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特集


どう過ごす?イースター休暇

どう過ごす?イースター休暇

朝目覚めると小鳥のさえずりが聞こえ、街頭の木々のつぼみは日に日に膨らみを増している。寒くて肩を丸めて歩いていたのに、いつの間にか背筋が伸びて、スキップでもしたくなるような陽気になってきた。春はもうすぐそこ。遊び好きには嬉しい季節の到来だ。来る4月10日(金)~13日(月)は、イースター(復活祭)に伴う4連休。「あ、しまった!せっかくの休暇なのに、まだ何の予定も入れていない!」と焦っているあなたのために、今からでも間に合うイースター休暇計画のための、お役立ち情報を紹介しよう。(編集部:林 康子)

ラストミニッツで行くイースター旅行

とにかくどこかへ遊びに行きたいという人は、「Pauschalreise」や「Schnäppchenreise」「Last Minute」をキーワードに、早速オンラインでイースター用のパッケージツアーを検索、または旅行会社に直接問い合わせてみると良い。目的地を選ぶ際の参考までに、ドイツ人の旅行のトレンドを紹介しよう。国内?外国?さあ、あなたはどこに行く?

不安定な世界情勢を反映して、ドイツ人の旅行スタイルも年々変化している。今や「南方の暖かい地方で長期休暇」ではなく、お金と時間を節約するために「近距離の短期休暇」が好まれ、特に昨年以降は金融危機と景気後退の影響でその傾向が顕著になっている。昨年の統計* を見ると、断トツの人気は国内旅行(旅行者全体の38%)。家族旅行の内の半数近くがアルプスやバルト海、北海といった古くからドイツ人に愛されてきた旅行地を選んでいる。一方外国では、マジョルカ島やメノルカ島、イビザ島があるスペインが不動の人気を誇るが、最近ではトルコや東欧のビーチも人気上昇中だ。  

また、のんびりするだけではもったいないと、旅先でもアクティブに体を動かす旅行者が多い。ウォータースポーツやハイキング、トレッキング、サイクリングなどのアウトドアスポーツで汗を流し、日常のストレスから解放されるというのも、旅の醍醐味の1つだ。イースターの時期なら、まだまだウィンタースポーツも楽しめる。

人気の外国旅行地(数字は外国旅行者100人中)
1. スペイン
12.3人
2. イタリア
7.2人
3. トルコ
6.3人
4. オーストリア
4.9人
5. モロッコ/ チュニジア/ エジプト
4.0人

人気の国内旅行地(数字は国内旅行者100人中)
1. バイエルン州
22.9人
2. メクレンブルク=フォアポンメルン州(バルト海+内陸)
19.3人
3. シュレースヴィヒ=ホルシュタイン州(バルト海+北海)
15人
4. ニーダーザクセン州(北海+内陸)
11.5人
5. バーデン=ヴュルテンブルク州(ボーデン湖、黒い森)
7.7人

*14歳以上のドイツ人旅行者4000人を対象にStiftung für Zukunftsfragen が行った統計調査(2009)


テーマパークで夢の世界を堪能

日本では、ゴールデンウィークなどの連休を利用して家族や友だちと近郊の遊園地に出かけることが多いが、ドイツでも同様の楽しみを味わえるスポットがある。泊まりがけの旅行をするには休暇期間が少し短かすぎる、あまり遠出をしたくないという人には、気軽に行けるテーマパーク(Freizeitpark)がぴったり。スリル満点のアトラクションから一流エンターテイナーが繰り広げるスペクタクルショーまで、カップルも家族連れも思いっきりはしゃいで、春を感じよう。

Phantasialand ファンタジアランド

©PHANTASIALANDケルン、ボンから車で30分で行ける便利な立地にある。28万㎡の広大な敷地は7つのテーマに分かれ、計34のアトラクションが楽しめる。ロマンチックな気分を味わいたければ、花の香りに誘われて「千夜一夜物語」の世界に浸れる「Hollywood Tour」がオススメ。

4月4日(土)~ 11月1日(日)
9:00 ~ 18:00(乗り物は10:00スタート、入場は16:00まで)
1日券:大人33.50 ユーロ、子ども(身長1~1.45メートル)29.50ユーロ
Berggeiststraße 31-41, 50321 Brühl
www.phantasialand.de

Heide-Park Resort ハイデパーク

Heide-Park Resort敷地面積85万㎡、北ドイツ最大のテーマパークには、味わいたいスリルや冒険心、そして年齢に応じて選べる50以上のアトラクションがずらり勢揃い。天まで届きそうな地点まで上昇して、猛スピードで急降下する「Scream」は、昨年登場した大人気の絶叫マシーン。

3月28日(土)~ 10月25日(日)
9:00 ~ 18:00(10:00スタートの乗り物もあり)
1日券:大人32.50ユーロ、子ども(4~11歳)26ユーロ
Heidenhof, 29614 Soltau
www.heide-park.de

Europa-Park ヨーロッパパーク

Europa-Park ヨーロッパパーク昨年の入場者数は400万人を越え、来場者の80%がリピーターであるという事実は、この国内最大級のレジャーパークの質の高さを物語っている。イヴニングショー「Indonesia Malam」やディナーショー「Cirque d'Europe」は毎回、即時完売になるほどの人気。

4月4日(土)~ 11月1日(日)
9:00 ~18:00
1日券:大人34ユーロ、子ども(4~11歳)30ユーロ
Europa-Park-Straße 2, 77977 Rust bei Freiburg
www.europapark.de

Holiday Park ホリデーパーク

Holiday Park ホリデーパークルートヴィヒスハーフェン近郊の町ハスロッホに位置するこの施設は、ルクセンブルクやフランスからの日帰り来場者も多いそう。このパークの今年のモットーは「テーマパークでフィットネス」。体を鍛えるスポーツ的要素の入ったアトラクションを楽しもう。

4月4日(土)~ 11月1日(日)
10:00 ~18:00
1日券:大人26ユーロ、子ども(身長1~1.44 メートル)21.95ユーロ
Holiday Park-Straße 1-5, 67454 Hassloch
www.holidaypark.de

おもちゃのパーク

Legoland子どもたちに大人気のプレイモービルやレゴのテーマパークでは、子どもが自由に頭と体を動かして想像力を高められるアトラクションがいっぱい!

