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今年も熱い季節がやってきた! ドイツ流グリレンの楽しみ方

ドイツの夏の風物詩の一つといえば、「グリレン」(grillen、バーベキューのこと)。夏になると、公園や庭先、バルコニーなど、さまざまな場所で煙が立ち上り、ソーセージや野菜などを焼くいい匂いがしてくる。本特集では、そんなドイツ人が愛してやまないグリレン文化をはじめ、ドイツ流のグリレンの楽しみ方や注意事項、おすすめのレシピなどを紹介する。
(文:ドイツニュースダイジェスト編集部)

グリレンの楽しみ方

ドイツ人が熱狂する「グリレン」とは?

ドイツ人の87%が「グリレンファン」を自称、グリレンをする回数は年に平均13回、5人に4人は天気が良くなるとすぐにグリレンをする……など、さまざまな統計が証明するドイツ人の「グリレン愛」。暗い冬が終わり、再び日の長い明るい季節が戻ってくると、多くのドイツ人たちが自然に引き寄せられる。ドイツ人の3分の2近くにとって、この季節の到来がグリレンシーズン開始の合図になっているという。一方で、冬でもグリレンを楽しむ(13%)という強者たちも。

火をおこし、肉を焼く「バーベキュー」は16世紀のアメリカ大陸北部が発祥といわれるが、ドイツでグリレンが広まったのは戦後以降。ドイツ人にとってのグリレンは、ガムをかんだりジーンズを履いたりするのと同じように、ある種のカジュアルさを持つ米国から流入したトレンドの一つだった。また社会学者サシャ・シャボ氏によると、ドイツで現在のようなスタイルのグリレンが普及したのは1960年代後半からだという。その理由の一つは、各家庭に電気調理器が普及したことで、火をおこして調理することがなくなったことだ。煙の匂いを感じられる機会が日常生活からなくなり、人々はグリレンにそれを求めた。またテーブルマナーなどに縛られない気楽な食事スタイルも魅力だった。

ちなみにここドイツでも、グリレンといえば、力強さや男らしさを象徴する「男の料理」だった。グリレンの際に肉を焼くのは、もっぱら男性の役割という風潮が強く、女性はサラダや肉の下準備までを終えたら、後はのんびり食事を楽しむというのがよくある光景だ。事実、最近の統計においても、ドイツの男性の80%はグリレンのときにトングを奪われることに抵抗があると回答。一方で、女性の3分の2はグリレンで肉を焼く仕事には全く興味がなく、むしろ材料やサイドディッシュの準備を担当したいと答えている。

また食品会社ヴィーゼンホフが行った調査によると、昨今のベジタリアン・ヴィーガンのムーブメントにより、グリレンで肉を食べる人が減少傾向に。2009年にはグリレンで野菜を焼く人は29%だったが、現在では53%と大幅に増加している。

参考:markt.de「Deutschlands Freizeitvergnügen Nummer 1 - Das Grillen!」、Braunschweiger Zeitung「Warum Grillabende Live Rollenspiele sind ein Soziologe erklärt」、Tagesspiegel「Volkskundler über das Grillen: „Männer sammeln sich um ein Feuer“」、epap「Grillsaison 2023: epap Studie zeigt, wie gegrillt wird」Die Fleischerei 「Grillsaison: Zeit für mehr Kohle」、yougov「Auf den Grill gehört für die Mehrheit der Deutschen Fleisch」、 Süddeutsche Zeitung「Männer, die auf Koteletts starren」

グリレンといえば何を焼く?

グリレンをする理由は?

グリレンをする時期は?

これを読めば準備万端!グリレンパーティーをしよう

いざ、グリレンパーティーを開催。大勢の仲間を誘って、青空の下へ……。と、このときに何かが足りない! なんてつまずくことのないよう、しっかり準備・確認をして臨もう。

参考:本誌726号「ドイツ流グリレンのススメ」、Das Kochrezept「Checklisten für die Grill-Feier」、Weber「Grillideen für die beste Grillparty」

持ち物リスト

  • グリル
  • 木炭・練炭・ガス( Holzkohle/Briketts/Gas)などの燃料
  • 着火剤(Brennpaste/Flüssiganzünderなど)
  • 軍手
  • テーブルやイスなど
  • 食器・カトラリー
  • トングなどの調理器具
  • 肉・魚(1人当たり150〜300グラム程度)
  • パン・ジャガイモなど(1人当たり100グラム程度)
  • 野菜・サラダ(1人当たり100〜150グラム程度)
  • 飲み物(1人当たり1〜1.5リットル程度)
  • デザート(フルーツ、ケーキ、アイスクリームなど)
  • ソースなどの調味料
  • ロウソク、テーブルランプ
  • バケツ(消火する時などに利用)
  • ゴミ箱・ゴミ袋
  • 救急セット
  • 虫除けスプレー

グリレンの焼き方いろいろ

直火焼き(160~300℃)

