるオリンピアタワーがデザインされており、地元を愛する「マフィアたち」の意思が感じられる。とはいえ、その商品名もボトルデザインもどこか恐ろしげだ。

創設者は二人の青年Dario StierenとNiklas Zerhoch。少年時代を共に過ごした二人はそれぞれ別の道を歩んでいたが、やがてミュンヘン市内のクラフトビアバーで仕事を始める。ビールについての探求心は尽きず、キッチンでの実験的なビール造りから始まり、他社設備を借りてオリジナルビールの醸造もするように。2018年には醸造経験があるAlexander Silbermannが加わり、本格的に醸造をスタート。現在は市内2カ所に自分たちの醸造所を設けている。

IPAやサワーエールなど流行のクラフトビールも造っているが、土台となっているのはミュンヘン伝統の醸造技術だ。彼らが重要視しているのは、飲み飽きずに何杯でも飲めるビールであること。定番商品の一つである「Das KriminelleHelle」(犯罪者へレス)は伝統のケラービールだ。柔らかい麦芽の風味と、溢れかえるように華やかなホップの香り、そして苦味が好バランスで飲む手が止まらない。「犯罪的においしい」ということで、この商品名がつけられた。

彼らはビール造りに留まらず、ビールの多様性を市民に知ってもらうための活動も行っている。市内のビアショップ「Die BIEROTHEK Munich」を旗艦(きかん)店とし、自社ビールと国内外300種類以上のビールを販売するとともに、ビールセミナーや醸造体験を開催しているのだ。映画の中のマフィアといえば、過激な存在ではあるがファミリーを大切にする。ミュンヘンにお越しの際には、ぜひファミリーの一員になってビールの多様性を体験されてはいかがだろうか。

www.munichbrewmafia.de

vol.59
Das Kriminelle Helle

Das Kriminelle Helle

 
  • このエントリーをはてなブックマークに追加


Nippon Express ドイツ・デュッセルドルフのオートジャパン 車のことなら任せて安心 習い事&スクールガイド バナー

デザイン制作
ウェブ制作