PLAYMOBIL-FunPark
プレイモービル・ファンパーク

4月4日(土)~10月14日(水)
9:00 ~ 18:00(5月以降~19:00)
1日券:7ユーロ(15:00以降4.50 ユーロ)
※ 5月以降は料金が変わるので、下記サイトで要確認
Brandstätterstraße 2-10, 90513 Zirndorf
www.playmobil-funpark.de

LEGOLAND Deutschland Freizeitpark
レゴランド

4月4日(土)~11月8日(日)
10:00 ~ 18:00 
※開園時間の詳細は下記サイトで要確認
1日券:大人34ユーロ、子ども(3~11歳)28ユーロ
LEGOLAND Allee, 89312 Günzburg
www.legoland.de

イースターの伝統的な行事を堪能

ドイツでは元来、イースターはクリスマス同様、家族と一緒に家で過ごす日とされる。せっかくの休みは家でのんびり過ごしたいという人は、ドイツの伝統的なイースターの慣習を体験してみては?

2009年 イースターカレンダー

4月10日(金)聖金曜日(Karfreitag)
キリストが十字架に架けられ、処刑された日。
4月11日(土)聖土曜日(Karsamstag)
多くの地でイースターファイヤーが燃やされる。
4月12日(日)イースター(Ostersonntag)
キリストが復活した日。
朝は卵探しで遊び、その後はご馳走を食べる。
4月13日(月)イースターの月曜日(Ostermontag)
イースター祝祭の2日目。

ドイツ語でオーステルン(Ostern)と呼ばれるイースターは、アングロ・サクソン系のドイツ語や英語では、「春の女神」を意味する古英語の「Eostre」や古高ドイツ語の「Ostara」に由来し、元々は春の到来を祝う祭りだったとされる。一方、ほかのヨーロッパ諸言語では、ユダヤ教で新年を迎えるための「過越(すぎこし)の祭り」を意味する「ペサハ(Pesach)」というヘブライ語に起源を持つ。新約聖書によれば、キリストが十字架に架けられて亡くなった後、3日目に甦ったことを祝う、キリスト教における最も重要な祝祭。暦の上では「春分の後、最初にやって来る満月の次の日曜日」に当たり、毎年3月22日~4月25日の間で移動する。

イースターファイヤー(Osterfeuer)

イースターの前夜、キリストの復活を祝って大きなかがり火を焚く習慣がある。元々ローマ・カトリック教会の儀式の1つで、聖なる火は世界を照らすキリストの象徴とされた。またこれは、冬を追い払って豊作を願う伝統行事でもある。高く積み上げられた薪の山を燃やすのだが、田舎の地方では炎をいかに高く上げられるかが競われるとか。

卵とウサギ

春の到来とキリストの復活を1度に祝う祭りとも言えるイースター。草木が芽を出す春を喜び、鶏の卵からヒナが生まれることをキリストの復活と結び付けている。定番の遊びは、やはり卵探し。多産の象徴であるウサギ(Osterhase)がカラフルに塗って庭に隠した卵(Osterei)を、この日の朝に子どもたちが探す。

もう1つ、子どもたちに人気の遊びが卵割り(Eierpecken)。参加者がそれぞれ自分のイースター・エッグを持ち、それをほかの人が持つ卵にカツッと当てる。自分の卵を最後まで割らずに持っていた人が勝ち!

卵に色を塗ってみよう!

庭の草木を華やかに彩るイースター・エッグ。お店で売っているカラフルな卵も良いけれど、自分で塗ったもの飾るという通な楽しみ方はいかが?化学染料ではなく植物を用いて染めた卵は、庭の自然にも良く合う。


赤:ルートビートのジュースと酢
ピンク:ザクロの実またはクランベリーのジュース
青:ブルーベリーのジュース
緑:ほうれん草
黄:サフランまたはカミール
ベージュ:タマネギの皮

作り方 1. 卵を酢水で良く洗う。(色が付きやすくなる)
2. 鍋にみょうばん(色につやを出す)と炭酸カリウム(色を濃くする)と、それぞれの色を出すための植物(またはジュース)を入れて煮立たせる。
3. 2の煮出し汁の中に生卵を入れてゆでる。

point ベージュ色の卵より白い卵の方が色を吸収しやすい。
放牧の鶏が生んだ卵は殻が厚いので、染色するには適している。
卵の上と下に穴を空け、下の穴を小さなドライバーで少し削って大きくし、上から息を吹いて中身を取り出して殻だけになった卵に色を塗る方法があるが、ゆで卵の方が簡単!

肉・卵料理

断食節の終わりを告げるイースター。この日に肉、乳製品、卵が解禁となり、ドイツの食卓にはこれらの食材を使った料理が並ぶ。多く食されるのは、イースターのハム (Osterschinken)、ソーセージ、ホースラディッシュ(西洋わさび)、そして子どもたちが探し出してきた卵も欠かせない。ウサギや子羊の形をしたクッキーやパンも焼かれる。

最終更新 Freitag, 21 Juni 2019 13:51
 

2010年バンクーバー冬季五輪最終予選アイスホッケー観戦レポート

2010年バンクーバー冬季五輪最終予選アイスホッケー観戦レポート

2月5日~8日にかけて、アイスホッケー日本代表が3大会ぶりのオリンピック出場を目指し、ハノーファーのTUIアレーナで最終予選を戦った。格上のドイツ・オーストリア・スロベニアを相手に、オリンピック出場こそ逃したものの、気迫でスロベニアから1勝をもぎ取った。
(編集部 : 高橋 萌)

プライドを賭けて

記者会見
対ドイツ戦の後、記者会見に臨む
マホン監督

初戦は世界ランキング10位のドイツと対戦。同22位の日本は序盤はくらい付いて再三得点チャンスを作り出したが、ドイツの大量得点に押されてリズムを崩し、7-1と惨敗してしまった。しかし、「ミスを重ねたのが敗因、でも自分たちのゲームができれば次は良い結果になる」というマーク・マホン監督の言葉が示すように、選手たちは自信を失ってはないなかった。

念願のオリンピック出場、名門チーム西武の廃部、日本アイスホッケー界の未来・・・・・・日本代表チームが背負っているプレッシャーは計り知れない。しかし、逆境に立たされたチームは2戦目で本来の姿を取り戻した。スロベニ ア(世界ランキング15位)との一戦、監督の言葉が現実となり、機敏さや組織力といった日本代表の持ち味が存分に発揮され、リードしていたスロベニアに追いつき、最後はゲームウイニングショットで5-4と競り勝ったのだ。これでオリンピックへの望みをつないだかに思われたが、ドイツが同日オーストリア(世界ランキング16位)を相手に2勝目を挙げ、オリンピック出場権を獲得した。

そして最終日、対オーストリア戦は2-5で敗れ、日本代表のバンクーバーへのチャレンジが幕を下ろした。

日本からの温かい応援

遠くドイツでの厳しい戦いを支えたのは、リンク上に響いた「ニッポン!ニッポン!」という日本人サポーターの声。サポーターの数こそ欧州他国に比べると少なかったものの、声を張り上げ、横断幕を掲げたサポーターたちの存在感は他国の応援を圧倒していたように思う。

