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Di. 24. Apr. 2018

ドクターの診察室
ドクターの診察室: 健康に関する悩み・質問にDr. 馬場が答えます!

ダニ脳炎って どんな病気?

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子どもの同級生のお母さんが、ダニ脳炎の予防接種について話していました。あまり聞き慣れない病気ですが、どのような病気なのでしょうか。また、その予防接種についても教えてください。

Point

  • マダニで媒介されるウイルス性脳炎。
  • 正式名は初夏脳髄膜炎(FSME)。
  • 発症が多いのは南ドイツ、スイス、オーストリアの森林地帯。
  • ダニ脳炎には根本的な治療法がない。
  • 生息地域とされる森林を訪れる際は、予防と防御策を。
  • 予防のためのワクチン接種が有効。
ダニ

ダニ脳炎とは

● ウイルス感染症
森林地帯に生息するマダニ(Zecke=ツェッケ)、別名「吸血ダニ」に噛まれて感染するウイルス感染症です。「ダニ媒介性脳炎」の1つで、初夏頃から増えるため「初夏脳炎」「初夏脳髄膜炎」(Frühsommer Meningoenzephalitis)と呼ばれます。ドイツでの略称は「FSME」です。

● 発症者数と感染危険地帯
ベルリンにあるロベルト・コッホ研究所のまとめによると、2002〜13年の12年間にドイツでは3403人が発症し、13年は420人でした。感染が多く報告されているのは、南ドイツ各州やスイス、オーストリア、チェコ、ポーランドの森林地域です。ドイツでは特にバイエルン州、バーデン=ヴュルテンベルク州での発症が大半を占め、これにヘッセン州、ザクセン州が続きます。13年にはノルトライン=ヴェストファーレン州でも3人が発症しています(ロベルト・コッホ研究所「2014年4月報告書」より)。

最近10年間のドイツ国内の発生者数

● 感染の季節
初夏脳炎と呼ばれるように、冬の期間の感染は少なく、手足を露出した服装で森林に入る季節に多くみられます。13年の発症者420人のうち、411人は4月以降の発症です。

● 脳炎発症率
脳炎ウイルスを持つマダニは、全体の0.1~3%と言われています。仮にウイルスを持つマダニに噛まれても、感染率は約30%ほどです。また、感染しても必ずしもすべての人に症状が現れるわけではありません(無症候感染)。しかし発病すると、命に関わる重篤な症状や後遺症を伴う神経障害を引き起こすことがありますので、油断は禁物です。

ダニ脳炎の症状は

● 初期症状
約3〜14日間の潜伏期間の後に、発熱・頭痛・手足の痛みといった夏風邪に似た症状がみられます。吐き気や、光に過敏になるといった症状もままあります。多くの人は1週間程度で快方に向かいます。

● 脳炎の症状
初期症状が悪化すると、数日間の間隔を空けて2回目の発熱が起こり、神経系の諸症状が現れます。これは、感染したウイルスが脳内に入るためで、激しい頭痛・頸部硬直、意識障害・構音障害(発音が正しくできない)・麻痺などの症状がみられます。死亡率は1〜5%とされています。一方、脳脊髄膜炎の発症はもっと多く、死亡率もより高くなるという報告があります(医学誌『Der Nervenarzt』(2011年)「1994〜99年にバーデン=ヴュルテンベルク州で発症した731人を対象とした調査」より)。

● 後遺症について
脳髄膜炎を発症した患者の3分の1から半数に、神経学的な後遺症が残ると言われています。後遺症としては、感覚異常や頸部から上腕の麻痺、平衡感覚障害(体勢のバランスが取れなくなる)、嚥えんげ下障害(むせて食べ物を上手く飲み込めなくなる)、発声障害などです。発症すると、より高頻度に後遺症が残るという調査報告もあります(前途の医学誌より)。

ダニ脳炎の経過と症状

予防のための基礎知識

● 危険は森の中に
初夏脳炎のウイルスは、森に住む動物の体内で増殖し、その動物を吸血したマダニによってほかの動物へと媒介されます。感染の危険があるのはマダニが生息している森林地域で、森の中のハイキングや山中でのキャンプにおいては危険度が増します。マダニは高さ1〜1.5mの草木に潜んで獲物が来るのを待ち構えており、特に道から離れての用便の際には注意が必要です。

● ダニに噛まれないために
感染危険地域でのキャンプやハイキングの際は、長袖・長ズボン、靴下を着用するようにしましょう。市販のダニ除けローションやスプレーも有用です。

● マダ二に噛まれてしまったら
マダニは8本足を皮ふにがっしりと食い込ませて血を吸うため、指などで引っ張って取り除くことは難しく、市販の専用ピンセット(Zeckenzange)でねじるように引き抜きます。どうしても取れない場合には、最寄りの医療機関を受診してください。

● ダニ脳炎の治療法
ウイルスが中枢神経系に入り込んで脳髄膜炎を発症してしまうと、これを抑える治療法はなく、対症療法が主体となります。ダニ脳炎は発症までの潜伏期間が短いため、ダニに噛まれてから予防注射を打っても効果はありません。

ダニ脳炎の予防

ダニ脳炎の予防注射

● なぜ予防接種をするのか
旅行中に脳炎ウイルスに感染したダニに噛まれ、さらにダニ脳炎を発症する確率は低いかもしれませんが、山や森林へ行く予定がある場合は、ダニ脳炎ワクチンの予防注射は確実な予防法となります。

● 予防注射の回数
基本的には、①初回、②(初回から)1〜3カ月後、③(同)6〜9カ月後の3回接種です。その後、3〜5年ごとに免疫維持のためのワクチン接種を1回行います。急ぎの場合は例外的に、①初回、②7日後、③21日後および④1年後(Encepur)、または①初回、②14日後、③9カ月後(FSME-IMMUN)という接種方法もあります。大人用と小児用のワクチンがあります。

● ワクチンの予防効果
初回接種の7日後から抗体が上がり、予防効果が現れます。予防接種を3回行うと、少なくとも3年間は99%以上の予防効果が得られます。

● 予防接種を考えている方へ
マダニが生息する危険地域で森や山間部を散策したり、草原でのキャンプを予定している場合は考慮が必要となります。また、以下のような人にも予防接種が推奨されます。a) 感染危険地域の住人、b) 仕事で森林に入る機会の多い人、c) 危険地域へ旅行する人。

 
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馬場恒春 内科医師、医学博士、元福島医大助教授。 ザビーネ夫人がノイゲバウア馬場内科クリニックを開設 (Oststraße 51, Tel. 0152-05412673)、著者は同分院 (Prinzenallee 19) で診療。

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