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フラウエン教会のパイプオルガン・コンサート

パイプオルガンが奏でる音色は荘厳かつ華やか。キリスト教会との密接な関係の中で発達し、日本人には異国情緒を感じさせるこの楽器、ドイツではあちこちで見ることができます。1台1台がオーダーメイドで、それぞれ個性があるというのもこの楽器の特徴の1つ。ミュンヘン中心部にあるフラウエン教会(Frauenkirche)で9月17日まで、毎週水曜19:00からパイプオルガン・コンサートが開催されていると知り、8月中旬に聴きに行ってきました。奏者は毎回異なりますが、ほとんどがドイツ出身者だそう。ただ、この日はモスクワからオルガニスト、アレクセイ・セミョーノフを迎えて開催されました。チケットは当日現地で購入できます(大人10ユーロ、割引7ユーロ)。

主オルガンの音が聴衆を優しく包み込みます
主オルガンの音が聴衆を優しく包み込みます

後期ゴシック様式のフラウエン教会の歴史は15世紀末までさかのぼりますが、現在のパイプオルガンは、1990年代に同教会が改修された際に新たに製造、設置されたものです。信者席の後方のバルコニーにある主オルガン、南側廊の聖歌隊オルガンのほかに、北東にある聖餐式用チャペルのオルガン、移動可能な小型オルガンと、計4台あります。主オルガンと聖歌隊オルガンは光ファイバーで繋がれ、2台同時に演奏が可能。製作を担当したレーゲンスブルク近郊のトーマス・ヤン・オルガン製造会社(Thomas Jann Orgelbau GmbH、1974年創業)は、ミュンヘンを象徴する教会の祭式を彩ることで一躍知名度を高めたようです。

聖歌隊オルガン
中央のキリスト像の右手にある聖歌隊オルガン

日々、多くの信者や観光客が訪れるフラウエン教会ですが、この日の18:00以降はコンサートの鑑賞者のみに入場が許可されました。開演時間を過ぎること数分、静かに待っていると、特別な前触れもなく演奏がスタート。聴衆がパイプオルガンの演奏者を見ることはできませんが、それがかえって聴覚を研ぎ澄ますのか、和音を構成する1つ1つの音が明瞭に感じられました。演奏中は建物全体がオルガンの響きにすっぽりと包み込まれ、この楽器は教会のために作られたものなのだと実感できます。また、天井が高いためか、残響がとても長く、音の余韻をたっぷりと楽しむことができます。この日の曲目は17~20世紀のドイツとロシアの作曲家の楽曲で構成され、バッハ、クレープス、タネーエフ、ショスタコーヴィチ、グバイドゥーリナと、約1時間のコンサートの内容は、変化に富んだ濃いものでした。

フラウエン教会のほか、 聖ペーター教会(St. Peter Kirche)でも9月14日までパイプオルガン・コンサートが定期開催されています。2つの教会のパイプオルガンの音色を聴き比べてみるのも楽しいかもしれません。

www.muenchner-dom.de/die-kathedrale/rundgang/die-orgel.html

Y. Utsumi
2002年からミュンヘン近郊の小さな町ヴェルトに在住。会社員を経て独立し、現在はフリーランスとして活動中。家族は夫と2匹の猫で、最近の趣味はヨガとゴルフ、フルート。
 
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