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ブリッツ庭園の公園鉄道に乗って

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この連載を長く続けていると、ベルリンの新しい場所や知られざるスポットを見つけるだけでなく、再訪したい場所も出てくる。ノイケルン地区のブリッツ庭園はそんな場所の一つだった。当連載で取り上げてからちょうど10年が経ち、イースターの日曜に家族で出かけてみることにした。

ブリッツ庭園内を周遊する公園鉄道ブリッツ庭園内を周遊する公園鉄道

U7のヨハニスターラー・ショセー駅からバスM11に乗って、アルト・ブッコウの停留所で降りる。青空の中10分ほど歩いて、四つある出入口の一つ、ブッコワー・ダムの入場口から庭園内に入った。

ブリッツ庭園は、1985年の連邦庭園博覧会に際して当時の西ベルリンに生まれた広大な公園だ。気持ちのいい風を浴びながら歩いていくと、600ミリの狭軌の線路が見えてきて、やがてディーゼル機関車に率いられたかわいらしいトロッコ列車が向こうからやって来た。

庭園自体は前回歩いたときと大きな変化はないが、その間私たちに子どもができた。7歳になった息子は、このミニ鉄道が気になって仕方がないようだ。はやる気持ちを抑えるべく、屋台で買った焼きソーセージを食べてから、北側の一角にあるチューリップ庭園に向かった。

今回楽しみにしていたのは、10年前には見られなかったトゥリパーン(チューリップの博覧会)を見ることだった。が、なだらかな丘を越えて、いざ花壇に行ってみると、まだほとんどが開花に至っておらず少しがっかりした。それでも、チューリップには約200もの品種があるようで、早咲きの品種が黄色い花を咲かせており、私たちを喜ばせてくれた。

庭園内で出会った早咲きのチューリップ庭園内で出会った早咲きのチューリップ

湖に面したレストランの周りはカレンダー広場と呼ばれ、その中心に欧州最大の日時計がある。やがて、あのトロッコ列車が汽笛を鳴らしながら再び近づいてきた。今度こそ乗りたい、しかも一周したいという息子に付き合うことにした(と言いつつも私も乗ってみたかったのだが)。

庭園内をくまなく回る公園鉄道は全長6キロあり、一周すると約1時間かかる。ミニ鉄道にしてはなかなかの規模だ。時計回りに走りながら、園内の名所を巡ってくれる。湖の南側に沿って走ったかと思うと、バラ庭園や夏から秋にかけてダリアが咲く花壇の横を抜け、やがてなだらかな丘を登っていく。

かなりの急勾配で、機関車はエンジン音をうならせる。右手の車窓からは、岩山を模したような外観のカフェ・アム・ゼーが湖畔に見え、人々がくつろいでいた。

カレンダー広場で降りてから、先ほど通った丘が気になったので、Hexengarten(魔女の庭園)と地図に書かれている方へ歩いてみた。お城の廃虚を模した一角が庭園になっており、中世の時代から魔女や悪魔を追い払う力があるとされた薬草や万能薬とされるテリアクなどが生育している。

丘のてっぺんからはテレビ塔の方面まで見渡せた。鉄道で一周したおかげで、この庭園の多彩な風景や高低差に富んだ地形をより味わえた気がした。

インフォメーション

ブリッツ庭園
Britzer Garten

ノイケルン地区にある90ヘクタールの風景庭園。マルツァーンの世界庭園などと同じく、グリーン・ベルリン有限会社が運営する。園内にはカフェやレストランに加え、環境学習の施設も充実している。入場料は3ユーロ(割引1.5ユーロ)。公園鉄道の料金は1周7ユーロ(子ども2.5ユーロ)。1駅は1.5ユーロで乗車できる。

オープン:毎日9:00~日没
住所:Sangerhauser Weg 1, 12349 Berlin
電話番号:030-700906710
URL:www.britzergarten.de

トゥリパーン
Tulipan

毎年春、ブリッツ庭園で開催されるチューリップの博覧会。小さな野生のチューリップから大きな葉の栽培種、5月の季節が終わる頃にだけその姿を見せるオウムチューリップなど、さまざまな種類を楽しめる。チューリップ以外にも、5~6月のツツジ、8~10月のダリアなど季節ものの花の博覧会がここの名物になっている。

開催:4月半~5月
URL:www.britzergarten.de/tulipan

 
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中村さん中村真人(なかむらまさと) 神奈川県横須賀市出身。早稲田大学第一文学部を卒業後、2000年よりベルリン在住。現在はフリーのライター。著書に『ベルリンガイドブック』(学研プラス)など。
ブログ「ベルリン中央駅」 http://berlinhbf.com
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