ジャパンダイジェスト

急な肩の痛み - どうして、何が原因?

突然に右肩、右腕が痛くなりました。痛みで夜もよく眠れません。五十肩だと思っていましたが、首を後ろに倒すと右手の親指のしびれも感じます。原因は何なのでしょうか、心配です。

Point

  • 夜に痛みが強くなることが多い
  • 四十肩、五十肩は関節周囲炎
  • 女性に多い石灰沈着性腱板炎
  • 肩腱板断裂は60代男性の右肩に多い
  • 首を後ろに倒した際に感じる腕の痛み・しびれは頚椎症性神経根炎

肩に痛みが出る病気

睡眠を妨げる肩と腕の痛み
病名 特徴
頚椎症性神経根炎 手のしびれ
四十肩、五十肩 肩関節周囲炎
石灰沈着性腱板炎 女性に多い
肩腱板断裂 男性に多い
肩凝り 運動不足、ストレス

● 肩関節の周りの病気

肩(Schulter)は複雑な動きをする関節(Gelenk)です。上腕骨と肩甲骨の間の関節ですが、肩甲骨、上腕骨、鎖骨、胸骨、胸郭をつなぐ5つの関節からなる肩複合体の全体を意味することが少なくありません。いずれの部分の障害でも肩の痛みが生じます。

● 首の骨や神経が原因

首(Hals)にある頚椎(Halswirbel)は、7個の骨(Knochen)から構成されています。骨の変化でそこを通る神経が圧迫されると、片側の腕や肩甲骨の裏側に放散する痛みやしびれを生じます。

● 内科系の病気の可能性も

心臓の病気では左肩付近から左上腕にかけての凝りや痛みが、胃の病気や逆流食道炎では肩や背中にかけての痛みが。血圧の上昇でも肩凝りがみられます。

四十肩、五十肩(肩関節周囲炎)

● 四十肩と五十肩は同じ

江戸時代では平均余命は40歳程度でしたので「長寿病」とも呼ばれていたようです。四十肩も五十肩も実は同じ「肩関節周囲炎」、40歳を過ぎて出たら四十肩、50歳前後でみられたら五十肩と呼ばれます。ドイツ語ではFrozen Shoulder(直訳すると「凍結肩」)。

● 肩関節周囲炎の症状

肩を動かす時と夜間の痛みが特徴。腕を上げる時や服を着替える時に痛みで上手く手を動かせないことがあります。痛みによる睡眠障害も少なくありません。

● 関節周囲の炎症や癒着が原因

肩関節をつくる骨、靭帯、腱や軟骨が老化により周辺に炎症が生じて起こります。炎症が進んで滑液包や関節包が癒着すると関節の動きはより悪くなります。

● 治療は鎮痛薬

痛みに対してイブプロフェン(Ibuprofen)やディクロフェナック(Declofenac)などの鎮痛薬を、その効果が不十分な場合にはステロイドと局所麻酔薬の注射も行われます。癒着などがひどい時は手術療法も検討します。

石灰沈着性腱板炎(Sehnenverkalkung)

● 女性に多い病気

肩腱板に溜まったミルク状からクリーム状のカルシウム(石灰)によって起こる急性の炎症です。40~50代の女性に多く見られます。

● 肩の激痛で始まる

夜に突然起こる激痛が症状の現れです。クリーム状の石灰が多く溜まるほど痛みも強くなります。痛みのため肩を動かすことはできず、夜の睡眠も妨げられます。腱板(次項)という部位のカルシウム沈着がみられます。

● 肩腱板って何?

肩を動かすための内側にある4つの筋肉が板状に上腕骨に付着する部分を回旋筋腱板(Rotatorenmanschette)、省略して「腱板」と呼ばれます。

● 治療方法は?

