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Mi. 01. Dez. 2021

ドイツ生まれの温もりを贈ろう世界中で愛されるシュタイフのぬいぐるみたち

1880年に世界で初めてぬいぐるみを生み出した「シュタイフ」。子ども時代をシュタイフ社のぬいぐるみと一緒に過ごしたという人は、ドイツに限らず世界中にいることだろう。実はシュタイフ社が誕生したきっかけは、大切な人へのクリスマスプレゼントだったそう。本特集では、そんなシュタイフ社の歴史をはじめ、贈り物におすすめのぬいぐるみをご紹介。さらに日独のシュタイフコレクターの方から、シュタイフとの思い出を語ってもらった。(文: ドイツニュースダイジェスト編集部)

世界中で愛されるシュタイフのぬいぐるみたち

ぬいぐるみの生みの親マルガレーテ・シュタイフの人生

エネルギッシュな少女マルガレーテ

若き日のマルガレーテ・シュタイフ若き日のマルガレーテ・シュタイフ

1847年7月24日、ドイツの小さな町ギーンゲンで、シュタイフ家の4人兄弟の3番目の子としてマルガレーテ・シュタイフ(1847-1909)は誕生した。後に世界初の「ぬいぐるみ」を生み出し、子どもの遊びの世界をがらりと変えた伝説的な人物である。しかし、かわいらしいぬいぐるみの裏には、人生のどん底を味わっても果敢に挑戦し続けるマルガレーテの姿があった。

マルガレーテは1歳半の時に高熱を出して倒れ、骨髄性小児まひを患う。何度も医者に通って治療をするも効果はみられず、両足と右手にハンデを負って生涯を車いすで過ごすことになった。しかし、楽しいことが大好きなマルガレーテは、自分の居場所を求め続け、やがて裁縫学校で手芸の才能を開花させる。1877年には「フェルト・メール・オーダー・カンパニー」を設立し、子どもや女性向けのフェルト衣料の販売を開始。マルガレーテが作るフェルト製品は評判となり、ビジネスとして成功を収めていった。

世界初のぬいぐるみは「ゾウ」だった

1879年12月のある日、マルガレーテはファッション雑誌「Modenwelt」で布製のゾウを目にする。そこからインスピレーションを得たマルガレーテは、クリスマスの贈り物として甥や姪にゾウの形のおもちゃを制作。大人用には針刺しとしてプレゼントした。その当時、人形といえばビスク・ドールが主流で、おもちゃも木やブリキなどの硬い素材で作られたものが多かった。そんななか、柔らかくて触り心地の良い、全く新しいおもちゃが誕生したのだ。

マルガレーテのアイデアから生まれたゾウのぬいぐるみマルガレーテのアイデアから生まれたゾウのぬいぐるみ

この小さなぬいぐるみは、瞬く間におもちゃとして大人気になった。年が明けた1880年、このゾウのぬいぐるみを求めてお店の前に行列ができるほど評判だったという。この年がシュタイフ社の創業年とされている。それからわずか6年で、マルガレーテは5000頭以上のゾウを販売した。さらにゾウに加えて、サル、ウマ、ブタ、イヌ、ネコ、ウサギなど、さまざまなぬいぐるみを生産していく。

永遠のベストセラー「テディベア」の誕生

1897年には、マルガレーテの甥であるリヒャルト・シュタイフが同社のスタッフとして加わる。彼はシュトゥットガルトの美術工芸学校に通い、英国に留学もした。リチャードが描いた動物のスケッチは、シュタイフ製品の多くの基礎となっている。そして1902年、リヒャルトは長年温めてきた、手足が動くクマのぬいぐるみデザインを手掛けることになった。

翌年、ライプツィヒで開催されたおもちゃ博覧会でリヒャルトのクマのぬいぐるみを発表すると、それを見つけた米国のバイヤーが3000体を注文。ルーズベルト大統領(当時)の晩餐会のテーブルディスプレイに使われたことで、大統領のミドルネーム「テディ」にちなんで「テディベア」と名付けられたのだった。これをきっかけに、テディベアは米国で空前の大ヒットを記録することになる。

1902年に作られた世界初のテディベア「Bär 55 PB」1902年に作られた世界初のテディベア「Bär 55 PB」

トレードマークの「ボタン・イン・イヤー」って?

