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ドイツ国際体操祭 in フランクフルト

4年に1度、ドイツ国内外のアスリートたちが集い、盛大に執り行われる体操・スポーツの祭典「ドイツ国際体操祭」。これが同じ周期で開催されるオリンピックと一味違うのは、メジャーではない競技種目にもスポットを当て、老若男女、誰もが楽しめるスポーツの可能性を最大限に追求することだ。41回目を迎える今年、開催地に選ばれたのはフランクフルト。体を動かす喜びを実感できる仕掛けがたっぷり詰まった体操祭の魅力を紹介しよう。(編集部:林 康子)

体操祭って何?

ドイツ体操祭の歴史は古く、1860年にバイエルン州コーブルク(Coburg)で開催されたのが始まり。その後ドイツ各地を巡り、2度の世界大戦を経ながらも途絶えることなく現在まで続けられている。東西分断時代の1987年にベルリンで開催された際には、同市の生誕750年を記念したプログラムが盛り込まれ、90年にはドルトムントとボーフムで初めて2都市の共催が実現。前回の2005年開催時には国外からの参加者が加わったことで国際大会へと発展し、その規模は回を追うごとに大きくなっている。

フランクフルトフランクフルトでの開催は、1880年、1908年、48年、83年に続いて5度目。今回は「橋を架ける」をモットーに、ホルスト・ケーラー連邦大統領の後援のもと、ドイツ体操連盟(DTB)とフランクフルト市の共催で行われる。1週間の期間中は、体操競技(器械体操)をはじめ、新体操、トランポリン、フェンシング、ビーチバレー、ハンドボールなど1万を超える多彩なプログラムが用意され、ドイツを含む36カ国から約10万人の来場が見込まれている。(写真:© PIA Stadt Frankfurt am Main, Foto: H.D.Fehrenz)

5月30日(土)の開会日程

14:00 パウルス教会(Paulskirche)での祝賀式典
16:30 約30分間にわたり、街中で開会を告げる鐘の音が鳴り響く
17:30 祝賀パレード
21:00 オープニング・パーティー

開会日のメーンイベント

祝賀パレード
開幕の当日、約4500人の参加者が市内を練り歩く。頭上には1000以上の旗が風になびき、街中の通りが体操祭の始まりを祝う人たちで埋め尽くされる。パウルス教会での祝辞の後、パレードは2時間半かけてフランクフルト大聖堂を取り囲む旧市街からパウルス教会へと向かう。

幻想的な水の壁
開会日の21:30にマイン川の上に浮かび上がるのは、高さ40m、幅200mの巨大な水のスクリーン。その上では、ファンタジックな光と音のマルチメディアショーが映し出される。このほか、ジェットスキーヤーによる迫力満点の水上ショーや音楽ライブなどが開催され、開幕を盛り上げる。

体操祭全プログラムの詳細はこちら: www.turnfest.de
チケットの購入・問い合わせ
TEL: 01805-040300
オンライン: www.adticket.de

すでに売り切れとなっているプログラムもあるので、購入はお早めに!また、いろいろなプログラムを見て回りたい人には、1日券「TurnfestLIVE」(10ユーロ)がオススメ。メッセへの入場、座席指定チケットが必要なもの以外のプログラムの見学、マイン川フェストマイルでのスポーツアトラクションへの参加ができるほか、ライン・マイン地域の公共交通機関が乗り放題となる。(ただし、競技や観光ツアーへの参加はできないので注意!)

会場と主なプログラム

会場マップ
1 レーマー/ マイン川フェストマイル(Römer/FlussFestMeile)
2 メッセ(Messe): 国際競技大会、ドイツ選手権(トランポリン、レーンラートなど)、子ども体操、体操ユーゲント(Tuju)、日本体操& カルチャーナイト、開会式、デンマーク・ナショナル・パフォーマンスのショーなど
3 レープシュトックゲレンデ(Rebstockgelände): 陸上、ドイツ多種目競技選手権(Deutsche Mehrkampfmeisterschaften、Friesenkampf)、ビーチ・スポーツ(ビーチバレー、コーフボール、ドッジボール、インディアカ)など
4 余暇・スポーツセンター・カルバッハ (Sport- und Freizeitzenturm Kalbach):リズムスポーツ体操選手権、体操&ダンス選手権、DTB ダンスカップ決勝戦など
5 コメルツバンク・アレーナ(Commerzbank-Arena): 閉会式
9 アイススポーツ場(Eissporthalle): 子ども体操ショーや興行などの上演
7 球技スポーツ場・ヘッヒスト(Ballsporthalle Höchst): 器械体操の選手権、チャンピオンズトロフィー