肩腱板に針を刺してミルク状のカルシウムを吸引し、痛み止めやステロイド製剤の注射をします。カルシウムが石膏のように固まっている場合には手術も検討します。

肩腱板断裂

● 60代、男性、右肩

肩腱板断裂(Rotatorenmanschettenruptur)は中年以上(ピークは60代)の男性の右肩に多く見られるのが特徴。女性が発症する割合は男性の約半分です。肩腱板の老化によるもので、特に外傷がなくとも普通の日常生活の中でも起こります。スポーツも原因の一つです。

● 鈍痛による夜間不眠

肩の運動痛はもとより、肩を動かさないでじっとしている時の痛み、さらに寝ている時に感じる肩の鈍痛が特徴です。腕の上げ下ろしの差異に肩に引っかかった感じの「ゴキゴキ」「ポキポキ」音がすることもあります。

● 実は身近な病気です

肩の症状がない「無症候性の腱板断裂」は、50歳以上の4人に1人、65歳以上ではほぼ半数にみられるという報告があります(2006年の整形外科学会雑誌より)。筋力低下や筋の萎縮のみがみられることもあります。

● 肩腱板断裂の治療

保存療法と手術療法があります。前者ではステロイドや局所麻酔薬の注射と運動療法が主体。改善がみられない場合には「腱板修復術」の手術が行われます。

頚椎症性神経根症(Radikulopathie)

● 原因は首の骨の変化

首のところにある骨(頚椎)の老化によって変化し、神経根(脊髄から腕にいく神経)とよばれる部分の神経が 圧迫されて起こります。

● 首を後ろに倒した際に感じる痛みとしびれ

中年〜高齢者にみられる肩から腕にかけての痛みの原因の一つです。圧迫された神経根の神経の支配領域に一致して手や指にしびれ感を伴うこともあります。特徴は首を後ろにそらすことにより痛み、しびれが出現したり、症状が強くなります。

● 自然治癒を待つ

鎮痛薬を用い、首(頚椎)の牽引や首の後屈を避けるなどにより、自然回復を待ちます。回復までに時間がかかることも多く忍耐強い取組みが必要です。神経根の圧迫で筋力の低下が大きい場合や、痛みで日常生活に支障が出る場合には手術が行われることもあります。

頑固な肩凝り(verspannte Schultern)

● 特に僧帽筋が関係

肩から首、背中の凝りや痛み、時には押さえ付けられているような頭の痛み(筋緊張頭痛)を経験した方も少なくないでしょう。肩凝りには主に、首の後ろから肩〜背中に拡がっている僧帽筋(Trapezmuskel)という筋肉が関係しています。

● 同じ姿勢やストレス

長時間のデスクワークやコンピューター操作など、同じ姿勢を続けることによって肩や背中の筋肉の緊張が持続するためと考えられています。日常の運動不足、精神的なストレスも誘因になります。

● 内臓疾患にも注意

心臓の病気では左肩から左腕の凝り、胃や膵臓の病気では背中の痛み、逆流性食道炎では肩付近の痛みや凝りが現れることも。風邪の時に肩が凝る人もいます。

 

肩の痛みに用いる検査

● 圧痛部位、運動制限の特徴の確認

最初の症状が現れた状況、肩の各部位の圧痛の確認、腕の運動制限の特徴、首の回旋による症状の変化などを参考に必要な検査を選択します。

● レントゲン写真

主に骨の変化を知ることができます。肩腱板断裂では肩峰と骨頭の間の距離が短くなるなどの間接的な所見としてみることも可能です。ただし、腱や靭帯などのレントゲンに映りにくい軟部組織の損傷を把握するには限界があります。

● MRI(MRT)検査

放射線ではなく、磁気を用いる検査。腱の断裂の有無や状態などを細かく観察できます。しかしコストが高いこと、検査中の大きな騒音、磁気を用いるため体内に金属類が入っている場合の制限などの留意点もあります。

● 超音波検査

放射線も磁気も用いない簡便な検査法。最近は、筋肉・腱・血管の異常を鮮明に描出できる高精度の機器もあり、肩関節障害やスポーツ外傷でも不可欠な存在です。

 
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馬場恒春 内科医師、医学博士、元福島医大助教授。 ザビーネ夫人がノイゲバウア馬場内科クリニックを開設 (Oststraße 51, Tel. 0211-383756)、著者は同分院 (Prinzenallee 19) で診療。

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