急成長したシュタイフ社は、数え切れないほどの模造品と闘うことを強いられる。偽造品と区別するために1904年、シュタイフは「Steiff - Knopf im Ohr」(ボタン・イン・イヤー)という商標を作成。これは世界で一番古いトレードマークといわれており、全ての商品にシュタイフタグが付けられている。

トレードマークの「ボタン・イン・イヤー」

タグには、品番、製品の素材などを表示。シュタイフ社といえば「黄タグ+赤文字」を思い浮かべるが、「白タグ+赤(黒)文字」も存在する。白タグは数量限定生産のもの、またはレプリカに付けられていて、シリアルナンバーも記載されている。

おもちゃ界の伝説となったマルガレーテ

シュタイフ社が大成功を収めた一方で、1909年、マルガレーテは肺炎のため61歳でこの世を去ってしまう。思いやりのある経営者として慕われていたマルガレーテの死は、シュタイフ家の人々や従業員にとってとても悲しい出来事だった。経営面では甥のリヒャルトが引き継ぎ、シュタイフ社はその後も「子どもたちには最高のものこそふさわしい」という、マルガレーテのモットーを守り続けていく。

シュタイフ社創設から140年以上が経った2021年、マルガレーテは米国の玩具業界団体の最高の栄誉である「Toy Industry Association」(TIA)にて殿堂入りを果たした。玩具業界のオスカーとしても知られているこの賞は、これまでにミッキーマウスの生みの親であるウォルト・ディズニーや、セサミストリートなどで知られる操り人形師のジム・ヘンソンなどが表彰されてきた。マルガレーテは玩具業界のパイオニア的存在であるだけでなく、障がいがありながらも世界で最も早い時期にCEOになった女性の一人として、今なお愛されている。

今日、シュタイフ社のクマや動物のコレクションは800種類以上にもなるという。シュタイフ社が一つひとつ丁寧に制作するぬいぐるみたちが、これからも世界中の子どもたちの「大切な友だち」であり続けるだろう。

シュタイフのものづくり精神

「一生の友だち」というスローガンを元に、最高品質の素材にこだわるシュタイフ社。世界基準の「ISO 9001 認証」を取得し、モヘアやアルパカどの最高級の天然繊維や、合成繊維から作られたファーを、自社製織工場のシュタイフシュルテ社で織り上げるというこだわりようだ。ぬいぐるみの詰め物も有毒・有害な物質を一切含まないものを使用し、自宅で簡単に洗うことができる。

さらに今日のシュタイフ社は、ぬいぐるみだけでなく子ども服や木のおもちゃも製作。また他企業や他団体とコラボレーションするなど、新たな活動にも挑戦している。

「クマのプーさん」はシュタイフ社のぬいぐるみがモデル!?

「クマのプーさん」はシュタイフ社のぬいぐるみがモデル!?

1926年にA・A・ミルンが書いた「クマのプーさん」。挿絵を担当したE・H・シェパードは、よくミルン家に遊びに行ってスケッチをし、次々とキャラクターを生み出した。プーさんは、シェパードの息子が持っていたシュタイフ社のテディベアをモデルにしたといわれている。

キング・オブ・ロックンロールもシュタイフを所有

キング・オブ・ロックンロールもシュタイフを所有

1957年にキング・オブ・ロックンロール、エルヴィス・プレスリーが「テディベア」という歌を発表したが、実はシュタイフ社のテディベアを実際に所有していたことはご存じだろうか。それは190 9 年製のもので「メイベル」という名前が付けられていた。写真は自宅のぬいぐるみたちに囲まれたエルヴィス。

2021年のクリスマスに贈りたいおすすめのシュタイフぬいぐるみ

マルガレーテに倣い、今年のクリスマスはシュタイフのぬいぐるみを贈るのはいかがだろうか?赤ちゃんが初めて抱きしめるぬいぐるみからコレクターが思わず欲しくなる逸品まで、シュタイフの魅力が際立つ商品をピックアップしてご紹介する。

来年はテディベア誕生から120周年!コージーイヤーベア 2022

コージーイヤーベア 2022コージーイヤーベア 2022

足の裏に年号が入った毎年登場するコージーイヤーベアは、赤ちゃんや小さな子どもに優しく寄り添ってくれるソフトタイプのぬいぐるみ。毎年色が変わるリボンは、今年はベージュの毛にもよくなじむシックなさび色だ。出産祝いや結婚祝いなどの贈り物として人気だが、特に2022年はシュタイフ社でテディベアが誕生してから120周年を迎えるため、ますます特別なぬいぐるみとして注目されそう。