今後、日本代表に課せられた課題は山積みではあるが、日本のプレースタイルが世界に通用することが証明された今回の最終予選。2014年のオリンピック出場に向け、大きく1歩前進できたのではないだろうか。

温かい声援
写真左)日本から、この最終予選のために渡独した熱血サポーターの皆さん
写真右)ハノーファーの日本人会の皆さんは、手作りの横断幕と国旗を持って駆けつけていました。

最終予選Eグループの結果詳細
1位 ドイツ(3勝0敗)
2位 オーストリア(2勝1敗)
3位 日本(1勝2敗)
4位 スロベニア(0勝3敗)
最終予選Eグループの結果詳細
日程 対戦
得点
2月5日(木) SLO ‐ AUT
3-4
  GER ‐ JAP
7-1
2月7日(土) SLO ‐ JAP
4-5
  AUT ‐ GER
1-2
2月8日(日) JAP ‐ AUT
2-5
  GER ‐ SLO
2-1

2010年バンクーバー冬季五輪の出場権を獲得した12カ国

08年世界ランキング9位までの 9カ国(1位から順に)
カナダ・ロシア・スウェーデン・フィンランド・チェコ・米国・スイス・スロバキア・ベラルーシ
最終予選を勝ち抜いた3チーム
ドイツ・ラトビア・ノルウェー

最終更新 Dienstag, 03 September 2019 10:18
 

第59回ベルリン映画祭レポート

第59回ベルリン映画祭

今年のベルリン国際映画祭(ベルリナーレ)のメインテーマは「グローバリゼーション」に尽きた。国際的な共同制作や数カ国でロケをした映画、地球規模の問題を扱った作品が目白押し。しかし、多くの作品が提示したのは、グローバル化への賛同よりも懐疑だったように思われる。特に、資本主義経済の弊害がたくさんの作品に反映されていた。また、巨視的に社会を見る立場が必ずしも賢明なわけではないと思わせる作品も少なくなかった。

一方で、国際映画祭というイベントを1つのグローバル化現象として捉えると、上映される映画の1本1本が鎖のように連鎖して、まるで1つの壮大な地球叙事詩を語っているかのようだった。観客は作品に導かれ、オデュッセウスさながら、地球の住み心地を試す旅に出かけた。世界の状況、映画産業の現状のみならず、映画の芸術としての国際的な発展をも一望に収めるこの映画祭こそ、グローバリゼーションを最も理想的に実現している場所の1つかもしれない。
(映画研究者:足立ラーベ加代)

Fotos:©Internationale Filmfestspiele Berlin

国際映画部門受賞作

金熊賞 La teta asustada (The Milk Of Sorrow)
監督:Claudia Llosa
銀熊賞 Alle Anderen (Everyone else)
監督:Maren Ade
Gigante
監督:Adrián Biniez
銀熊 最優秀監督賞 Asghar Farhadi
作品:Darbareye Elly (About Elly)
銀熊 最優秀男優賞 Sotigui Kouyate
作品:London River 
監督:Rachid Bouchareb
銀熊 最優秀女優賞 Birgit Minichmayr
作品:Alle Anderen (Everyone else) 
監督:Maren Ade
銀熊 芸術貢献賞 Gábor Erdély & Tamás Székely
作品:Katalin Varga 
監督:Peter Strickland
銀熊 脚本賞 Oren Moverman & Alessandro Camon
作品:The Messenger 
監督:Oren Moverman
アルフレッド・バウアー・
プライス
Gigante
監督:Adrián Biniez
Tatarak (Sweet Rush)
監督:Andrzej Wajda


戦犯裁判と人権問題を考える

The Reader
The Reader

英国人監督スティーブン・ダルドリーによる、ドイツ人作家ベルンハルト・シュリンクのベストセラー小説「朗読者」を映画化した「The Reader」(愛を読むひと)は、国際色豊かなキャスティングとロケーションで話題を呼んだ。少年時代、年上の女性ハンナとひとときの恋に落ちた主人公ミヒャエルが、後に彼女とナチス戦犯裁判の法廷で再会するというドラマチックな物語である。映画版は過度なメロドラマに陥ることもなく、原作の仕掛ける人間性への問いを丁寧に拾い上げている。同じ戦犯裁判ものでも、日本で昨年にリメイクされた「私は貝になりたい」よりはよほど良識がある。ケイト・ウィンスレットの演じる、人並みの教育を受ける機会を逸した人間の悲哀には胸が塞がれる。知性に妨げられてハンナの心を受け止められないミヒャエルの愚かさも重く伝わってくる。

この作品がただの恋愛ものであったなら上出来だったかもしれないが、アウシュビッツを通俗的に語るがゆえの難点は到底カバーできず、「史上最悪のホロコースト映画」と厳しい批判に晒された。確かに、原作中のハンナを始めとする人物設定の不謹慎さは、以前から物議を醸していた。

Storm
Storm

ドイツのハンス・クリスチャン・シュミット監督の「Storm」(嵐) は、オランダ・ハーグの国際戦犯法廷での1件を題材にしている。ある女性検察官が、旧ユーゴ軍によるボスニア女性に対する性的虐待を公訴するが、裁判が進むにつれて証人の証言に矛盾が生じる。この判例を巡る非常に複雑な国際法上の手続きが、重厚なドラマとして繰り広げられる。観客は不条理な社会システムの中で主人公たちとともに考え、可能性を模索する立場に立たされる。ヨーロッパ統合の機運の中で正義が必ずしも通用せず、真実がタブー化されていることを論理的かつ具体的に解明していく知的な作品だ。

★「Storm」(嵐) ドイツ映画館ギルド賞、アムネスティ・インターナショナル賞、ベルリーナー・モルゲンポスト紙読者賞受賞

記録映画

また、シュミット監督は記録映画「Die wundersame Welt der Waschkraft」(クリーニングの不思議な世界)も出品した。ベルリンのほとんどの大型ホテルが、シーツ類の洗濯をすべてポーランドに発注しているという話だ。グローバルな市場経済の不正を扱いながらも、こちらはやや批判力に欠けた作品になっている。

Zum Vergleich
Zum Vergleich

それに比べ、ハルン・ファロッキ監督(ドイツ)の記録映画「Zum Vergleich」(比較)は評価が高かった。各国における建材ブロックの製法を、コメントを一切入れずに比較するという作品だ。インドでは、人の流れ作業によって泥を固めて焼く古来の方法が守られている。スイスでは、不気味なほど細かい工程を機械がすべてこなし、無人の作業場に金属音ばかりが響く。現代におけるシュールなまでの人間疎外の状況を冷徹に観察する映画である。

