コーヒー史から最新トレンドまで
ドイツ人の
コーヒー愛の秘密
ドイツは言わずと知れたコーヒー大国。「コーヒーがないと一日が始まらない!」というドイツ人が周りにいる人も少なくないだろう。そんなドイツ人の「コーヒー愛」はどこから来ているのか、ドイツではどんなコーヒーが飲まれているのか、その歴史と秘密を探ってみた。後半では、編集部のあるデュッセルドルフで人気のカフェを大調査。おいしいコーヒーを求める皆さんを、奥深いドイツのコーヒーの世界へとお連れしよう。 (文:ドイツニュースダイジェスト編集部)

ドイツのコーヒーにまつわる10の真実
参考:Tchibo Co f f ee Repor t 2026、Deut scher Kaf f ee v erband e.V.「Kaffeeland Deutschland: 20. „Tag des Kaffees “ – spannende Fakten zum Lieblingsgetränk」、Kaffee Stadt Bremen「Der Wandel der Kaffeehauskultur」、Deutschlandfunk Kultur「Bier statt Kaffee」、HAMBURG Tourismus、HAG-QUARTIER、Melitta、Roast Market「Die Kaffeesteuer – der Import von Kaffee」、Deutschlandfunk「Kaffeepreise: Teure Bohnen」
ドイツ人はビールよりもコーヒーを飲む
ドイツがコーヒー大国と呼ばれる理由の一つが 、その輸入量にある。年間100万トン以上のコーヒー生豆を輸入しており、米国に次ぐ世界第2位の輸入量を誇る。コーヒーチェーン「Tchibo」の2026年調査によれば、18~75歳のコーヒー愛好家が1日に飲むコーヒーの量は平均して3.2杯。また、ドイツコーヒー協会の2025年調査では、ドイツの成人のうち93%がコーヒーを飲み、1人当たり年間163リットルに上る。ビールの年間消費量は1人当たり84リットル(ドイツ醸造協会、2025年)となっており、ドイツ人がいかにコーヒー好きかがうかがえる。

一番人気はフィルターコーヒー
先のTchiboの調査(複数選択可)によると、ドイツで一番好まれているコーヒーはフィルターコーヒー(47%)だった。家庭にある抽出器具を見ると 、コーヒーメーカーを使用する人は43%、ハンドドリップ用器具を使用する人は10%、エスプレッソが楽しめる全自動コーヒーマシンを使用する人は42%だった。また、ドイツコーヒー協会によると、インスタントコーヒーが新たなトレンド。最近では、スペシャルティコーヒーのインスタントや濃縮タイプのアイスコーヒーなどが登場し、コーヒーの10杯に1杯はインスタントだという。

ドイツ初のコーヒーハウスはブレーメン
欧州にコーヒーがもたらされたのは17世紀のこと。17世紀半ばにはコーヒーハウスと呼ばれる喫茶店が各地にできるようになり、人々はそこでコーヒーを飲みながら議論を交わし、時には音楽などの娯楽を楽しんだ。ドイツ初のコーヒーハウスは、ブレーメンの現商工会議所であるシュッティング内にあったといわれる。18世紀に同地を訪れたイングランド人のトーマス・レディアードが旅行記『The German Spy』(1740年)の中で、シュッティング内にあったコーヒーハウスについて触れており、1673年からそこにあったことを書き記している。
現在もブレーメンの中心地に残るシュッティング
プロイセン時代、コーヒーは専売品だった!?
18世紀、コーヒーは高価な輸入品であったため、プロイセン国王フリードリヒ大王は1766年にコーヒー豆の貿易を禁止し、国が専売するようになった。七年戦争後で枯渇した国庫を潤わせるための策だったが、国王は国民にビールを飲むように促し、国内の醸造業を支援しようともした。ところが人々はコーヒー豆をわらの中やスカートの下、さらには死体が入った棺桶などに隠し、あらゆる手段で密輸。一方、国が焙煎所を管轄するようになり、「コーヒー嗅ぎ師」が国民を徹底的に監視したが、結局密輸がなくなることはなかった。
プロイセンは400人のフランス人退役兵士を「コーヒー嗅ぎ師」として雇用。彼らは違法の焙煎コーヒーを探し回り、市民の家に押し入り旅行者の荷物を徹底的に調べ上げたグ
労働者を支えたコーヒースープ
産業化が進んだ19世紀、コーヒーは国民的な飲み物となり、労働者階級も飲めるようになった。しかし彼らが飲んでいたのは、私たちの知るようなコーヒーではなく「コーヒースープ」(Kaffeesuppe)と呼ばれる、今でいう健康食品のようなものだった。パン粉を入れて一日中ぐつぐつと煮込んだコーヒースープは、労働者たちの体を温め、空腹を満たし、眠気を覚ますのに役に立ったという。作り方は濃いめのコーヒーに古いパンを浸し、お好みで砂糖とバターを加えるだけ。勇気のある人は、試してみては?