Cosy Jahresbär 2022
34cm/49.90€
※洗濯可

特別なクリスマスツリーにオーナメント・ハリネズミ・イン・ミトン

オーナメント・ハリネズミ・イン・ミトンオーナメント・ハリネズミ・イン・ミトン

オーバーサイズのサンタクロースの赤い手袋から、ちょこんと顔を出しているハリネズミ。そんなぬくぬくと温まっているかわいらしい姿が、オーナメントとしてシュタイフの仲間入り。柔らかいモヘアの毛にフェルト製の小さな耳をのぞかせて、愛らしさ120%。小さいながらも絶妙な存在感で、わが家のクリスマスツリーをきっと特別なものにしてくれるはず。世界で2000体の限定生産なので、ご購入はお早めに。

Igel im Handschuh Ornament
11cm/99.90€

赤ちゃんのシュタイフデビューにソフトカドリーフレンズ ウサギのホッピー

ソフトカドリーフレンズ ウサギのホッピーソフトカドリーフレンズ ウサギのホッピー

足の裏に「My First Steiff」と刺しゅうされたカドリーフレンズシリーズで、その名の通りシュタイフデビューにふさわしいぬいぐるみだ。たれ耳が愛くるしいウサギのホッピーは、いつでもどこでも一緒の友だちになってくれるはず。毎晩眠る時に思わずほっぺたですりすりしたくなるほど、ふわふわな肌ざわりに赤ちゃんもきっとうっとり。色はベビーピンクのほかに、アイボリーとパステルブルーがある。

Soft Cuddly Friends My first Steiff Hoppie Hase
26cm/29.90€
※洗濯可

映画のイメージがそのままシュタイフにパディントン ベア™

パディントン ベア™パディントン ベア™

ディズニー映画をはじめ、シュタイフではさまざまなキャラクターのぬいぐるみも作られている。こちらは『くまのパディントン』(福音館書店)を実写化した映画「パディントン」とのコラボベア。トレードマークの赤い帽子と青いコートは、物語のイメージをそのままに、優しくぎゅっと抱きしめられるソフトタイプだ。サイズはほかに38cmと60cm。絵本が原作のシリーズでは、ピーターラビットもあるので要チェック!

Paddington Bear™
28cm/89.90€
※洗濯可

これぞテディベアの逸品!テディ・クラウン・レプリカ 1926

テディ・クラウン・レプリカ 1926テディ・クラウン・レプリカ 1926

青いポンポンの付いた帽子を被り、シフォンの襟巻をした優雅なテディ・クラウン。上質なチップドモヘアが生き生きとした印象を与え、シュタイフの品質へのこだわりが見て取れる逸品だ。たったの926体しか生産されていないというこのレプリカは、世界中のシュタイフコレクターをとりこにし、日本ではすでに完売。ドイツではまだ手に入れるチャンスがあるので、豪華なクリスマスプレゼントにいかが……?

Teddy Clown 1926 Replica
40cm /449.90€

自然を守るためのアクションにもナショナルジオグラフィック カバのヘダ

ナショナルジオグラフィック カバのヘダナショナルジオグラフィック カバのヘダ

米誌「ナショナルジオグラフィック」とコラボして、生物多様性を保護する目的で作られたコレクションで、収益はナショナルジオグラフィック協会に寄付される。ゴリラやペンギンなど、さまざまな絶滅危惧種の動物を撮影して作られたぬいぐるみたちは、リアルな見た目ながら優しい表情が特徴的。カバのヘダはサハラ南部の出身で、森林伐採や密猟などによって絶滅の危機に瀕している。ぬいぐるみを通じて、地球の仲間に思いを寄せてみよう。

National Geographic Hedda Nilpferd
43cm /99.90€
※洗濯可

リアルでかわいい森の友だち赤ちゃんキツネのフォクシー

赤ちゃんキツネのフォクシー赤ちゃんキツネのフォクシー

シュタイフのモチーフには、ドイツの森に住んでいる動物たちもいっぱい。キツネの赤ちゃんのフォクシーは、最近仲間入りしたばかり。賢そうな目にとがった耳、エアブラシで丁寧に陰影が付けられた毛並みは、本物のキツネそのものだ。小さめのサイズなので、子どもが抱いて遊ぶのにもぴったりな大きさ。ほかにもリスのニキやノロジカのロミ―など、森のベストフレンドを探してみて!