体操祭を盛り上げるプログラム

体操&ダンス

日本体操&カルチャーナイト
Japanese Gymnastics and Culture Night

Japanese Gymnastics and Culture Night日本体操協会に所属する200人以上のスポーツ選手が、日本人ミュージシャンによる生演奏に合わせて、完璧な床体操から息を呑むほど激しいアクロバティックまで、日本最高峰の体操ショーを繰り広げる。日本体育大学体操部の磨き抜かれた演技も見ものだ。日本体操界を代表する大物ゲストも登場!1984年ロサンゼルスオリンピックの鉄棒金メダリスト森末慎二が、オープニングソングを熱唱し、日本体操界の第一人者、荒木達雄は中年男性中心の体操グループ「お~るど・ボーイズ」とともにユーモアあふれるアクロバティックな演技を見せ、会場を笑いの渦に巻き込む。

また、デュッセルドルフのライン幼稚園の年長児とげんきクラブ(小学1~中学1年生)の93人が、「ビールに乾杯!」というラップ音楽に合わせて、ビールジョッキを片手に演技をするほか、小学2年生以上の53人が純和風の体操を披露する。

6月2日(火)20:00
Frankfurter Festhalle(Ludwig-Erhard-Anlage 1)

 

デンマーク・ナショナル・パフォーマンス
Show des National Danish Performance Team

デンマーク・ナショナル・パフォーマンスデンマークのパフォーマンス・チームが、体操技、モダンダンス、アクロバットのショーで、北欧の優雅さと力強さを表現する。同国トップクラスの選手に加え、アジアやアフリカ、欧米などを巡る世界ツアーで活躍するデンマーク体操・スポーツ協会のエリートチームが参加。ロマンチックなバレエのステップ、パ・ド・ドゥや勢いあふれるトランポリン、モダンな新体操など、身体能力やバランス感覚を駆使した迫力ある演技を次々に展開する。

プログラムの目玉は、男子床体操だ。世界レベルの大会でも難易度が高い技に果敢に挑戦する。一方、女子は棍棒やボール、フープなど様々な器具を用いて女性らしい華やかな体操を見せる。

6月4日(木)20:00 
Frankfurter Festhalle(Ludwig-Erhard-Anlage 1)

 

チャンピオンズ・トロフィー
Champions Trophy

ファビアン・ハンビュヒェンこのフランクフルトでの体操祭を皮切りに、ベルリン(9月19日)、マンハイム(10月25日)、シュトゥットガルト(11月15日)を巡回するチャンピオンズ・トロフィーは、ドイツ体操界のスター、ファビアン・ハンビュヒェンや、ロシア、日本、米国から各国を代表する選手たちが一堂に会する大舞台。オリンピックさながらの緊張感が張り詰める中、世界ランクの逆順で多種目競技を次々にこなす形式で、競技が進むにつれて会場のボルテージは上がる!結果は、最後の種目である鉄棒 が終わった段階で出される。

チャンピオンズ・トロフィー の賞金総額は20万ユーロを越 え、種目ごとに5万ユーロが 授与される。この高額賞金を ゲットするのは果たしてどの 選手か!?

6月1日(火)13:00 
Frankfurter Ballsporthalle(Silostraße 46)

キッズイベント

子どもたちによる体操ショー
Kinderturn-Show

ドイツ体操ユーゲント(Deutsche Turnerjugend)と青少年障害者体操連盟が、「子どもたちによる子どもたちのためのショー」を披露。障害を持つ子どもたちも今回初参加し、何千人もの子どもたちが、会場に作られた子ども体操の世界を駆け巡る。このイベントの基盤となるテファビアン・ハンビュヒェンーマは、環境保護。子どもたちは草原のライオンやベジタリアンの山猫といったキャラクターたちと一緒に、「動く、参加する、体験する、遊ぶ、練習する、できる」のすべての要素を含む体操を通して、地球環境と向き合うことの大切さを伝える。

6月1日(月)15:30 
Eissporthalle Frankfurt(Am Bornheimer Hang 4)

