Hanacell

お口の健康は、身体の健康の原点!
ドイツで始める
正しいオーラルケア

歯医者さん皆さん、歯科医院に通っていますか?恥ずかしながら、社会人になってから「忙しい」を口実に、足が遠のいていた筆者は、宮川先生のコラム「ドイツ歯科事情」を担当し、予防歯科の重要性、虫歯がお財布に与える影響を知り、ようやく重い腰を上げました。取材という大義名分も背負って行ってきました!十数年ぶりの歯医者さん!!そこから次々に発覚する、勘違いだらけのオーラルケアによって、ひそかに蝕まれていた歯の問題。「8020(80歳で自分の歯20本)」は、日々の努力の先にあり。今一度、歯の健康とオーラルケアについて真剣に考えてみましょう。(編集部: 高橋 萌)

ドイツで歯科検診を体験

私は、十数年ぶりに歯科医院の 清潔な待合室にいた。遠くから聞こえる「キーン」という歯を削る音によって高まる緊張感と、特に歯が痛いわけでもないのだけど…… という、わずかな後ろめたさを感じながら。「美しい歯は、あなたの人格を反映する名刺です(Schöne Zähne sind die Visitenkarte einer Persönlichkeit!)」という、歯のホワイトニングと歯列矯正についてのパン フレットの文字が目に入る。

白い歯と笑顔が素敵な歯科医が、「今日は歯科検診をご希望でしたね。当院は初めてとのことですが、最後に歯科医院を訪れたのはいつですか?」と私に尋ねる。なるほど、確かに美しい歯が人に与える印象は、とても良い。

「えーっと、正直に言うとドイツに越してきてからは一度も……。正確には、日本で暮らしていた当時も足が遠のいていたので、数えると10年以上は歯科医院を訪れていないことになります」 と、もごもごと言い訳するみたいに告げる私の顔をまじまじと見つめる歯科医の顔に、もう最初の笑みはなかったように思う。

「それはまた、ずいぶん長い間放置していましたね。いいでしょう。まずは診てみましょう!」気を取り直して、という様子で始まった歯科検診。私の記憶にある日本の歯科検診では、「シ ー、イチ、ニ、バッテン、シャセン、マル……」など歯科医が呪文のような言葉をつぶやいていたが、ドイツの歯科医は、少し言葉少なめだったように思う。ただし、やはりなんらかの記号を操り、素人には判断できない。じっと審判のときを待っていると、「思ったより悪くないですよ。進行中の虫歯はありません。でも、クリーニングが必要ですので、予約をして帰ってくださいね」

良かった!毎日の歯磨きの成果だ!と、試験に受かったような高揚感に浸る私に、「ほかに痛いところ、気になっていることはありますか?」との質問。美容院で「かゆいところはありません か?」と聞かれるのに応えるのと同じくらい気軽な気持ちで、「特にありません。歯ぎしりが癖になっているようで、特に寒い日は頭痛や耳鳴りがしますが、まぁそのくらいです」と私。歯ぎしりは小さい頃からの癖で、家族にうるさいと言われてきたが、こればかりは癖だからしょうがないのだと受け入れていた。

「なるほど」と、医師があごの関節や周辺の筋肉を触診。「かなり筋肉が凝っています。理学療法の紹介状を出しますので、受診してください。歯ぎしりに対しては、マウスピースを作ることをお勧めします」矢継ぎ早に言われ、「治療の必要がありますか?!」と聞き返す私に、「歯ぎしりは、歯やあごだけでなく、全身に負担を掛けるものですよ!」。OK、ここはひとつ、フルコースで体験してみることにした。

  • 歯科検診の自己負担額:合計0ユーロ
  • マウスピース 自己負担額:合計0ユーロ
    後日、型をとって、自分専用の歯ぎしり対策マウスピース「Schiene」を作成。歯ぎしりによる圧力から歯を守る。
  • 理学療法 自己負担額:合計29.50ユーロ
    あご周辺の筋肉、関節のマッサージとセルフケアの指導を6回受けた(各30~1時間)。
デンタルケア

ドイツで歯科クリーニングを体験

再び訪れた歯科医院。前回の検診で虫歯がなかったことに気を良くした私は、心に少しの余裕を持ってクリーニングに臨んだ。

Step1 問診

今回の担当は、歯科衛生士。「最後にクリーニングを行ったのは?」との質問には、やはり決まり悪く「10年ぶりくらい……」と答える。そのとき、歯科衛生士の眼光が鋭く光ったのは、見 間違いではないと思う。「だめですよ。1年に2回は、専門的なクリーニングを受けないと!」

「でも虫歯はないし、毎日の歯磨きはしているもの!」という反論は飲み込み、まずは歯磨きについての問診からスタート。使用している歯ブラシ、その他のオーラルケア・アイテムについて聞かれた。