Foxy Baby-Fuchs
19cm /39.90€
※洗濯可

シュタイフのお手入れ方法

洗濯可のぬいぐるみは、洗濯ネットに入れて洗濯機に入れ、中性洗剤を使って30℃で洗おう。アルパカやモヘアのぬいぐるみの場合は拭き洗いがベスト。中性洗剤を付けたタオルで表面を丁寧にこすり、さらに水を含ませたタオルですすぎの拭き洗いをしよう。

日独コレクターに聞いた!わたしの宝物シュタイフ

シュタイフ社員のコレクションは100体!ジモーネ・ピュルクハウアーさん

Simone Pürckhauer
1997年にMargarete Steiff GmbHに入社し、現在はPRを担当している。2013年に東京おもちゃショーに招かれた経験もある。

古いものから新しいものまで、およそ100体ものシュタイフを持っているため、一番を選ぶことができません。初めてのシュタイフは、テディベアのモリー。11歳のクリスマスに両親からもらい、今でも大切に持っています。シュタイフ・スタジオのボクサー犬もお気に入りの一つです。わが家にはディガーという名前の本物のボクサー犬がいて、一緒に写真も撮りました。

息子さんとディガー、シュタイフ製のボクサー犬と一緒に息子さんとディガー、シュタイフ製のボクサー犬と一緒に

それから、私の宝物で古いテディベアがあるのですが、なんと私の祖父がマルガレーテ・シュタイフの甥っ子であるフリードヘルムからもらったものなんです。群議会で祖父が彼の隣に座った時、「もしたばこを吸うのをやめてもらえたら、テディベアをプレゼントしましょう」と言われたのだそう。そうしてもらったテディベアが私の父へと受け継がれ、今は私の元にあります。祖父の代からすでにシュタイフとのつながりがあったと思うと不思議です。

お祖父さんから代々受け継がれてきたテディベアお祖父さんから代々受け継がれてきたテディベア

のみの市で出会ったシュタイフたち守屋 亜衣さん

Ai Moliya
2017年よりベルリン在住。主にグラフィックデザイン、ファインアート、金継ぎの3領域で活動中。幼少からぬいぐるみに親しみ、のみの市に行っては宝探しをしている。

わが家にたくさんあるぬいぐるみのうち、シュタイフのものは5体です。一番のお気に入りは、ベルリンののみの市で見つけたオープンマウスのビーバーのナギー。とぼけたような表情、愛くるしい前歯、体幹の強い立ち姿がポイントです。シュタイフファンの方ならぜひとも訪れてほしいシュタイフミュージアムでは、展示冒頭、よりすぐりのぬいぐるみたちによって短い劇が上演されます。その物語にいたく感動して涙したことは、今も忘れられない思い出です。

守屋さんがコレクションしているシュタイフたち守屋さんがコレクションしているシュタイフたち

シュタイフにしかない魅力、それは歴史と誇りに支えられた品質の高さだと思います。シュタイフは「子どもにこそ本物を」というポリシーのもと、まるで発明品ともいえるほどの、楽しく遊べるデザインを作り出し続けています。口に入れられても振り回されても、その姿を崩すことなく寄り添ってくれる丈夫さはシュタイフならでは。どこまでも手を抜かず、世代を超えて愛され受け継がれるぬいぐるみは唯一無二の存在ではないでしょうか。

何ともいえない表情のビーバーのナギー何ともいえない表情のビーバーのナギー

もっと知りたい人にシュタイフミュージアム

2005年にオープンしたシュタイフミュージアム。ギーンゲンの町外れにあるシュタイフ本社の隣にそびえる円形建物がそうだ。最初にマルガレーテ・シュタイフとシュタイフ社の歩みがストーリー仕立て紹介され、次に歴代シュタイフ製品の展示コーナーへと進む。3階から2階へ降りる蛇の形をした巨大チューブの滑り台は大人にも人気。

製造工程を紹介したミニ工場では、丁寧な作業を見学できる。1階にシュタイフショップがあるほか、レストランやアウトレットも隣接しており、季節ごとにイベントも開かれている。

シュタイフミュージアム

Steiff Museum
Margarete-Steiff-Platz 1, 89537 Giengen an der Brenz
火〜日 10:00-17:00
入場料:10€(一般)
www.steiff.com/de-de/i/steiff-museum

 
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