多種目

これぞ体操祭の醍醐味、多種目競技

多種目体操祭の中でも1番盛り上がるハイライトと言えるのが、多数の競技会だ。期間中は、オリンピック種目である器械体操をはじめ、新体操やトランポリン、エアロビクス、ラート、ダンス、スポーツアクロバットなど、ありとあらゆる種目の選手権が目白押しとなっている。

特に器械体操や陸上、水泳など複数のスポーツを組み合わせた多種目競技選手権(Mehrkampfmeisterschaften)は、公平、思慮、支え合い、共同の精神に基づいており、社会への普遍的なメッセージも込められていることから、今なお若年層から根強く支持され、ドイツ体操界の中でも最も長い伝統と高い人気を誇る選手権として親しまれている。競技種目はすべて規定で、州予選を勝ち抜いた約1800人の選手が連邦レベルで70のタイトルをめぐって争う。

主な多種目競技

Jahnkampf
体操競技、陸上競技のうち最低2種目、飛び込み、水泳を組み合わせたもの

Friesenkampf
水泳、陸上競技3種目(砲丸投げ、短・中距離走)、射撃、フェンシングを組み合わせたもの。

12歳以上の選手が参加可能。多数の種目への挑戦は想像を絶するほど過酷で、すべてをこなすために必要とされる精神力、運動力は並大抵ではない。参加者数も毎回それほど多くはないが、その分チャレンジャーに対する観衆の声援も熱くなる競技だ。

気軽にチャレンジしてみよう!

期間中、市内4カ所に一般来場者が参加できる体験テストのコーナーが設けられる。頭と体をフルに使って、参加しながらフランクフルトという街を知るものや、自身の運動能力レベルを試すことができるものまで多種多様なので、一度覗いてみて気になるコーナーを見つけたら、遊び感覚で挑戦してみよう。

● 橋作り
マイン川マイン川は、フランクフルトの心臓部。そして、左右の両河畔に広がる地区同士は、マイン川に架かる多くの橋で結ばれている──大きな9つのサイコロを使って橋を作ろう。(写真:© PIA Stadt Frankfurt am Main, Foto: Tanja Schäfer)

● レーマーパズル
レーマーレーマーは600年来、フランクフルトの市庁舎であり、その独特な階段式の切妻ファサードは街のシンボルとして存在し続けている──20個の3次元パズルを使ってレーマーの模型を完成させよう。(写真:© PIA Stadt Frankfurt am Main, Foto: Bernd Wittelsbach /Kontrast Fotodesign Gbr.r)

● ベンベル支え
レーマーベンベル(Bembel)とは、アップルワインを入れるピッチャーのこと。フランクフルトの名物ワインは、このピッチャーから注がれているのだ──腕を伸ばした状態で、大小様々なベンベルを動かして所定の位置に置こう。(写真:© Tourismus + Congress GmbH Frankfurt am Main)

● ベッベル・テスト
Apfel(リンゴ)がAppelとなって発音上「f」が消えるのは、フランクフルト地方の方言の特徴
──10語のフランクフルト方言を標準のドイツ語に訳してみよう!フランクフルトっ子じゃなくてもできるはず。

● トップフィット・テスト
持久力、忍耐力、瞬発力、そして危険要因認識力など、総合的な運動能力をテストするフィットネスチェック。最近、運動不足気味で、ちゃんと年齢相応の運動能力があるかどうか試してみたいという人にピッタリ。結果分析のほか、生活改善のアドバイスも受けられる。
期間中 10:00 ~18:00  Messehalle 5.0、1.1、1.2

● グリューネブルク公園でジョギング
体操祭に参加する選手だけでなく、一般来場者やジョギング好きの市民が、フランクフルトの憩いの場となっている広大な公園で自身の記録にチャレンジ!800m~8kmまで各自のレベルに合わせたコースを選択できる。緑に囲まれた抜群の環境で、高層ビル群や庭園の傍らを軽やかに走って気分爽快になろう。
5月31日(日)16:00 スタート Grüneburgpark

● スラックライニング
ロッククライミング、体操、アクロバットに起源を持つスポーツ。2本のポールの間に伸縮性のあるベルトを張り,綱渡りの要領で渡る。人が乗るとベルトが少しだけ緩むようになっていて、乗りながら左右にベルトを揺ら す。ジャンプして飛び降りるなどの技にも挑戦できる。集中力や平衡感覚が問われる。
5月31日(日)10:00 ~17:00 Messehalle 4.2 、Agora

メッセホール(Messehalle)
1.1&5.0 U1/5、路面電車16/17でFesthalle/Messe、もしくはS3/6でMesse下車

マイン川フェストマイル(FlussFestMeile)
U1/5 もしくは路面電車11/12 でWilly-Brandt- Platz下車

ハウプトヴァッヘ(Hauptwache)
U1/3/6/7 もしくはS1/6/8/9 でHauptwache下車

グリューネブルク公園(Grüneburgpark)
U6/7 でWestend下車

こんなスポーツ、知ってる?