「電動歯ブラシで、1日2回。歯間ブラシなどは使用していません」。そして、歯の模型を使って、普段の歯磨きの方法を実演しながら説明する。電動歯ブラシは当てるだけ、上下左右に細かく 動かさない。表面だけでなく、裏側も。歯磨きの時間は2分くらい。気をつけるべき点の再確認という意味合いが強かった。

Step2 歯石や汚れの除去

「分かりました。ではきちんと磨けているかどうか見てみましょう」と、本 格的にクリーニングが始まる。まずは、 器具や機械を使って、歯石の除去。これに、想像以上の時間がかかったし、 所々痛かったので、「痛かった……」と つぶやくと、「何年も放っておいたから です」とぴしゃり。歯の着色を落とすエアーフローは塩辛くて驚いた。その後も機械を使って丁寧にクリーニングが進む。歯と歯の間にこんなに隙間があるなんて!と感動するくらい格段にすっきりした。最後に、フッ素コーティング。その後は1時間、水も食べ物も口に入れないように、そして最低でも4時間、できれば丸1日、コーヒーや紅茶、赤ワインなど歯に色が移る食べ物を口にしないよう注意を受けた。

Step3 歯磨き指導

あーすっきり!と笑顔の私に、歯科衛生士は「あなた、このままだと歯周病になるかもしれませんよ」と不吉な通告。歯石が歯茎の中にまで進行していて、歯肉がところどころ炎症を起こしているというのだ。歯間から出血しやすいのもそのため。

原因は、歯の磨き方によるところが 大きく、電動歯ブラシを正しく使えていない、ブラシの当て方がなっていない、歯の間はまったく磨けていない、歯磨きの時間が短過ぎるか、集中していないか……と、ダメ出しの嵐。

確かに、歯磨きしながらPCでメー ルをチェックしたり、本を読んだり、「ながら歯磨き」をしていたことが思い当たる。自分の歯磨きがいかに雑なものであったかを思い知った。歯周病予備軍という診断を前に、「虫歯なし」と喜んでいた気持ちはすっかりしぼみ、真摯に歯科衛生士のアドバイスを受け止めるのだった。

  • 歯科検診の自己負担額:合計95.00ユーロ
  • 今回の歯科検診の結果を受け、自己負担額:総計124.50ユーロ
    虫歯になったら将来の治療費が数百ユーロにも膨れ上がり、自分の歯は一度失ったら戻ってこない。歯と健康を守るため、惜しむべき出費ではないと納得した。

オーラルケア基礎知識

プラークが口内トラブルの引き金に!

プラーク(歯垢)は、汚れと細菌のかたまり。虫歯、歯周病、口臭などのトラブルを引き起こすため、適切なオーラルケアを習慣化してプラークの蓄積を防ごう。虫歯や歯周病は、歯を失う原因No.1!80歳で20本の歯を維持している日本人はたったの25%という統計も。

プラークが溜まりやすい場所

歯ブラシ1本で、歯磨きはならず!

歯ブラシで磨くだけでは、歯の表面積の3~4割の磨き残しがあるといわれている。歯と歯の隙間には、デンタルフロスや歯間ブラシを活用。歯磨きをするタイミングは、食後30分あけてから。1本ずつ磨くイメージでやさしく、丁寧に2分間。強くこすったり、長時間磨いてもダメ。

年に2回は専門家によるクリーニングを!

セルフケアを正しく行うことも大切だが、年に1~2回はプロフェッショナルによるケアを受け、どんなに丁寧に磨いていても取りきれないようなプラークや歯石を除去。歯周病など、口腔内トラブルの早期発見のためにも、定期的に歯科医院に通うことが大切。

お口のトラブルが身体に与える影響を知る!

成人の8割以上が罹っているという報告もある歯周病。怖いのは、糖尿病や動脈硬化、心筋梗塞などの病気を誘発する可能性があるということ。歯ぎしりは、放置すると歯を破壊するだけでなく、頭痛や全身の疲労感、その他のトラブルの原因に。

ドイツで見つけた
オーラルケア・グッズ

日々のセルフケアが、健やかで美しい歯の一番の味方。口の中に入れるものだから、こだわりをもって選びたい。お気に入りのグッズで、毎日のケアがもっと楽しく!

歯ブラシ

歯ブラシについては、「電動歯ブラシvs手動歯ブラシ」と比 較されがちだが、実は正しい磨き方を実践した場合、結果に差はないという(!?)。手磨きに慣れている人が電動歯ブラシに替える場合は、特に磨き方に注意。歯科衛生士から指導を受けることをお勧めする。

  • HYDROPHIL nachhaltige Zahnbürste 歯ブラシ
    地球の水問題に取り組むHYDROPHILの歯ブラシは、プラスチック不使用。環境に配慮した「持続可能性のある」歯ブラシ。歯ブラシの本体の素材は竹。
  • Oral-B - PRO 7000 Smart Series Premium Zahnbürste 電動歯ブラシ
    ドラッグストアで購入できる10ユーロ台のものから200ユーロ台の上位モデルまで様々あるが、Oral-Bの上位モデルはスマートフォンと連動し、磨き方を適切にサポート。

デンタルフロスと歯間ブラシ

日本人は歯ブラシ以外のオーラルケア・グッズへの出費が先進国の 中で少ないようだ。例えばデンタルフロス使用率はスウェーデンが約50%、日本は約20%という報告も。歯ブラシだけでは磨き残しが気になる歯と歯の間こそ、プラークがたまりやすいので、しっかりケアを!

