Hanacell

輝け、原石たち
日本を飛び出し、ドイツで切磋琢磨する "若き血潮" を紹介します。


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コンテンポラリーダンサー畦地 亜耶加さん
1983年 東京都生まれ
2001年~03年 阿佐ヶ谷美術専門学校在籍
2003年 ダンスカンパニー「伊藤キム+輝く未来」所属
2007年 「笠井叡 舞踏学校」卒業
2009年1月 平成21年度文化庁新進芸術家海外研修員として渡独
2010年現在 フリーランスのダンサーとして活動中。ベルリン在住

3歳の頃から舞踊家である母、加藤みや子の下でモダンダンスを学ぶ。「セルフポートレート」をテーマにした美術専門学校の修了制作で「足」というタイトルの作品を発表し、最優秀作品賞を獲得。2007年の埼玉全国舞踊コンクール、ソロ作品部門で第2位受賞。

母は著名な舞踊家。「あなたを産んだときも、子どもたちにダンスの指導をしていたのよ」と聞かされたほど、そして幼い頃は音楽が流れている限り踊り続けていたほど、踊りが肌身に染み付いた環境下で、畦地亜耶加さんは育った。

ダンスの師としての母親の存在は偉大だが、思春期ともなれば、同業者である母への反発や葛藤、本当にこのままダンスを続けるべきなのかという自身への問いに突き当たる。そこで彫刻家であった父親の影響もあり、美術へと方向転換。一旦はダンスの世界から離れてはみたものの、美術学校でも結局パフォーマンスを選択している自分がいた。

ダンスを続けるという決意が固まったのは、伊藤キムや笠井叡ら、日本を代表する振付家、ダンサーの下で学んでから。特に笠井氏の舞踏学校では、踊りのテクニックより、人間の持つ五感を用いて体を動かすという身体感覚のトレーニングを集中的に行った。思考が働かなくなり、ノイローゼに近い状態になるまで自分の内面と徹底的に向き合った経験は今、ダンサーとしての畦地さんの芯を支えている。

ピナ・バウシュの次世代を担うと評される振付家、サシャ・ヴァルツの作品に魅了されてベルリンへ渡り、現在は同氏の作品に出演中。ツアー公演でも、毎回ダンサーのコンディションも違えば観客の反応もさまざまで、2度と同じ作品にはならない。「ダンスは生もの」と語る畦地さんは、その瞬間しか味わえない舞台のライブ感を楽しんでいる。

ダンス以外の芸術分野から刺激を受けられるのも、アートのメッカ、ベルリンならでは。ギャラリーや美術館を訪れて「この絵からこんな踊りができそう」と想像したり、琴の演奏者と共演して、日本的な音色と動きの激しいコンテンポラリーダンスとの一見ミスマッチな組み合わせに挑戦したりと、新しい作品のアイデア模索に余念がない。「ダンスで生活するのは難しい。でも、常に生活のどこかにダンスの要素がほしい」。踊りの酸いも甘いも噛み締めたダンサーは今、その夢と現実を冷静に見据えている。

(編集部:林 康子)

「1人だけのデュエット」
2008年度埼玉全国舞踊コンクール、
ソロ作品「1人だけのデュエット」より

オリジナル作品「Ao」
2010年7月、Theater ACUDにて発表したオリジナル作品「Ao」

即興パフォーマンス
2010年7月、ギャラリーBethanienにて、
観客を巻き込みながらの即興パフォーマンス

Information

Continu - Sasha Waltz & Guests
畦地さんが出演しているダンスカンパニー「Sasha Waltz & Guests」 の『Continu』は、空っぽの美術館内の各スポットでダンサーが踊り、それを観客が観て回るという、ベルリンの新博物館(Neues Museum)とローマの国立21世紀美術館(MAXXI)で行われたプロジェクト『Dialoge 09』から派生した劇場作品。現在、欧州各地を巡回中。

パリ公演
2011年5月18日(水)~22日(日)20:00~
Théâtre de la Ville 2 Place du Châtelet, 75004 Paris
チケット問い合わせ: +33-(0)1-42742277

琴の演奏者、日原史絵さんとの共演
2011年6月3日(金)、4日(土)
Theaterhaus Mitte Wallstraße 32 (Haus C), 10179 Berlin
チケット問い合わせ: 030-28041966
www.thbm.foerderband.org

 
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