2人の巨匠 ─ アンゲロプロスとワイダ

I skoni tou chronou
I skoni tou chronou

今回の映画祭で最も遠大な時空旅行を実現したのは、73歳のギリシア人監督テオ・アンゲロプロスによる20世紀3部作の第2部「I skoni tou chronou」(第三の翼)であろう。(第1部は2004年の「エレニの旅」)スターリンの死に揺れるモスクワに始まり、カナダ、アメリカ、イタリアを経て世紀末のベルリンで終わる。ウィリアム・デフォー扮する映画監督が、彼の両親の物語を映画化することを企画する。両親を演じるのはイレーネ・ヤコブとミシェル・ピコリ。戦前にギリシアから旧ソ連に亡命した彼らが送った、波瀾万丈の人生を描く。

残念なことにこの作品は、世界的巨匠の大プロジェクトでありながら、いささか空疎でメランコリーに惑溺したものとなった。特にベルリンの描写が平凡だったのが惜しまれる。もちろん群衆シーンの劇的なコリオグラフィー、流麗なカメラワークは健在なのだが。第3部で物語がどのように再生されるかに期待したい。

Tatarak
Tatarak

これと対照的だったのは、82歳のポーランド人監督アンジェイ・ワイダの新作「Tatarak」(Sweet Rush)の瑞々しさだった。医師の妻で、2人の息子をワルシャワ蜂起で失った中年女性マルタは、自らも病と死の影に脅かされている。彼女がある日出会った若者は、彼女にもう1度生の輝きを与え てくれるのであった。

この女主人公を演じるのが、ワイダの「大理石の男」(1977)に出演した当時と変わらない美貌のクリスティナ・ヤンダである。彼女は「Tatarak」の撮影中に、夫でカメラマンのエドワルド・クォシンスキと死別している。この映画には、ヤンダが自分自身を演じ、夫の最期の日々の様子を延々と独白するシーンが幕間劇のように挿入されている。ワイダ監督は、名作「全て売り物」(1968)でも映画と現実をクロスさせる独特の手法を用いているが、「Tatarak」でフィクションの中から現実が突然変異のように飛び出してくるシーンは鮮烈であった。

「白樺の林」(1970)で表現されたように、死は残酷に人の運命をせせら笑うが、「全て売り物」のように、力強い生によって克服されるという楽観主義が、この作品の深い水脈から沸き起こるようだった。

★「Tatarak」アルフレート・バウアー賞受賞

ドイツ的テーマ─「ドイツ09」と「マテリアル」

Deutschland 09
Deutschland 09

1977年に起こったドイツ赤軍による一連のテロ事件と幹部の謎の獄中死を受け、当時のドイツの映画監督たちが「秋のドイツ」(1978)というオムニバス映画を撮ってから30年が過ぎた。それに呼応する作品として誕生したのが、現代ドイツを代表する13人の監督による共同製作「Deutschland 09」(ドイツ09)である。特別なきっかけもないのに何のために作ったのか、などと辛口評が目立ったが、意外と面白いものだった。

拍手がひときわ大きかったのは、ダニエル・レヴィ製作のパートだった。監督自身が主演し、薬物を使ったのは、「秋のドイツ」で最も過激だったファスビンダー監督作品を意識したのかもしれない。鬱に悩まされる監督が医者に薬を処方してもらうと、途端に街がバラ色に見えて隣人が皆親切になるという、ベルリンに住む人なら思わず共鳴してしまうような話だ。

国家全体を病院に見立て、患者の症状を政治経済の問題に例えたヴォルフガング・ベッカー製作の短編は、批判精神が旺盛すぎて記者会見では敬遠されているような印象を受けた。兄の埋葬を禁じられるアンティゴネーの悲劇(ギリシア神話)とテロリストの運命を重ねた「秋のドイツ」でのシューレンドルフ作品を彷彿とさせる。

現代におけるフェミニズムの実体を改善するために1969年にタイムスリップし、当時先端を行った社会運動家であり、子を持つ母でもあった2人の女性思想家、ウルリケ・マインホフとスーザン・ソンタグの対話を実現させたニコレッテ・クレービッツの作品は、アイディアで断然光っていた。

この企画の発起人であるトム・ティクヴァ監督が描く、世界中どこに行っても判を捺したように同じ行動しかできないドイツ人ヤッピーのせせこましさについ笑ってしまうのは、外国人の意地悪な見方かもしれない。フランクフルター・アルゲマイネ紙のレイアウトの刷新に憤る人物についての断片など、ドイツ人独特の複雑な心理を感じさせるパートもあった。ローカル色が面白い作品でありながら、国という単位でものを考えることの限界をも実感させる。今後の一般公開でどのような反響があるか楽しみである。

Material
Material

「Deutschland 09」に対して上がった批判の1つに、旧東ドイツの問題についてまったく言及がないというものがあった。この欠如を補って余りあったのが、トーマス・ハイゼ監督(ドイツ)の記録映画「Material」(マテリアル)だった。映画祭期間中、何度もアンコールがかかった作品である。80年代終わりから現在に至る東ベルリンの状況を、インサイダーの視点から赤裸々に記録した初公開の映像集だ。決起集会とデモの日常、秘密警察の狼狽、ネオナチ青年たちの反乱、共和国宮殿の取り壊し……。この作品を観ると、私たちが見たドイツ統一のプロセスは西側のマスコミによって操作されたイメージに過ぎなかったことに気付かされ、愕然とする。

特別企画「冬よさらば」と70mm映画

Kutya éji data
Kutya éji data

東西ドイツの統合は、グローバリゼーションを大きく前進させた大事件だった。壁崩壊20年目の節目を記念して今回の映画祭では、「Winter Adé」(冬よさらば─改革の前触れ)と題し、冷戦終結直前に東欧からベルリンにやって来た革新的な映画の特集が組まれた。「Winter Adé」(冬よさらば)は、ヘルケ・ミッセルヴィッツ監督(ドイツ)による、旧東ドイツの暮らしを追った素朴なドキュメンタリー(1988)のタイトルで、初めて市民の素顔と本音が伝えられたと評判を呼んだ。さらに、自国での映画製作の将来を儚んで1985年に自殺したハンガリーの鬼才ガボア・ボディ監督の 「Kutya éji data」(The Dog's Night Song, 1983)などを含め、ベルリンの映画ファンにとっては懐かしい名作が揃った。このプログラムは今年ドイツ各地に巡回されるという。