  • Oral-B Pro-Expert Zahnseide デンタルフロス
    こちら、プロが進めるデンタルフロス。ほんのりミントの味がする。約8割の歯科医がデンタルフロスの使用を勧め、ドイツ人の約36%が日常的に使用している。
  • Tepe Interdentalbürsten 歯間ブラシ
    スウェーデンが、予防歯科の専門医と協力して開発するTepeの歯ブラシ。歯間ブラシも歯肉にやさしく、機能的に作られているという。各種サイズあり。

歯磨き剤

美白、虫歯予防、歯周病予防など、様々な機能を持つ歯磨き剤。フッ素(Fluorid)配合の有無に関しては、議論が白熱するところ。近年は、オーガニック製品に対する意識の高い層を中心に、「フッ素なし」を支持する声も多い。迷ったら、歯科衛生士にアドバイスを求めよう。

  • Weleda Sole Zahncreme
    歯磨き剤
    Weledaの「塩」の歯磨き剤。茶色いペースト、泡立ちのなさに驚くかもしれないが、磨き終わった後の爽快感に病みつきになる。
  • parodontax mit Fluorid
    歯磨き剤
    Parodontaxは、ピンクベージュのペーストで、泡立ちは少なめ。植物成分配合で、出血しやすくなっている敏感な歯肉を守る。
  • Biorepair
    Zahncreme

    歯磨き剤
    今回の歯科クリーニングの際に筆者が勧められたのがこちら。ダメージを受けている歯のエナメル質をリペアする。フッ素は不使用。

デンタルリンス

口腔内の洗浄と、歯茎の腫れや出血、口臭を防ぐ効果があると言われるデンタルリンス。ただし、すすぐだけで歯磨きと同じ効果があるわけではないので、正しく歯磨きをした後の仕上げに使用する。歯茎の炎症が気になる場合、歯間ブラシにつけて磨くことも。

  • Dr. Hauschka Med Mundspülung
    Salbei

    デンタルリンス
    Dr. Hauschkaが医師と共同開発したセージ(Salbei)のデンタルリンス。天然素材使用、フッ素は不使用。
  • Logona Logodent Kräuter Mundwasser Konzentrat
    デンタルリンス
    天然成分100%のLogonaのハーバル・デンタルリンスは濃縮タイプ。数滴をコップに垂らして使用する。
  • Listerine Zahn & Zahnfleisch
    Schutz

    デンタルリンス
    「歯周病予備軍」とされた筆者が歯科医に勧められたデンタルリンスは、歯茎と歯を保護するタイプ。

子ども用

小さい頃から正しい歯磨きの習慣を身に付けること、それは一生の財産になる。子どもの成長に合わせて、適切なグッズを選んでケアしたい。電動歯ブラシの使用は3歳以上に推奨されていて、握力の弱い子どもには、電動歯ブラシの方が持ちやすいというメリットも。

  • Milchzahn Dose
    乳歯用の小箱
    乳歯が抜けたら、屋根の上に投げず、ドイツではこのような乳歯用の小箱に大切に保管します。
  • nenedent Kinderzahncreme ohne Fluorid
    子ども用歯磨き粉
    nenedentの歯磨き剤は、まだ口をすすげない子どもが、飲み込んでしまっても大丈夫。
  • Dentinox Gel N Zahnungshilfe
    歯茎に塗る甘いジェル
    歯の生え始めは、歯肉がむずむずして、赤ちゃんもイライラ。そんなとき、歯茎に塗る甘いジェル。
  • JORDAN Babyzahnbürste Step 1
    子ども用歯ブラシ
    2歳までの子ども用歯ブラシ。子どもの手にぴったりおさまるフォームと、小さなヘッドが特徴。

歯科医院で使うドイツ語

歯科医 Zahnartzt
歯科衛生士 Dentalhygieniker
歯科検診 Vorsorgenuntersuchung
専門的な歯科クリーニング Professionelle Zahnreinigung
虫歯 Karies
歯周病 periodontale Krankheit
歯石 Zahnstein
歯ぎしり Knirschen mit den Zähnen
歯茎 Zahnfleisch
歯磨き Zähneputzen
電動歯ブラシ elektrische Zahnbürste
デンタルフロス Zahnseide
デンタルリンス Mundspülung
 
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