ハンブルクは欧州最大のコーヒー拠点
ブレーメンに続いて1677年にコーヒーハウスがオープンしたハンブルクは、その後コーヒー貿易によって発展し、19世紀末にピークを迎えた。世界文化遺産にも登録されているシュパイヒャーシュタット(倉庫街)には、ブラジルや中南米からのコーヒー豆が保管され、ハンブルクは今日も欧州最大のコーヒー取引の地であり続けている。また、ドイツコーヒー協会をはじめ、DarbovenやTchiboなどの大手コーヒーブランド、小規模の焙煎所など、50社以上のコーヒー企業がそろう。
ハンブルクのシュパイヒャーシュタット
世界初のカフェインレスコーヒーはドイツで誕生
カフェインレスコーヒーを発明したのは、ブレーメンのコーヒー商人だったルートヴィヒ・ロゼリウス。1902年に父親を亡くした彼は、医師から父の死因は「コーヒーの飲み過ぎ」だと知らされる。それをきっかけに、ロゼリウスはコーヒーからカフェインを取り除く方法を模索し始めた。そして1906年にベンゼンを用いてカフェインを除去する方法を発見し、特許を取得。Kaffee HAGを設立して、ロゼリウスは成功を収めたのだった。しかしベンゼンはその後毒性があることが分かり、今日のカフェインレスコーヒーは別の方法で製造されている。
1911年頃のKaffee HAGの広告。「神経質な人のために」といううたい文句が添えられている
化学者たちと共にカフェインレスコーヒーを発明したロゼリウス
ペーパーフィルターを発明したのはドレスデンの主婦
20世紀初頭、家庭でコーヒーを飲む時は布や金網を使用しており、不衛生だったり粉がカップに入ってしまったりしていた。ドレスデンに住む主婦メリタ・ベンツはもっとおいしいコーヒーを淹れるべく、新たな抽出方法を考案。それは、いくつか穴をあけた真ちゅう製の容器に、息子の学校のノートから切り取った紙を載せてコーヒーを抽出するというものだった。こうして世界初のペーパーフィルターが完成し、1908年に特許を取得すると、夫と二人で自宅に会社を設立。瞬く間にドイツ全土へと広がり、「メリタ」は今日まで知られるコーヒー器具ブランドとなった。ちなみにメリタのフィルターが現在の形になったのは1936年。
1908年に特許を取得したフィルターとメリタ・ベンツの写真
ドイツにはコーヒー税が存在する
ドイツは、欧州でも数少ない「コーヒー税」(Kaffeesteuer)を徴収する国の一つだ。その起源は17世紀にさかのぼり、当時コーヒーの需要が急増したことで輸入関税をかけていたことに始まる。コーヒー税は時代ごとに内容を変えながら、今日は物品税として続いている。現在、焙煎済みのコーヒーをドイツに輸入して消費する場合、製造業者または小売業者は1キロ当たり2.19ユーロ、インスタントコーヒーの場合4.78ユーロを支払う必要がある。ただし、一般消費者で個人利用が目的の場合は、最大10キロまでは免税対象になる。
高くても良質なコーヒーが新たなトレンドに?
昨今の気候変動や不作などの影響を受け、 2021年から2025年の間に焙煎前のコーヒー豆の輸入価格は約150%、焙煎済みのコーヒー豆も約70%値上がりした。それでもドイツでは、2015年と比較してコーヒー輸入量は8%増加している。また、2025年のドイツコーヒー協会の調査によると、国内で販売されているコーヒーのうち、19%は持続可能な方法で生産され、サステナビリティ認証を受けているという。かつてのドイツではコーヒーは安いという認識だったが、最近では少しお金を出してでも質の高いものを飲みたいというのが、消費者の新たなトレンドとなっているようだ。
ドイツは毎月およそ4000万ユ-ロ相当のコーヒー豆をエチオピアから輸入している
買ってきた豆でおうちカフェハンドドリップのおいしい淹れ方
- ドリッパーにペーパーフィルターをセットして、沸かしたお湯で湿らせる。
- 1杯(125ml)につき、7~9グラムの挽いたコーヒー豆をドリッパーに入れる。
- 90~95度のお湯をコーヒー豆全体が湿るように注ぐ。
- コーヒー豆が膨らむまで10秒待つ。
- 残りのお湯を円を描きながらゆっくり注ぐ。
参考:ドイツコーヒー協会
コーヒー豆を買うヒント
家で豆を挽きたい場合は「Ganze Bohnen」(ホールビーン)を、家にコーヒーミルがない場合は「Gemahlener Kaffee」(挽いたコーヒー豆) を購入する。開封後は風味が落ちるため、ホールビーンは4~8週間、挽いたコーヒー豆は2~4週間を目安に使い切る。
バリスタ&編集部スタッフが選ぶデュッセルドルフのおすすめカフェ
2025年にCoffeenessが実施した「コーヒー好きのためのドイツの都市」では、5位にランクインしたデュッセルドルフ。老舗の焙煎所からスタイリッシュなカフェまでそろっているのがいいところだ。そんなデュッセルドルフにある、コーヒー豆を購入できるカフェ30店以上をリストアップ! さらにそのなかから、市内カフェで働くバリスタのおすすめと、カフェ好き編集部スタッフのお気に入りをご紹介する。
※情報は全て2026年9月時点のものです。※アンケート調査にご協力いただいたバリスタの皆様には、この場をお借りしてお礼を申し上げます。
バリスタのおすすめ
2 CØFFE
Benrather Str. 6B, 40213
おすすめポイント:ラテアートがとても上手!
