
ドイツ料理といえばソーセージ!
いいえ、それだけではありません。
ドイツにはあるのです、言わずと知れた、
個性豊かな美味しい料理の数々が。
今号では、人々に愛されて止まない、
地元の特産物などを生かした
郷土料理をご紹介。
食材の組み合わせや調理法も
参考になるはず。
(編集部: 山口 理恵)
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シュレスヴィヒ=ホルシュタイン
Labskaus
牛・豚挽肉のタルタル目玉焼きのせ塩漬けにした生の牛や豚の挽き肉とビーツやじゃがいも、玉ねぎを混ぜ合わせ、さらに叩いてペースト状にしたタルタルに、目玉焼きを乗せていただく。付け合わせの定番は、ニシンの酢漬けやピクルスなど。ブレーメンの名物料理としても有名で、タルタルの代わりにコンビーフを使う地域もある。
その他の郷土料理
Kieler Sprotten (ニシンのマリネ)
Helgoländer Knieper(茹でイチョウガニ) -
ハンブルク
Finkenwerder Scholle
フィンケンヴェルダー風カレイのムニエル刻んだベーコンとカレイをバターでソテーした魚料理。ハンブルクの東のフィンケルベルダー地域で食べられていたことからその名が付けられた。淡泊な味のカレイに、バターのコクとベーコンの塩味がマッチ。外はカリッと、中はふんわりと焼き上げられる。
その他の郷土料理
Hamburger Aalsuppe(うなぎのスープ)
Stubenküken (ひな鶏のオーブン焼き) -
ブレーメン
Geräucherter Aal
うなぎの燻製北部でよく食べられる、うなぎの燻製。燻製にレモン汁を振りかけてそのまま食べたり、パンに乗せてサンドイッチにしたり、スープに入れて食べる方法も。燻製方法は、内臓を取り、頭から吊るして丸ごと燻す。日本の蒲焼のように脂を落とす調理法ではないため、脂分は多め。
その他の郷土料理
Bremer Labskaus
(コンビーフ&じゃがいものタルタル目玉焼き乗せ) -
ニーダーザクセン
Grünkohl mit Pinkel
ケールの煮込みとピンケルソーセージビタミン豊富な冬の野菜ケール(ちりめんキャベツ)を煮込み、北部でポピュラーなピンケルソーセージとともにいただく。ピンケルソーセージには豚肉や穀物、ラード、玉ねぎなどのミンチがたっぷり入っており、ボリューム満点。「Pinkel」は、フリースラント地方の方言で「小さな指」の意。
その他の郷土料理
Steckrübeneintopf(スウェーデンカブの煮込み) Heidschnuckenrücken mit Wacholderkruste
(ヤギ肉のネズの実ロースト) -
ノルトライン=ヴェストファーレン
Rheinischer Sauerbraten
ライン地方のザウアーブラーテン赤ワインビネガーにリンゴや玉ねぎ、セロリなどを加えた漬け汁に、牛肩肉(鹿肉の場合もある)を数日間漬け込んで蒸し焼きにした肉料理。ほのかな酸味が特徴だ。ソースは、漬け汁に干しぶどうや蜂蜜を加えて甘みを付け、裏ごしして煮詰める。ライン地方では定番の家庭料理。
その他の郷土料理
Pickert(じゃがいも入りパンケーキ)
Linseneintopf(レンズ豆の煮物)
Schlodderkappes
(ざく切りじゃがいもとキャベツの煮物) -
ラインラント=プファルツ
Zwiebelkuchen
玉ねぎケーキケーキといっても甘くなく、パン生地やパイ生地の上に、大量の玉ねぎとベーコン、卵、サワークリームを混ぜたものを乗せて焼いたピザやキッシュのような食べ物。玉ねぎの収穫時期に家庭でよく作られる。これに欠かせないお供は、フェーダーヴァイサー(ワインになる前の発酵途中のアルコール飲料)。
その他の郷土料理
Gefüllte Klöße mit Apfelmus
(じゃがいも団子のリンゴソース添え)
Pfälzer Platte(プファルツ名物の盛り合わせ) -
ザールラント
Dibbelabbes(千切りポテト、玉ねぎ、ソーセージのオーブン焼き)
Löwenzahnsalat(西洋タンポポとベーコンのサラダ)
Plattgeschmezde(じゃがいもと玉ねぎのバター炒め) -
バーデン=ヴュルテンベルク
Dinnete
小型フラムクーヘン、ドイツ風ピザ元々は隣接するフランスのアルザス地方の名物料理。薄く伸ばしたパン生地にサワークリームを塗り、ベーコンや玉ねぎ、チーズを乗せて焼いた軽めのドイツ風ピザ。スナック感覚でいただける。デザート用もあり、シナモンやリンゴの薄切りを乗せたりと、トッピングの種類を選ぶのも楽しい。
その他の郷土料理
Maultaschen
(マウルタッシェ、ドイツ風ラビオリ)
Bodenseefelchen(マスのムニエル) -
シュヴァーベン地方
Käsespätzle
チーズシュペッツレ細長くちぎって茹でたシュペッツレ(パスタに似た卵麺)とすりおろしたチーズを絡めた料理。仕上げに揚げた玉ねぎを添える。チーズは主にベルクケーゼ(アルプスで放牧されている牛のチーズ)やエメンタールチーズを使用。シュペッツレは、シュヴァーベン語で「小さな雀」を意味する。
Schwäbische Maultaschen
シュバーベン風マウルタッシェ正式名称はマウルブロン・タイヒタッシェ。大きなパスタ生地の包みの中にほうれん草や挽肉などの具が入っており、ソースをかけて、またはスープの具としても食される。キリスト教徒が肉食を禁じられている聖金曜日に、どうしても肉が食べたくて思い付いたという料理。
