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新ナショナルギャラリーで涼む、 霧の彫刻

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新ナショナルギャラリーのウェブサイトを見ていたら、アーティストの中谷芙二子による「霧の彫刻」という展示が目に留まった。昨年公開され好評だったため、2026年も半年間にわたって展示されることが決まったという。説明を読みながら、これなら子どもと一緒に楽しめそうだと思い、晴天の日の土曜に行ってみることにした。

新ナショナルギャラリーで開催中の「霧の彫刻」新ナショナルギャラリーで開催中の「霧の彫刻」

新ナショナルギャラリーからフィルハーモニー方面を見ると、その二つの間に建設中の「20世紀美術館」の三角屋根がくっきりと浮かび上がっている。景観を考えてだろうか、高さはほかの建物と統一されており、うれしいことに私がこの場所の好きな理由である空の広さは保たれている。

さて、新ナショナルギャラリーの地下の売り場でチケットを購入し、中に入る。興味深い展示が目白押しだったが、まずは「霧の彫刻」を目指そうと思う。毎正時に行われていると読んでいたからで、現在15時50分。「政治と社会の間の芸術1945〜2000年」という大規模な展示の入口で係員に尋ねてみると、この先の中庭に行くよう教えてくれた。

展示を突っ切った先の大きなガラス窓の部屋は、「彫刻の庭」と呼ばれる中庭に通じている。以前は空調の関係で中庭への出入口は閉じられていたが、ガラスを入れ替える大改装後の2021年から庭に出られるようになった。

中庭で待つこと数分後の16時ちょうど、あちこちから人工の霧が立ちこめる。その生成スピードはかなり速く、真っ青な空との対比に見ほれていると、あっという間に霧に包まれ、目の前の息子さえも表情がおぼろげになる。1933年に札幌に生まれた中谷芙二子は、水を使った噴霧装置により、1970年の大阪万博で初めて霧の彫刻を展示したという。純粋な水を使っているので、霧の中に飛び込むこともできるし、一歩離れた距離からその濃淡を味わうこともできる。

新ナショナルギャラリーからフィルハーモニー方面を臨む新ナショナルギャラリーからフィルハーモニー方面を臨む

霧の彫刻は10分ほどで終わったが、子どもとはしゃいだり、水蒸気が生み出す美を感じたり、一寸先が見えないほのかな恐怖を疑似体験したりしているうちに、実際の時間以上に堪能した。実際、私たちはかなり幸運だったようだ。後日、別の日に見に行った友人は曇り空だったため霧の彫刻の展示は中止となり、猛暑の日に行った別の知人は暑さのためか、わずかな時間で終わってしまったと聞いた。

久々に訪れた新ナショナルギャラリーの展示の充実ぶりは目を見張った。1920年代のポツダム広場を描いたキルヒナーらドイツ表現主義の展示を観た後、ゲルハルト・リヒターのコレクションでは、大作「アウシュヴィッツ」に思いがけず触れることができた。

それでもなお展示スペースが不足しているために、20世紀美術の新館として新しい美術館を建設しているわけである。2030年(あくまで予定だが)に完成した後は、二つの美術館が地下で結ばれるという。

今のベルリンで先の話をしてもしょうがない。この夏は、天気のいい日を狙って「霧の彫刻」で涼むのもおすすめである。

インフォメーション

新ナショナルギャラリー
Neue Nationalgalerie

モダニズムを代表する建築家ミース・ファン・デル・ローエの設計により1968年にオープンした美術館。現在、20世紀の抽象彫刻を代表するコンスタンティン・ブランクーシの特別展(2026年8月9日まで)、「政治と社会の間の芸術1945〜2000年」(2027年4月25日まで)、「ゲルハルト・リヒター」展など、充実した展覧会が続いている。全展を見学できるチケットは20€(割引10€)。

オープン:火〜日10:00〜18:00(木10:00〜20:00)
住所:Potsdamer Str. 50, 10785 Berlin
電話番号:030-266424242
URL:www.smb.museum

中谷芙二子「霧の彫刻」展
Nebelskultpur von Fujiko Nakaya

1968年に新ナショナルギャラリーがオープンして2年後の大阪万博で初めて発表して以来、中谷芙二子の「霧の彫刻」は50年以上にわたって世界中で展示されてきた。新ナショナルギャラリーの展示は、中庭を舞台に11~17時までの毎正時に行われる(木曜は19時まで)。2026年10月25日までの開催。

URL:www.smb.museum

 
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中村さん中村真人(なかむらまさと) フリーライター。神奈川県横須賀市生まれ。早稲田大学文学部を卒業後、2000年よりベルリン在住。著書に『ベルリンガイドブック』(地球の歩き方)、『明子のピアノ』(岩波ブックレット)、監修を務めた『おとうさんのポストカード』(講談社)など。
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