ジャパンダイジェスト

バヴァリア像から見下ろすオクトーバーフェスト会場

今年のオクトーバーフェストは、9月21日(土)~10月6日(日)。世界的に知られたミュンヘンのこのお祭りを、毎年700万人近くの人が訪れます。会場に向かう地下鉄乗り場のホームには人が溢れ、電車の各ドアに警備員が張り付いている様子に「ここは日本では?」と思うほどです。ミュンヘンにお住まいの方なら、きっと一度はオクトーバーフェストに足を運んだことがあるでしょう。そして広大な会場の西側にあるギリシャ風の建物と、その前に大きな像が立っているのもご覧になったことがあると思います。今回は、この「バヴァリア像」についてレポートします。

バヴァリア像の全景バヴァリア像の全景

大きなブロンズ像と背後のギリシャ神殿風の建物は、ルートヴィヒ1世の命により、バイエルンの功労と名声をたたえるために建設されました。この建物の壁面には、政治的に、また科学や芸術の分野で大きな貢献をしたバイエルンの著名人の胸像が並んでいます。もともとあった67体に加えて、戦後に修復された折に、さらに31体が加わりました。

ライオンの顔を中から見るとライオンの顔を中から見ると

さて、バヴァリアのブロンズ像は高さ約9メートルの台座の上に立っており、台座から上のブロンズ部分は約18.5メートルです。バイエルンの守護神といわれるこの女神像は、1850年に完成しました。像としてはギリシャ風なのですが、古代ゲルマン人の特徴を与えるために、月桂冠はカシの葉になり、簡素なドレスの上に熊の毛皮を着ているのだとか。脇に控えるライオンや剣も、バイエルンの威光を表しているのでしょう。

このブロンズ像、実は中が空洞になっていて、内部を上れるようになっているのです! このように大きなブロンズ像で中を上れるのは、ドイツではバヴァリア像だけだそうです。ただし中に入れるシーズンは限られており、今年は10月8日(火)まで。中は狭いらせん階段なので、登る人と降りる人がすれ違うのは結構大変だなと思いました。頭の部分まで来ると、身をかがめながら入らなければならず、かなり狭いです。最上部にはベンチがあり、小さな穴がいくつかあって、そこからオクトーバーフェストの会場やミュンヘンの街を見ることができます。混雑が予想されるので、オクトーバーフェストの時期を避けたほうが無難でしょう。

バヴァリア像から眺める、設営中のオクトーバーフェスト会場とミュンヘンバヴァリア像から眺める、設営中のオクトーバーフェスト会場とミュンヘン

入場料は5ユーロですが、バイエルン州のお城めぐりパス(Bayerischen Schlösserverwaltung、14日間もしくは1年間から選択)があれば無料で入れます。バヴァリア像もバイエルン州にある数々のお城も、かつては王族の威厳を示すものでしたが、今は観光地となってバイエルン州の収入に貢献してくれているようです。

井野 葉由美(いの はゆみ)
イエス・キリストに出会って、声楽専攻から牧師に転身。2022年よりミュンヘン日本語キリスト教会牧師。今でも少女マンガ、オペラ、ダンスは大好きです。 www.muc-japan-christ.com/

 
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