70mmフィルムを特集したレトロスペクティブ部門も大盛況だった。映画フィルムのスタンダードサイズは35mmであり、70mmというと幅が倍のワイドスクリーンになる。標準フィルムに画像を細長く凝縮して焼き付け、上映時に引き延ばすシネマスコープとは違った贅沢な規格だ。代表作として、今回上映された「ベンハー」「クレオパトラ」「アラビアのロレンス」「2001年宇宙の旅」がある。

Material
Goya

旧東ドイツの巨匠コンラート・ヴォルフ監督の伝記映画「Goya」(ゴヤ、1970)は、中でも珍しい作品だった。大判キャンバスと華やかな色彩のリアリズムで描かれたゴヤの絵を70mm映画の手本にしているのだ。彼の代表作「カルロス4世の家族」が大画面いっぱいに登場するシーンは圧巻である。ただ大きければ良いというものではないが、画面の大きさを存分に利用した、コンセプトのある作品はエキサイティングで、映画館はパーティー会場のように盛り上がっていた。主催者はこれを機に、70mm規格をベルリンの映画館で復活させると請け合った。

実験映画部門の発展 「映画としての映画」 というステイタス

商業主義が前面に押し出された映画祭のメジャーなプログラムに背を向けるようにして、実験映画部門では真剣に映画の芸術性を論じるレクチャーが重ねられた。

ゲストに、現代ドイツ・アヴァンギャルド映画の先駆者であり、「生の映画」(1968)で有名なビルギット・ハインが招かれた討論会「映画としての映画」は、実に聞き応えがあった。劇映画とは違い、ストーリーのない、純粋に視聴覚的表現の発展を目指した実験映画というものを芸術として一般に認知させるまでに、いかに長い受難の時代があったかという話は、芸術家たちが常に時代を先取りしていることを確信させた。また、当時から受け継がれる作家たちの国際的な連帯が、今の実験映画の隆盛を支えていることも明らかにされた。

Sense of Architecture
Sense of Architecture

この部門の参加作品の充実ぶりは素晴らしかった。オーストリアのグラーツ市の現代建築の数々を傾いた不動のカメラで撮影したハインツ・エミッヒホルツ監督の「Sense of Architecture」を観た後は、傾いていない映像がかえって不自然に感じらるほど、完璧な構図を堪能できた。観客席にいた1人の老婦人は、「私も1軒の家に住んでいるが、建築が言語を持つとは知らなかった。今後はコミュニケーションを試みる」と粋なコメントをしていた。

ビル・ヴィオラのビデオ インスタレーション
Bill Viola
Bill Viola

映画祭のメイン会場からやや離れたギャラリーには、ビデオアートの第1人者ビル・ヴィオラのビデオインスタレーションが展示されていた。宗教画を思わせる数種の縦長のビデオパネルが並び、画面の奥からモノクロームの人影が近づいてくる。画面の前景には薄い滝のような水のヴェールがあり、それをくぐると人物の姿が突然鮮明なカラーを帯びる。そしてびしょ濡れの人物は、画面前方にある何かに驚いたような表情をする。人物によっては怖れを露にしていたり、がっかりした様子だったり、ハッとしたようだったり、表現が微妙に違っている。

この画面の手前の空間、つまり私たち観客がいる場所に彼らは何を見たのだろうか。それはまるで、これからの映画祭の方向性や映画というメディアの将来、そして地球の未来をも暗示しているかのようだった。


小宇宙の豊潤さ ─ 各国の作家映画 ─

ワイダ監督作品のように、個性的な語り口で深遠な小宇宙を創出する、いわば反グローバル的でありながら普遍的なテーマを扱った作品が、今回の映画祭では異彩を放っていた。

エハ・エルデム監督

Hayat var
Hayat var

エハ・エルデム監督の「Hayat var」(My Only Sunshine)は、イスタンブールに住む14歳の少女ハヤトの日常を描く。彼女は寝たきりの祖父と売春斡旋や麻薬密売を生業とする父とともに、最底辺の暮らしをしている。学校でのいじめ、近所の大人からのセクハラに悩まされるハヤトだが、それでも自分なりに反撃するし、守護天使のような仲間を従える。厳しい現実から少女の自由への野心が殻を破るように解放されてゆく過程が、ファンタジックに描かれている作品。また、水の都を海や川の側から眺めるカメラの視点は、思春期の心の揺れを繊細に捉えていた。

★「Hayat var」(My Only Sunshine) ターゲスシュピーゲル紙読者賞受賞

フレデリック・ヴェンツェル監督
ヘンリック・ヘルストローム監督

Man tänker sitt
Man tänker sitt

クチコミで評判が広まり、急きょ再上映が決まったフレデリック・ヴェンツェルとヘンリック・ヘルストローム監督の「Man tänker sitt」(Burrowing)はリアルでありつつシュールな、新感覚の映画だった。田舎町に住む、ドロップアウトした不可解な大人たちと、彼らに付き合わされる子どもと赤ん坊の、他愛無い日常が叙情的に描写されている。子どもの意識で見て語られる世界には、何の論理も脈絡もないように思われる。ところが、それが子どもの時間の豊かさと、大人の世界の深い孤独を対比させ、観客はいつの間にか、北欧の森に囲まれた集落の小市民の暮らしにどっぷりと浸り込む。

洪榮傑 監督

無聲風鈴
無聲風鈴

洪榮傑(Kit Hung)監督の「無聲風鈴」 (Soundless Wind Chime)は、香港を舞台にした、1人の中国人青年と双子のようにそっくりな2人のスイス人男性が繰り広げるラブストーリーである。些細な諍いと和解の繰り返しにも見えるが、非常に観念的な恋物語であることが次第に解き明かされてくる。三島由紀夫の「豊饒の海」にも似た恋人の転生や不滅の愛というテーマが、現代的かつ国際的に展開する。ガラス細工のように繊細に入り組んだ時間構成は、アラン・レネの「去年マリエンバードで」を想起させた。映画史的に興味深いドッペルゲンガーが登場する、謎めいた男のメロドラマである。

園子温 監督

愛のむきだし
愛のむきだし

園子温監督の4時間に及ぶ高校生の純愛物語「愛のむきだし」も非常に評判が高かった。性的倒錯、自傷、虐待、カルト、盗撮など、日本社会のスキャンダラスなキーワードをピックアップして表面的になぞっただけで長丁場をもたせるストーリーができているのは驚異的だ。マンガのように軽くて速い知覚のプロセスに、アングラ文化のグロテスクが盛り込まれた、個性的な娯楽作品になっている。しかし、ミニマル・シネマの傑作「部屋」(1994)の大ファンとしてあえて言わせていただければ、若者文化と戯れる今の子温さんのスタイルは、世を欺いた仮初の姿であってほしい。

★「愛のむきだし」 カリガリ賞 国際批評家連盟賞受賞

最終更新 Dienstag, 03 September 2019 10:49
 

大自然の中でスキーを満喫

大自然の中でスキーを満喫

例年になく厳しい寒さが続く今冬は、外出するのが億劫で暖房の良く効いた屋内に閉じこもりがち。でも体は正直なもので、そろそろ動きたいと訴えてくる。 運動不足を解消する冬のスポーツと言えば……そうだ、スキーに行こう!

