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リンデンの丘で春を告げる 可憐なシラーの花

ハノーファーの南西部にあるリンデン地区。緩やかな坂道を上がったところにリンデンの丘(Lindener Berg)があります。ハノーファーは平らなので、丘といってもそれほど高くはありません。しかし小さな見晴台が設けられており、南の方向がよく見渡せます。

丘にはリンデンの塔があり、冬は塔を囲んだクリスマスマーケット、夏はレストランとしてにぎわっています。隣には水道局の建物があるほか、毎週木曜日に一般開放されている天文台もあります。北側には「リンデンの丘墓地」があり、3月末から可憐なシラーの花(Scilla)が咲き始めました。まさに春の訪れの象徴であり、人々を魅了しています。

パビリオンの周りも青いじゅうたんパビリオンの周りも青いじゅうたん

リンデンの丘墓地は1862年に造成され、当時の面影を残した独特の風情があります。6ヘクタールの広さで、130の墓碑がありますが、文化財保護に指定されているため新しく墓碑を建てることはできません。街中心部から3キロほど離れており、クラインガルテン(市民農園)や市営学校生物センターの分園と隣接した自然豊かな静かなところです。

敷地内にはドーム型の天井をしたキュッヘンガルテンパビリオンという建物があります。もともと1741年に別の場所に建てられたものを第一次世界大戦前にこの場所に移しました。当時は戦没者の祈念碑の役割を果たしていましたが、現在では芸術家のアトリエや展示会場となっています。

子どもたちも大喜び子どもたちも大喜び

鳥がさえずり、木々が空いっぱいに枝を広げていますが、木に新緑は見えません。空気はまだ冷たいけれど、土の中では春が始まっています。この時期ひっそりと、けれど力強く地上に顔を出すのが、青いシラーの花です。細い葉っぱや茎が土から飛び出し、そこに首をもたげるように鮮やかな青い花が付いています。一つひとつは小さくてか細いけれど、 まとまって咲いている様は圧巻。まさに青いじゅうたんです。一口に青といっても濃淡があり、なかには紫がかったものもあり、ほれぼれします。

春の訪れを告げるシラーの花春の訪れを告げるシラーの花

この墓地は、日頃から散策の場として市民に親しまれていますが、シラーの時期には遠方からも人がやってきます。今年は3月15〜29日までシラー祭りが開かれ、期間中の週末は天文台で太陽を観察する人や、教会の塔に上る人、ジャズの生演奏を楽しむ人や、生物センターで植物について相談に乗ってもらう人など、多くの人でにぎわっていました。

シラーの花を愛でることで春を感じ、また人々とつながることができる。毎年シラー祭りの季節が巡ってくると、寒い冬は終わりなのだと実感し、幸せな気分になります 。

田口理穂(たぐち・りほ)
日本で新聞記者を経て1996年よりハノーファー在住。ジャーナリスト、法廷通訳士。著書に『なぜドイツではエネルギーシフトが進むのか(学芸出版社)』、共著に『コロナ対策 各国リーダーたちの通信簿(光文社新書)』、『夫婦別姓─家族と多様性の各国事情(筑摩書房)』など。
 
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