Hanacell

輝け、原石たち
日本を飛び出し、ドイツで切磋琢磨する "若き血潮" を紹介します。


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下田直宣さん
1972年 神奈川県鎌倉市生まれ
1998年 武蔵工業大学大学院工学研究科卒業
1998年 日欧産業協力センターの企業研修プログラムに参加、ドイツ・ポツダム造船研究所で1年間の研修
2000年 須藤オルガン工房で3年間の修行
2006年 渡独し、時計の職業訓練学校卒業、職人資格取得
2007年 マイスター準備学校に通いながら手工業会議所で学び、マイスター資格取得
2007年9月~ Junghans Uhren GmbH、高級ブランド「Erhard Junghans」の設計部に勤務。シュランベルク在住。
もの作りをしたいとの決意からオルガン工房の門を叩き修行に入るも、もっと緻密な手仕事を求め時計職人の道を選ぶ。

部品の中で一番小さいネジは0.5ミリ。ミリ単位の部品を扱う時計職人の世界、その緻密なもの作りの世界で活躍するのが下田直宣さん。小さな部品の一つひとつを3時間~5時間かけて磨き上げることもあるという。

「部品を磨く作業には、自分の器用さの限界にチャレンジしているという側面がある。ほんと疲れちゃうんですけど、だからって汚いものを作るわけにはいかない」

気の遠くなりそうな作業だが、手間と時間をかけないと良いものは作れないと下田さんは言う。職人としてのもの作りへのこだわりが言葉の端々からにじみ出る。

「時計職人としては、本当に最高に幸せな仕事をさせてもらっています」

下田さんの仕事は設計から始まる。どういう部品を使って、どういう動きかたをする時計にするかをゼロから考える。そして、その設計図を元に制作するのも彼の仕事。この、設計と手仕事の両方に携われるところが職人としては嬉しいこと、完成品はまさに自分で作った時計と実感できるという。

時を計測する道具としての時計、下田さんが作る機械式時計にはその機能に限界がある。それこそ、デジタル時計や電波時計などの方が正確に時を刻むことができる。しかし、デジタル化が進む今の時代に機械式時計が生き残っているのは、時計が道具ではなく工芸品でもあるから。工芸品として美しい、魅力ある時計を作っていくことが現在の目標でもある。

彼の所属する高級ブランド部門は昨年立ち上がったばかり。今は部品からなにから試行錯誤の途中。道具や作業システムなども一から作り上げている。「時計を作る」という過程に関しては全てを任されている、これは面白い。まだまだここで腕を磨いていきたいという下田さんの作り上げる時計、次回作にも期待がかかる。

(編集部:高橋萌)

工具を作成している下田さん
工具を作成している下田さん

双眼拡大鏡でメカの動きをチェック
双眼拡大鏡でメカの動きをチェック

部品
時計「Erhard Junghans 1」の構成部品
Information

黒い森の中にあるJunghans Uhren GmbHは1861年創業 の老舗時計会社。「Junghans」 「Erhard Junghans」という2 つのブランドを持つ。高級機 械式時計のみを扱う「Erhard Junghans」に在籍する下田さんが設計に携わった時計の 名は「Erhard Junghans 1」とブランド名を冠し、同ブラン ド第1号の時計であった。今年4月にスイス・バーゼルで行 われた国際時計見本市で発表された。

Junghans Uhren GmbH
TEL: 07422-18888
住所: Geißhaldenstrasse 49, 78713 SCHRAMBERG
www.erhard-junghans.de/html/pages/de_index.htm

 
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