太陽の光に反射してきらめく粉雪の中に飛び込んで、完璧に整備された斜面を颯爽と滑り降りる。ひと息ついたら、次は手つかずの森の中を歩きながら自然の声に耳を傾けるのも良い。目を開ければそこには、澄み渡った空の下、広大な冬の自然が広がる─。

(編集部:林 康子)

スキーに出かける前に……

必須3点セット

skiスキー、スノーボードの板
板の長さの目安は初心者の場合、一般に身長と同じくらいか、それより10センチ程度短いものが適当とされる。スノーボードでは、立てた時に先端があごと鼻の間にくる長さが理想。初心者~中級者用なら、たいていビンディング(ブーツを板に取り付けるための器具)とセットになっている。

ブーツ
スキー用具の中で一番重要、かつ選択が難しいのがブーツ。足に合わないブーツを履いて滑ることで足が痛くなったり、けがをしてしまっては、せっかくの楽しいスキーも台無しだ。自分の足にフィットするものを選ぼう。ポイントは履いたときに足全体を適度に圧迫し、踵が浮かないように足首周りから踵にかけて、しっかりと固定してくれること。

ストックストック(ポール)
滑る際にバランスやリズムをとるために両手に持つ用具。特に初心者には体を支える大切な役割を果たす。長さは、ブーツを履いた状態でストックを上下逆さまに持ってストックのリングの下を握った時に、肘が垂直になるくらいが適当。技術が上達したら、これより少し短いものを選ぶと良い。

ウェア編

スキーウェア
選ぶ際には耐水圧(Wasserfestigkeit)という項目を確認。この数値(5000~20000程度)が大きいほど水を通し難い。安いものなら上下合わせて300ユーロ程度から購入できる。中には長袖のフリースやジャージにタイツ。大量に汗をかくので、予備の下着を持っていくと良い。

ニット帽子・グローブ・ゴーグル
ゴーグル帽子、グローブは防寒としてだけでなく、転倒時の衝撃を和らげ、頭や手を保護する役目も果たす。また、ゴーグルも天候が変わりやすい雪山には不可欠。曇りにくいダブルレンズのものもある。グローブ、ゴーグルは約50ユーロ、帽子は約20ユーロから購入可。

あると快適小物編

● ネックウォーマー(転んでも首から雪が入りにくい)
● 厚手の靴下(足元の冷えには要注意)
● 小物入れ(ウェストポーチなど体に装着できるタイプが良い)
● 日焼け止め(冬でも晴れた日は紫外線が強い)
● サポーター(肘、膝、お尻用などがある。転んでも痛くない)
● パスケース(リフト券の提示がラクラク)
● MP3 などの音楽プレーヤー(気分爽快、ノリノリで滑ろう!)


ドイツ地図

ドイツのスキー名所

隣国のスイスやオーストリアに比べ、スキー大国という印象が薄いドイツ。しかしアルプス地方を中心に例年、早いところでは10月頃から山頂に初雪が舞い、その後順調に雪が積もれば11月からは本格的なスキーシーズンの到来だ。今はまさにシーズン本番で、ここドイツでもウィンタースポーツの世界大会が目白押し。4~5月頃まではスキー場がオープンしているので、今から計画を立ても十分間に合う。スキーをしながら美しいドイツの冬を心行くまで味わおう!さて、あなたはどこに行く?

1アルゴイ Allgäu

どこまでも続く白銀の連峰、きらめく湖、南方に望むのはアルプス─ドイツ最大のスキーリゾート地、アルゴイ地方の風景だ。ドイツ観光地の代表格ノイシュヴァンシュタイン城をはじめ、絶景を眺めながらのスキーは格別なものがある。中でも、オーベルストドルフは、まさにスキーヤーにとっての理想郷。初心者用の滑降コースから上級者用のモーグルコースまで、120キロ超の充実した滑走路を備えている。そこからロープウェーで行く標高2244メートルのネーベルホルンでは、5月初旬まで滑ることができる。幻想的なイグルー(スノーハウス)での宿泊もオススメ。

アルゴイ
左)© 2009 Tourismus Oberstdorf 
右)© BAYERN TOURISMUS Marketing GmbH

オーベルストドルフ
3月15日(日)~ 4月19日(日)まで、6日間の予約料金で7日間分のパスを購 入できる「Kristallwoche」が開催される。
www.oberstdorf.de

イグルーイグルー宿泊体験
宿泊するイグルーはプロの指導の下、宿泊者自らの手で作る。創作と宿泊のセットで、80~130ユーロ程度。(写真© Pfronten Tourismus / Erwin Reiter)

アルゴイマーケティング
Allgäu Marketing
Allgäuer Straße 1, 87435 Kempten
TEL : 01805-127000
www.allgaeu.de

2バイエリッシャー・ヴァルト Bayerischer Wald

1970年にドイツ初の国立公園に指定された中欧最大の森林保護地区。「ヨーロッパの緑の屋根」と呼ばれる広大な自然な自然が広がる。滝や原始林、凍て付いた湖に険しい岩肌から勢いよく落ちる雪など、五感を研ぎ澄ませて自然を感じたい。チェコとの国境地域アーバーには330キロのクロスカントリー用コースのほか、スノーボード専用のスキー場Railparkもある。さらにこの地域には、数多くのウェルネスホテルや屋外保養地もあるので、滑った後は温泉やエステでリラックス、なんていう贅沢も良いのでは。

 Bayerischer Wald
左)© Der Große Arber Bayerischer Wald 
右)アーバーの「子どもスキーランド」© Der Große Arber Bayerischer Wald© Der Große Arber Bayerischer Wald

WellVital
ウェルネスバイエルンのウェルネスブランド「Wellvital」。このマークが目印のホテルや施設は、アクティブ、リラックス、クア、ビューティなど8つのカテゴリに分かれたスパやエステ施設を備えていて、目的に合わせたウェルネスを選べるようになっている。www.wellvital.de
(写真© Pfronten Tourismus / Erwin Reiter)