旧市街の市場、カールスプラッツの一角に2017年にオープンしたカフェ。もともと健康食品店だった建物で、レトロな雰囲気と北欧風のモダンなインテリアが調和する。初心者向けのラテアートコースも開講。
3 Orange - Finest Coffee
Benrather Str. 18, 40213
おすすめポイント:シンプルで速く、安定した味
独自のカフェ文化を持つオーストラリアにインスパイアされたカフェ。同国のカフェ文化にならい、質の高いコーヒー、手作りの軽食、個性的なインテリアを取り入れている。ゲーレスハイムと旧市街に店舗がある。
8 Stoak Coffee Roasters
Adersstr. 48, 40215
おすすめポイント:落ち着いた雰囲気とインテリア、おいしいコーヒー
2021年にオープンしたカフェ。ドイツ各地や欧州からコーヒー豆を取り寄せており、行くたびに新しい味に出会える。近々自家焙煎のコーヒー豆も登場予定だ。平日はラップトップOKなのもうれしい。
9 Weird Space Café
Hüttenstr. 76, 40215
おすすめポイント:いい雰囲気のスペース、フードメニューもおすすめ
欧州各地のトップ焙煎所から厳選したスペシャルティコーヒーを日替わりで提供しており、自家製サンドイッチが名物。店内奥にはコワーキングスペースがあり、営業中は予約なしで利用できる。
16 Jaenner Modern Coffee
Ackerstr. 80, 40233
おすすめポイント:おいしいコーヒー、静かな雰囲気とおしゃれなインテリア
ウィーンのコーヒー文化にインスパイアされたスタイリッシュなカフェ。浅煎りを専門とする自家焙煎カフェ「⑰Lightroast Coffee」と共に、双子の兄弟マックス&ポール・ゲーラーが経営する。
19 No Worries
Lindenstr. 142, 40233
おすすめポイント:優れた職人技と設備、フレンドリーな雰囲気
2025年にオープンしたカフェで、世界各地から取り寄せたスペシャルティコーヒーを提供する。豆のほか、オリジナルグッズなども販売。店内ではレコード音楽が楽しめ、週末は外でのんびり過ごす人でいっぱい。
編集部スタッフのおすすめ
4 RVTC Rösterei Vier
Wallstr. 10, 40213
おすすめポイント:ウェブサイトにおすすめの豆を教えてくれるチャートあり!
世界の小規模コーヒー農家とパートナーシップを結び、少数ロットでコーヒーを焙煎する。2023年からはカフェ、焙煎所、コーヒー豆の販売エリア、トレーニングルームなどを備える複合施設になった。
11 BREW Specialty Coffee
Aachener Str. 58, 40223
おすすめポイント:コーヒーのお供にはカルダモンロールを忘れずに
ラトビアの首都リガを拠点とするカフェ「KALVE」のパートナーショップとして、2023年にオープンした。ジャパンディ風な落ち着いた雰囲気のなかで、自家製のスペシャルティコーヒーが楽しめる。
14 Café Hüftgold
Ackerstr. 113, 40233
おすすめポイント:「Opa's Apfel」はリンゴ好きの人にぜひ試してもらいたいケーキ!
フリンガン地区で昔ながらのドイツのケーキが食べられるカフェといえばこちら。オリジナルのコーヒー豆を販売するほか、ケーキのホール注文も受け付けている。店内にはティーカップでできたランプが。
20 Carl Ferdinand Röstfabrik
Düsselthaler Str. 39, 40211
おすすめポイント:倉庫のような広々とした店内が心地いい
19世紀からコーヒー輸入業に従事してきた一家の末裔であるスヴェン・ベッカー氏が、2022年にオープンした自家焙煎カフェ。タコのロゴは、彼の曾祖父が航海中にクラーケンに襲われたという伝説にちなんでいる。
26 SCHVARZ KAFFEE
Ronsdorfer Str. 74, 40233
おすすめポイント:フィルターコーヒー用の「DUS」はデュッセルドルフ土産にもぴったり
市内のカフェやスーパーでも商品を見かける人気の自家焙煎コーヒー。焙煎所を兼ねたカフェは倉庫街の一角にあり、隠れ家的な立地が面白い。地元のデザイナーによるパッケージやカップのデザインがすてき。
28 Die Röstmeister
Quirinstr. 1A, 40545
おすすめポイント:コーヒー豆がリーズナブルで、お試しパックが販売されていることも
鮮度の高いコーヒー豆を焙煎することに情熱を注ぎ、250g パックだけを販売する。サブスクリプションサービスも。オーバーカッセルのベルゼン広場、フリンガン、デーレンドルフ、ツォーに店舗を展開。
コーヒー豆が買えるカフェ31選 in Düsseldorf
「*」マークは、複数店舗あり



インベスト・イン・ババリア
スケッチブック