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メクレンブルク=フォアポンメルン
Birnen, Bohnen und Speck
洋ナシ、いんげん、ベーコンの煮物洋ナシが収穫される8~9月に掛けてよく食べられるこの料理は、レストランのメニューにはGrööner HeinやGrönen Heinとも記載されている。洋ナシは青く甘みの少ないものを使用。ベーコンのうま味と洋ナシの酸味が程好く調和した、意外な組み合わせながらも素朴な料理。
その他の郷土料理
Mecklenburger Rippenbraten
(豚スペアリブのオーブン焼き)
Fliederbeersuppe
(黒ニワトコの団子入りスープ) -
ベルリン
Leber Berliner Art mit Äpfeln
ベルリン風仔牛のレバー焼き リンゴ添えビタミンA・Bや鉄分などを豊富に含む栄養価の高いレバー。牛のレバーの塊をじっくりとソテーし、赤ワインソースをかけていただくボリューム満点の1品。付け合わせは、バターでソテーしたリンゴのスライスにマッシュポテト、フライドオニオンなど。
その他の郷土料理
Schnitzel Holstein(シュニッツェル 目玉焼き乗せ)
Kasseler(豚肉の燻製)
Gepökeltes Eisbein mit Erbspüree (塩漬けアイスバイン グリーンピース・ピューレ添え) -
ブランデンブルク
Rollmops
ニシンの甘酢漬けピクルスと玉ねぎのスライスをニシンで巻いて酢漬けにしたオードブル料理。オリーブを入れることもある。巻いたニシンをほどいてパンに乗せる食べ方も。世界的に共通の呼称だが、名前の由来はドイツ語。料理の見た目がパグ犬(Mops)に似ていることからこの名が付いた。
その他の郷土料理
Kalte Gurkensuppe(冷製きゅうりのスープ)
Karpfen(鯉料理) -
ザクセン=アンハルト
Bratkartoffeln aus der Börde
ベールデ風じゃがいも炒めじゃがいもの生産量が多いベールデ地方で、日常に欠かせない料理の1つ。スライスしたじゃがいもと玉ねぎ、茹でたペンネをバターで炒めたシンプルな料理に、味の決め手となるキャラウェイとパプリカパウダーを加える。ベーコンを入れたり、パルメザンチーズをかけて食べることも。
その他の郷土料理
Köthener Schusterpfanne(洋ナシ、豚肉&スライスポテトのオーブン焼き)
Bötel mit Lehm und Stroh
(アイスバイン、グリーンピース・ピューレ&ザワークラウト添え) -
ザクセン
Gekochtes Eisbein
茹でアイスバインソーセージと並び、日本でもお馴染みの代表的な「ドイツ料理」。豚のすね肉を骨付きのまま塩漬けにし、ハーブや香味野菜とともに長時間茹でた料理。皮にはコラーゲンがたっぷり含まれている。マスタードを付けていただくのが主流。付け合わせには、こちらも定番のザワークラウトを。
その他の郷土料理
Sächsische Kartoffelsuppe
(ザクセン風じゃがいもスープ)
Biergulasch(ビール煮込みのグラーシュ)
Leipziger Allerlei
(ライプツィヒ風野菜のごった煮) -
テューリンゲン
Mutzbraten
豚肉の串焼き大きめのブロックに切った豚の肩肉に塩、こしょう、マジョラムをまぶし、串刺しにしてグリルするバーベキュー料理。炭火焼きグリルで焼いたら、マスタードを付けてパンやザワークラウトとともにいただく。肉を黒ビールに漬け込んでからオーブンで焼くという調理法もある。
その他の郷土料理
Thüringer Klöße
(チューリンゲン風じゃがいも団子)
Rostbrätel(豚肉のロースト 玉ねぎソースあえ) -
ヘッセン
Frankfurter Grünesoße
フランクフルトのグリーンソースヨーグルト、サワークリーム、マヨネーズに、刻んだ香草(パセリやクレソン、ディルなど)やニンニク、玉ねぎなどを入れて裏ごしした、さっぱりとした冷製ソース。茹でたじゃがいもや茹で卵に付けていただくのがポピュラーな食べ方。ソテーした魚や肉料理に合わせることも。
その他の郷土料理
Wurstsalat(ソーセージと玉ねぎのマリネ)
Handkäs mit Musik
(発酵チーズと玉ねぎのマリネ) -
フランケン地方
Fränkisches Schäufele
フランケン風豚肩肉のロースト豚の肩肉を刻んだ根菜や玉ねぎ、ビールとともにオーブンで2~3時間、豚肉が黄金色になり、表面がカリッとなるまで焼く。付け合わせは、じゃがいも団子やザワークラウト、赤キャベツなど様々。ショイフェレは南ドイツの方言で「豚肩肉」を意味する。
その他の郷土料理
Gebackener Karpfen(鯉の素揚げ)
Blaue Zipfel
(ソーセージと野菜のワインビネガー煮) -
バイエルン
Schupfnudeln
シュプフヌーデルンシュプフヌーデルンは、南ドイツで人気の高いニョッキのような麺。基本材料は卵、小麦粉、水だが、17世紀にじゃがいもが栽培されるようになってからは、じゃがいもも使われるようになった。グラタンにしたり、ザワークラウト(キャベツの酢漬け)と絡めたり、砂糖をまぶしてデザートにしても美味しい。
その他の郷土料理
Kartoffelschmarrn(じゃがいものパンケーキ)
Münchener Weißwurst
(ミュンヘンの白ソーセージ)
Leberknödel (レバー入りじゃがいも団子)
Kronfleisch(バイエルンのモツ煮)