赤々と燃える木炭の上で食材を焼く。脂肪分の少ない牛肉のステーキやハンバーグなどに適した方法。外はしっかり、中はジューシーな焼き上がりが特徴。短時間で焼き上がる(~30分)。

間接焼き(160~200℃)

直接食材に火を当てずに、木炭から発せられる煙と熱で焼き上げる方法。グリルの両端に炭を寄せ、真ん中には肉から出る脂や肉汁を受けるアルミ容器を置く。脂分の多い牛肉や豚肉、鶏肉などに適している。焼き時間は長く、2~5時間ほどかかる。

燻製(60~90℃)

グリルの炭火にスモークチップをふりかけて燃やし、そこから上がる大量の煙で低温調理する方法。蓋をして煙で蒸し焼きにし、数時間〜1日ほどの時間を要する。燻製された食材のスモーキーな香りがたまらない。燻製にする前に塩漬けや乾燥などの一手間が必要。肉や魚、卵やチーズなど、アイデア次第でさまざまな食材を燻製できる。

グリレンの焼き方いろいろ

時間帯・場所選びに注意

大勢の人が集まるグリレンパーティーは、近隣住民とのトラブルの種になることも。ほかの人に迷惑をかけず、思う存分楽しめるように、グリレンをする時間帯・場所は慎重に選ぼう。

賃貸契約書やハウスルールを確認

ドイツ借家人協会(DMB)によると、バルコニー、テラス、庭でのバーベキューは一般的に許可されている。ただし、賃貸契約書やハウスルールに規定がある場合はこちらが優先される。また「炭火でのグリレン禁止」など、使用する用具について個別に規定されていることもあり、煙の少ない電気やガスでのグリレンはOKという場合も。いずれにしても賃貸契約書やハウスルールに記載されている内容を遵守しよう。

過度な煙を出さない

バルコニーやテラスでグリレンをする際に、煙の出やすい炭火の使用が特に問題になることが多い。近隣住民に煙で迷惑をかけると、排ガス規制法違反にみなされる場合がある。庭などで行う場合も、できるだけ隣家から離れた場所にグリルを設置しよう。

夜の騒音に注意

自宅でグリレンパーティーをする際は、その地域で決められている「Ruhezeit」(安静時間、通常は夜10時以降)を守ろう。その時間帯を過ぎたら、パーティーの場所を外から室内へと移動させ、近隣の迷惑にならないよう静かに過ごそう。

グリレンの頻度

自宅でのグリレンパーティーの開催頻度があまりに多い場合、近隣トラブルとなり、最悪の場合は裁判沙汰になることも。一般的には、夏のグリレンの季節に月2回程度であれば問題ないとされる。いずれにしても、グリレンパーティーを開催する数日前に、近隣住民にその旨を伝えておくとベター。

公園や森でのグリレン

自然が身近なドイツでは、大きな公園や森の中もグリレンスポットとして人気が高い。一方で、場所によってはグリレンが禁止されていることもある。グリレンをしてもいいか分からない場合は、事前に関係当局の許可を取るか、あるいは公共のグリレン場を利用するのが良い。グリレンで出たゴミはきちんと処理し、自宅での開催と同じように夜10時以降はあまり騒がしくしないこと。

グリレンに関する罰則

グリレンの騒音や煙、臭いによって近隣住民とトラブルになった場合、厳しい罰金や罰則を課せられることもある。統一された連邦法があるわけではないが、過去には例えば、度重なるハウスルール違反で賃貸契約の解除、安静時間(夜間・日曜・祝日)のグリレンによる騒音で最高5000ユーロの罰金なども。住んでいる地域のルールを確認しよう。

参考:Garten&freizeit.de「Grill-Recht」、Merkur.de「Bis zu 5.000 Euro Bußgeld: Wenn Sie beim Grillen gegen diese Regeln verstoßen, wird‘s richtig teuer」

自宅で簡単にできる!グリレンの定番レシピ

お肉のマリネ2種

肉や魚に下味をつけるマリネは、グリレンに欠かせない調理法。 しっかり漬け込むことで、より柔らかくジューシーな味わいを 楽しめる。ドイツでも定番の2種類のマリネをご紹介! 

マリネマリネすることで柔らかくてジューシーに!