オリンピック種目になるほど有名ではなく、普段はあまり見かけることがないレクリエーション・スポーツの大会も、この体操祭には大集結!プロのスポーツ選手でなくても、集まった仲間同士で気軽に楽しめる様々なスポーツを通して、運動の楽しさ、奥深さを知ることができる。

● ファウストバル(Faustball)
バレーボールに似た球技。片手の拳または腕のみを使い、コートに入ったボールを3打以内(ノーバウンド、もしくはワンバウンド)で相手コートに返す。相手チームのミスで得点が入る。1チーム5人で、コートを仕切るネットの高さは2m。

● プレルバル(Prellball)
プレルバルの球高さ40cmのネットで仕切られた縦16m×横8mのコートで、拳もしくは前腕でボールを床に強く叩き付けてワンバウンドさせ、3打以内に相手コートに返す。ボールがネットに触れたり、コートの外に出た場合など、相手のミスで得点が入る。1チーム3~4人。

● コーフボール(Korfball)
オランダ発祥のこの球技は、バスケットボールに似ていて、リング状のバスケットにボールを入れて得点を競う。男女混合(男女それぞれ4人、計8人)のチームでプレーを行う。バスケットボールとの違いは、ドリブルがないことと、バスケットの後ろに板がないポールを使用すること。

● リングテニス(Ringtennis)
バドミントンのコートを使用。重さ210~230gほどのゴム製のリングをネット越しに投げて床に落ちる前に片手でキャッチし、同じ手で返す。コート上にリングが落ちたり、リングが相手コートの外に出たりすると失点となる。シングル、ダブルス、もしくは男女混合で行われる。

● インディアカ(Indiaca)
インディアカの球バドミントンのダブルスと同じ広さのコートで、羽の付いたボールを打ち合う。1チーム5人。バレーボールと同様、サーブから始め、レシーブ、トス、アタックの3段構成で、3回以内に敵陣に返す。片手で羽を打たなければならず、肘より先の部位にボールが触れると反則となる。

● ラート(Röhnrad)
正式名称はルーンラートで、日本語ではラート。1925年にドイツで子ども向けの遊び道具として考え出されたスポーツ。2本の鉄の輪を平行に繋いだ器具を用いて、様々な体操を行う競技で、直転、斜転、飛躍の3種目がある。器具は、競技者の身長より30~40cm程大きいものが適当とされている。

● シュロイダーバル (Schleuderballspiel)
1チーム8人が、縦100m×横15mのコートで、取手の付いたボールを敵陣コートの前方のフィールド(ゴールラインより手前)に入れて得点を競う。1898年にハンブルク体操祭で初めて披露されて脚光を浴びたが、現在は競技人口が減りつつある希少スポーツ。


フェストマイル

フェストマイル

体操祭の期間中、マイン川沿いのUntermainbrückeとHolbeinsteigの間に「マイン川フェストマイル」が登場する。ここには4つのステージが設置され、音楽ライブやすべての来場者が参加できるスポーツアトラクションが真夜中までオープン。国際イベントにふさわしく、世界各国の料理を味わえる屋台もずらりと並ぶ。

スタジアム祝宴ガラ

1週間におよぶ大掛かりなイベントを締めくくるクロージング・パーティーを演出するのは、ここ数年、UEFAやサッカーのコンフェデレーションズ・カップでその名を馳せ、世界中で数多くの大舞台を手掛けるパフォーマンス・デザイナー、エノ・ウーデ。フィナーレに相応しく、クラシックやポップ・ロック、オペラなど様々な音楽にのせて、個性に富んだショーが繰り広げられる。

6月5日(金)20:15 
Commerzbank-Arena (Mörfelder Landstraße 362)

 
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