オストバイエルン観光協会
Tourismusverband Ostbayern e.V.
Luitpoldstraße 20, 93047 Regensburg
TEL : 0941-585390
www.bayerischer-wald.de

3ザウアーラント Sauerland

スキーリゾート地が南東に集中するドイツで唯一、北方に位置する。デュッセルドルフやケルンなどからも、週末に足を伸ばして滑りに行ける距離にあるのでとても便利。人気の高いヴィリンゲンやノイアスターベルク、アルタステンベルクらを含む6カ所のスキー場で使える共通パス「Wintersport Arena Card」があれば、計60台のリフトに乗り放題。ヴィンターベルクには、氷のジェットコースターとも言える「ボブスレータクシー」がある。急勾配の氷の筒の中を、最高時速130キロで猛進する。スピード狂には一度チャレンジする価値あり。

ザウアーラント
左)© Wintersport-Arena Sauerland
右)© Wintersport-Arena Sauerland / Urlike Becker

ボブスレータクシー
ボブスレー・タクシーボブスレータクシーは予約制で1人78ユーロ。 オンラインで申し込める。特に週末は集中するのでお早めに。www.olympic-bob-race.de
(写真 © Olympia Bob Race GbR)

Wintersport-Arena Card
「Wintersport-Arena Card」は、3日間用で77ユー ロ(子ども37ユーロ)、4日間用で65ユーロ(子ども44ユーロ)
www.wintersport-arena.de

ザウアーラント観光協会
Sauerland-Tourismus e.V.
Johannes-Hummel-Weg 1, 57392 Schmallenberg
TEL : 01802-403040
www.sauerland.com

4エルツゲビルゲ  Erzgebirge

エルツゲビルゲ

職人が1つひとつ手で作る木製おもちゃの伝統が色濃く残る、ザクセン州のエルツ山脈。メルヘンの世界に飛び込んだかのような光景が広がるこの地方の自慢は、何と言ってもヨハンゲオルゲンシュタット~シェーネック間36キロの国内で最も美しいクロスカントリーコース。また、標高1215メートルのフィヒテルベルクには11本もの滑走コースがあり、特にスピードを求める上級者にとっては嬉しい場所である。さらに、ホルツハウには雪の中を歩いて探索したり、スケートやそり滑りができる環境も整っているので、激しいスキーはちょっと苦手という人でも十分楽しめる。


ボブスレー・タクシー左上)36キロ続くクロスカントリーコース
「Kammloipe」
© Tourismusverband Erzgebirge e.V.
右上)木製のおもちゃ製作© Tourismusverband Erzgebirge e.V.
左)チェコとの国境に隣接するフィヒテルベルク。
麓には有名な療養地、オーバーヴィーゼンタールがあり、
頂上とロープーウェーで結ばれている。
© Tourismusverband Erzgebirge e.V.

エルツゲビルゲ観光協会
Tourismusverband Erzgebirge e.V.
Adam-Ries-Straße 16, 09456 Annaberg-Buchholz
TEL : 03733-188000
www.erzgebirge-tourismus.de

5シュヴァルツヴァルト Schwarzwald

標高1493メートルのフェルトベルクからの眺めは、そこが「黒い森」のど真ん中であるということを忘れさせてくれる。ここも実はスキーの盛んな地方。その証拠に隣町のヒンターツァルテンは、1990年代に活躍した伝説的なスキージャンプのスター、ディーター・トーマやスヴェン・ハナヴァルトを生み出した地でもある。またここは、大人も子どもも気軽に楽しめるスノーシューや、大きな凧(カイト)を操りながら雪上を走り、そして華麗に飛ぶ新種のウィンタースポーツ、スノーカイトを体験するのに最適の場所でもある。2月21日(土)には雪の上のカーニバル・パレードも開催される。風車に風呂釜、宇宙船までオリジナリティー溢れる山車が斜面を滑り降りていく姿は一見の価値あり。

シュヴァルツヴァルト
左)シュヴァルツヴァルトのかわいらしい冬の街並み © TI Altensteig
右上)スノーカイト © Christoph Volk / Kiteschule Skywalker
右下)Foto: Feldberg Touristik

シュヴァルツヴァルト・ツーリズム
Schwarzwald Tourismus GmbH
Ludwigstraße 23, 79104 Freiburg
TEL : 0761-896460
www.schwarzwald-tourismus.de

気軽に楽しみたい人向けのインドアスキー(Skihalle)

近くに雪山がない地方に住む人にとっては「じゃあ、ちょっと週末の気晴らしにひと滑り……」と、簡単に出かけられるものではない。そんなときに便利なのがインドアスキー場。現在、全国5カ所に設置されており、さらに近々、チューリンゲン州のオーバーホフにも1つオープンする予定という。通年オープンしているので、季節や天候に左右されることなく気軽に本格的なスキーを楽しめる。1日券で約20~40ユーロ。

ビスピンゲン SNOW DOME Bispingen
Horstfeldweg 9, 29646 Bispingen
TEL : 05194-43110
www.snow-dome.de
ボットロップ Alpincenter Bottrop
Prosperstraße 299-301, 46238 Bottrop
TEL : 02041-70950
www.alpincenter.com
ノイス JEVER SKIHALLE Neuss
An der Skihalle 1, 41472 Neuss
TEL : 02131-12440
www.allrounder.de
ゼンフテンベルク SNOWTROPOLIS
Hörlitzer Straße 36, 01968 Senftenberg
TEL : 03573-363700
www.snowtropolis.de
ヴィッテンブルク Alpincenter Hamburg - Wittenburg
Zur Winterwelt 1, 19243 Wittenburg
TEL : 01805-802121
www.alpincenter.com

スキー休暇いろいろ

「さぁ、スキーに出かけよう!」と決めたら、いざ予約を。行き先が決まったら、まずは各地のツーリストインフォメーションのサイトを覘いてみよう。計画を立てるのに一番手っ取り早く、しかもホテルやゲレンデの情報が充実している。

早めの計画が難しいという人には、ラストミニッツで行く交通から食事込みの宿泊、スキーパスまでが1つになったパッケージツアーがお得。場所や期間は若干限定されるものの、旅行会社によっては通常の価格より70%引きのツアーを提供している。4日~1週間で300ユーロ前後。

せっかくならドイツらしいスキー休暇を楽しみたいというこだわり派にオススメなのが、スキー場の賃貸別荘(Ferienwohnung, Ferienhaus)や山小屋(Skihütte)だ。情緒ある築100年以上の木の小屋で、家族や仲間と一緒に和気あいあいと過ごす1夜は一生の思い出になるだろう。安ければ、4人部屋3泊で200ユーロ前後から借りられる。  