パプリカとオイルのマリネ

パプリカとオイルのマリネ

⚫︎材料
お好みの肉 500g
にんにくのみじん切り 3片分
レモン汁 2個分
パプリカパウダー 大さじ3
オリーブオイル 大さじ6
こしょう 適量

はちみつとマスタードのマリネ

はちみつとマスタードのマリネ

⚫︎材料
お好みの肉 500g
はちみつ 大さじ2
マスタード 大さじ2
オリーブオイル 大さじ1
しょうゆ 大さじ1
にんにくのみじん切り 1片分
塩・こしょう 適量

    ⚫︎作り方
  1. 1 マリネ液の材料を全て混ぜ合わせたら、肉全体が隠れるように浸す。
  2. 2 肉全体にマリネ液が行き渡るように、2分くらい揉み込む。パプリカとオイルのマリネは最低8時間、はちみつとマスタードのマリネは最低2時間冷蔵庫に置く。
  3. 3 常温に戻してからグリルする。

じゃがいものホイル包み焼き

炭火の中でじっくり焼いたほくほくのじゃがいもは、グリレンパーティーだからこそ楽しめる特別な味。焼き時間を短縮したい方は、じゃがいもを下茹でしてからグリルするのも◎。

じゃがいものホイル包み焼き

⚫︎材料
大きめのじゃがいも 5個
パセリ 適量
サワークリーム 200g
塩・こしょう 適量
バター 50g
    ⚫︎作り方
  1. 1 じゃがいもは皮をむかずによく洗う。パセリはみじん切りにする。
  2. 2 じゃがいもをアルミホイルで包み、グリルの網の上ではなく炭の中に入れ、40分ほど直火で焼く。
  3. 3 サワークリームと塩・こしょうを混ぜ合わせておく。
  4. 4 じゃがいもに火が通ったら、バターと3のクリームを載せる。パセリを散らして出来上がり。

ハルミチーズのシャシリク串

シャシリク(Schaschlik)とは、東ヨーロッパ名物の串焼き。グリレンパーティーにベジタリアンの友人も参加するなら、お肉をハルミチーズ(ヤギとヒツジの乳から作るチーズ)に替えてみよう。ハルミの絶妙な塩気と食感がくせになる。

ハルミチーズのシャシリク串

⚫︎材料
ハルミチーズ 200g
ズッキーニ 1本
赤パプリカ 1個
赤玉ねぎ 1個
にんにく 2片
オリーブオイル 大さじ4
オレガノ 小さじ1
タイム 小さじ1
塩・こしょう 適量
    ⚫︎作り方
  1. 1 ハルミチーズを約2センチの角切りにする。ズッキーニ、赤パプリカは3センチ幅に、赤玉ねぎはくし形切りにする。
  2. 2 全ての具材を串に交互に刺す。
  3. 3 にんにくをみじん切りにし、オリーブオイルとハーブ、塩・こしょうと混ぜ合わせる。
  4. 4 2の串を3に30分以上漬け込む。
  5. 5 ときどき串をひっくり返しながら、ハルミチーズがきつね色になるまで10〜15分ほど焼いたら出来上がり。

参考:Das Kochrezept「Paprika-Grill-Marinade」、Hobby-Grill.de「Honig-Senf Marinade」、Lecker.de「Kartoffeln grillen - so geht's」、NDR「Halloumi-Grillspieße」

グリレン好きスタッフによるグリレンの極意

グリレン好き

グリレンとは「Lebensgefühl」

夏といえば、ドイツの多くの家族にとって伝統的に「グリレンシーズン」を意味します。オストフリースラント地方の田舎で育った私も、子ども時代に庭で両親と兄弟と一緒によく(多いときには週2回!)グリレンをしていました。グリレンをしている間、子どもたちは庭で遊んでいられるので、親は料理をしながら見守ることができますし、子どもが簡単な料理に参加できるのもいい点です。ありとあらゆるおいしいものをグリルしていると、友人やご近所さんが集まってくることも。グリレンに参加するときは各自何かを持ち寄るのが基本なので、グリルの上はとてもカラフルです。屋外で食べれば、さらにおいしくなるのは言うまでもありません。グリレンは「Lebensgefühl」(人生に対する感覚)であり、楽しみであり、人々を結び付ける活動なのです。もちろん片手にビールをお忘れなく!

ベジもノンベジも一緒に楽しめる!

私は大きくなってからベジタリアンになったのですが、ベジタリアンやヴィーガンの人がグリレンで何を食べるのかという質問に答えるのは、そんなに難しくはありません。実はベジもノンベジも一緒に食べられるものがたくさんあるのです! まず一般的にグリレンでは、サラダ(ポテトサラダ、パスタサラダ、リーフサラダなど)やバゲット(ガーリックトーストなど)が用意されています。ほかにもグリル用チーズ(Grillkäse)もありますし、野菜(キノコ、パプリカ、トウモロコシ、ズッキーニ、シュパーゲル……などなど)はマリネ液に一晩漬けておくとより一層おいしくなりますよ。

また最近では、どこのスーパーでもさまざまな種類のフェイクミートを購入できます。ソーセージ、ハンバーガー、ステーキなど、子ども時代の味を思い出させてくれるものが全てそろっています。もし肉と一緒に調理するのが気になるようであれば、別々に焼くためのグリルボウルがありますし、アルミホイルで包むのも一案です。大切なことはみんなが一緒に楽しくおいしく食べること。皆さんもそれぞれの好きなものを用意して、グリレンを楽しんでくださいね!
文:JAPANDIGEST編集部(藝)

 
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