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旅ールのすすめ - ビールに会いに旅に出よう

山片 重嘉コウゴ アヤコ 1978年東京生まれ。杏林大学保健学部卒業。ビール好きが高じて2008年から1年半、ミュンヘンで暮らす。旅とビールを組み合わせた“旅ール(タビール)をライフワークに世界各国の醸造所や酒場を旅する。ビアジャーナリストとして『ビール王国』(ワイン王国)、『ビールの図鑑』(マイナビ)、『Coralway』(日本トランスオーシャン機内誌)など、さまざまなメディアで執筆。 www.jbja.jp/archives/author/kogo

クラフトビールの第一人者が造る燻製プラムビール

クラフトビールは米国の西海岸に端を発し、職人の情熱や創造性が感じられるビールを指す。今や世界各地でブームになっているが、ドイツでは2010年以降の潮流だ。地方色豊かなドイツでは古くから職人魂が感じられるビールが造られてきたが、クラフトビールは伝統に軸足を置きつつも、より創造的だろう。

ドイツで最初のクラフトビール醸造者の一人といわれている人物は、アーヘン近郊の街シュトルベルクに拠点を置くセバスティアン・ザウアー氏だ。自身の醸造所は持たず醸造を他社に委託する「ファントムブルーイング」と呼ばれる形態をとっている。アーヘンはベルギーに国境が近いこともあり、彼は10代のころからベルギーでさまざまなビール造りの技術や知識を吸収していった。ビールの原料を限定するドイツとは異なり、ベルギーではフルーツやハーブ、糖類などの副原料が使用できる。発酵の方法もユニークで、空気中に浮遊する野生酵母を取り込んだ野性味溢れるビールや、木だるに生息する乳酸菌を使用する甘酸っぱいビール、ボトルに糖を加えて2次発酵させるビールなどもある。

そんなセバスティアン氏はFreigeistBierkulturという社名の通り、ドイツでも自由な精神をもったビール文化を呼び戻そうとしている。例えば、現在では絶えてしまったドイツの個性的なビールを近代的な形で復古させたり、新しいビアスタイルを探求したりと、常識にとらわれない独特のビールを造っているのだ。

今回ご紹介する 「Freistadt Plumberg」もその一つで、フライブルクの醸造所Braukollektiv FreiburgとポーランドのBrowar Maryensztadtによる共同作品だ。原料に燻製したプラムと砂糖を使用している。一口目はスモーキーかつ完熟したプラムの甘酸っぱさに圧倒されるが、ポートワインのような濃厚な口当たりで、次第に癖になってくる。ドイツビールの世界を面白くしてくれる1本だ。

www.facebook.com/freigeistbierkultur

vol.61
Freistadt Plumberg

Freistadt Plumberg

 
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