また、各スキー場のスキーパスは1日券で約10~20ユーロ。週末やイースター休暇など、スキー客が集中する時期には少し値上がりする。忘れないように事前に準備しておくと良いが、直接スキー場でも購入できる。

賃貸別荘・スキー山小屋情報
www.ferienwohnungen.de
www.bergfex.de

最終更新 Donnerstag, 20 Juni 2019 15:11
 

福間洸太朗 インタビュー

福間洸太朗ピアニスト福間洸太朗インタビュー


「ピアノによる武満徹へのオマージュ」を語る
Toru Takemitsu – eine pianistische Hommage

その端正な顔立ちと、演奏に対するひたむきな情熱は貴公子然としていて清清しい。26歳の若きピアニスト、福間洸太朗さんはベルリン芸術大学で学ぶ傍ら、米国や欧州、はたまた南アフリカでコンサートを開いている。そんな福間さんが今月末に控えているのは、「ピアノによる武満徹へのオマージュ」と題したコンサート。日本を代表する現代音楽の作曲家・武満徹氏と、関連するほかの作曲家の曲とを一緒に紹介するプログラムは、頭で考えるのではなく、ただ素直に耳を傾け、心で感じるコンサート。水や緑などの自然を感じるように、音楽の響きに身を委ねられる癒しの空間がそこにはある。(編集部:高橋萌)

KOTARO FUKUMAKOTARO FUKUMA
1982年、東京都生まれ。5歳からピアノを学び、都立武蔵高校卒業後、パリ国立高等音楽院への留学を経て現在はベルリン芸術大学に在学中。2003年米国・クリーヴランド国際ピアノコンクールで日本人として初めての優勝、加えてショパン賞を受賞するなど、数々の受賞経験を持つ。同年、ニューヨークのリンカーンセンターでデビューリサイタルを果たし、世界各地で演奏を続けている。これまでに、「武満徹ピアノ作品集」(Naxos)、「Laureate Series / シューマン」(Naxos)、「アルベニス / イベリア全曲他」(ハーモニー)の3枚のCDをリリースしている。 www.kotarofukuma.com

福間さんがピアノを始めたのはいつ頃ですか?

2人の姉がピアノを弾いているのを見て、自然とピアノに興味を持ちました。5歳になってから先生について習い始めましたが、実はまだ這い這いしているような時期からピアノの音に敏感だったらしくて、姉がピアノを弾いている部屋の扉の前で耳を澄ませたり、お昼寝したりしていたこともあったそうです。

今までさまざまな場所で演奏してきた中で、1番印象に残っているのはどのコンサートですか?

やはり、ニューヨークでのデビューコンサートです。演奏家としての今後が懸かっているんだという自分自身へのプレッシャーでガチガチに緊張していました。でもコンサート直前に、「今日やるべきことは、今まで応援してくれた人、会場に来てくれた人たちに感謝の気持ちを伝えること」と言ってくれた母の言葉が効きました。そして今に至るまで、聞いてくださるお客さんへの感謝の気持ちを持ち、演奏できる幸せを感じながら弾くことが自分の演奏の根底にあります。

ピアニスト福間洸太朗の誕生ですね。福間さんが演奏家として大切にしていることは?

音楽を通して人に感動を与えることが1番大事です。でも、今は世界中に演奏家が溢れている時代なので、常に自分にできることは何なのかを考えながら活動しています。昨年は、南アフリカで子どもの音楽教育のためのチャリティーコンサートをする機会をいただきました。音楽を通して人の輪を広げたり、感動を共有できる空間と時間を提供していきたいと思っています。

今回のコンサートの中核にある武満氏の音楽との出会いは?

実は、パリに留学するまで武満さんの音楽を弾いたことがなかったんです。「現代音楽」はクラシック音楽と比べて、予測不可能で、難しいという先入観があって・・・・・・。でも、パリでフランス人やその他いろんな国の学生たちが弾いているのを聞いて、日本人なのに恥ずかしいとも思った。それから、興味を持って触れていく内にどんどん惹かれていったんです。

武満氏の音楽の魅力は?

福間洸太朗彼の音楽の魅力は、すごく抽象的ではっきりしたメロディもない、でもその中に様々な色や響きが含まれていて、それが自然の中にある響きや音と通じるものがあるというところ。僕がそうだったように、現代音楽は難しいと思い込んでいる方も多くいらっしゃると思いますが、風の音、水の音、森のざわめき、そういった自然の音に触れたことはあるはずです。抽象的だからこそ、いろんな可能性があると捉えていただけると嬉しいです。

今回は、武満さん、そして彼と関わりのある作曲家を取り上げているので、それぞれの曲をじっくり聴き比べてみてください。そして、その場で生まれる音の響きを、身構えずに堪能してみてください。

ありがとうございました。インタビューを通して、このコンサートには、福間さんが直接対面することが叶わなかった武満氏への深い感謝と尊敬の気持ちがいっぱいに詰まっていることが伝わってきました。コンサート、楽しみにしています!!

武満徹 / Toru Takemitsu
1930年、東京都生まれ。作曲家。幼少時代を満州の大連で過ごし、小学校入学と同時に日本に帰国した。主に独学で音楽を学び、50年に処女作を発表。翌年、詩人の瀧口修造の下、作曲家の湯浅譲二らとともに現代芸術集団「実験工房」の結成メンバーに加わる。彼が作曲する独特の響きは「タケミツ・トーン」と呼ばれ、現代音楽の分野で世界にその名を知られるようになる。作品は、コンサート・ピースから電子音楽、映画音楽、舞台音楽、ポップ・ソングまで多岐に渡る。著書にエッセイ「音、沈黙と測りあえるほどに」などがある。1996年、65歳で死去。

Information

2月27日(金)19:00~
福間洸太朗ピアノリサイタル
「ピアノによる武満徹へのオマージュ」

プログラム 武満、湯浅、ドビュッシー、メシアン、
ケージ、クセナキス、バッハ
場所 ケルン日本文化会館
Japanisches Kulturinstitut
Universitätsstr.98, 50674 Köln
TEL 0221-9405580
WEB www.jki.de


2月24日(火)15:00~
”Toru Takemitsu – eine pianistische Hommage“
「ピアノによる武満徹へのオマージュ」

プログラム 武満、ドビュッシー、メシアン、ケージ、
クセナキス、バッハ
場所 ベルリン芸術大学
Universität der Künste Berlin
Im Kammersaal
Fasanenstr. 1B, Charlottenburg, 10623 Berlin
最終更新 Donnerstag, 29 August 2019 10:17
 

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