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ハノーファーの市庁舎が100周年

1913年6月20日に完成したハノーファーの市庁舎が、設立100周年を迎えました。この市庁舎は、市民から「新市庁舎」と呼ばれています。旧市庁舎は旧市街にあるレンガ造りの建物で、その最も古い部分の歴史は15世紀にさかのぼります。それに比べれば、築100年はかなり新しいと言えます。

6月20~23日に掛けて、様々な100周年記念イベントが開かれました。市庁舎前の広場ではコンサートが開かれたほか、21~23日には「文化祭」と称して同広場に屋台が軒を連ね、多くの人で賑わいました。22日には市庁舎内部が一般公開され、市長室や議会場、来賓の間など、市民は興味津々で普段は入れない部屋を見学。歴代の皇帝や名士が訪問の際に署名した分厚いゲストブックも公開され、シュトラオホ市長による案内が人気を博していました。

100周年の市庁舎
100周年を迎えた新市庁舎

市庁舎が完成したのはドイツ皇帝ヴィルヘルム2世の時代。もともと沼地だったため、基礎工事は6062本の杭を立てて行われました。入り口は、高さ30メートル超の吹き抜けのホールになっています。ここには17世紀、第2次世界大戦前、戦後、そして現在のハノーファー市中心部の模型が置かれています。このホールは、1946年にニーダーザクセン州の設立が宣言された場所でもあります。

ホードラー「約束」
ホードラーの絵画が印象的な会議室

市庁舎の中で最も美しいと言われるホードラーの間には、「結束」というタイトルの大きな絵が飾られています。格調高い木製のテーブルと椅子が置かれた会議室ですが、1970年代は予算不足のため、がらくた置き場と化していたこともあったとか。しかし、80年代に改装されて見違えるように変わりました。ほかにも、3枚のモザイク画が印象的な「モザイクの間」や、庭が見下ろせる「庭園の間」といった豪華な部屋があります。

市庁舎屋上の展望台へは、エレベーターで昇ります。このエレベーターは世界で唯一、円形のドームに沿って、17度の角度に傾斜して昇る構造になっています。展望台からは市内を一望できます。また、市庁舎裏のマッシュ湖では7月半ばまで夜のイルミネーションを開催。青い光が湖面に反射し、幻想的な雰囲気を醸し出します。さらに、7月28日まで市庁舎に入ってすぐ左側の部屋では「新市庁舎100年――1913~2013」と題した記念展が開かれ(毎日10:00~18:00、入場無料)、市庁舎の建設をはじめ、戦中や戦後の軌跡など、ハノーファーの歴史が紹介されています。

戦争でも破壊されずに残った市庁舎は、市のシンボルとして市民から親しまれています。市庁舎の情報は市のHP(www.hannover.de)より。

田口理穂(たぐち・りほ)
日本で新聞記者を経て1996年よりハノーファー在住。社会学修士。ジャーナリスト、ドイツ語通訳。著書に『市民がつくった電力会社: ドイツ・シェーナウの草の根エネルギー革命』(大月書店)、共著に「お手本の国」のウソ(新潮新書) など。
 
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