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Hautarztpraxis Dr Chen プライベート皮膚科診療院 Dr. チェン
Di. 20. Nov. 2018

持続可能なワイン

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10回にわたり「ワインと食の合わせかた」というテーマで、 古代から現代までのさまざまなワインと食の組み合わせをご紹介しました。参考になることも、ならないこともあったと思います。ワインと食事の組み合わせは、自分の好みとフィーリングがすべてです。好みのワインに出会い、食事時に味わううちに、自然に選べるようになっていくことと思います。

最近ではビオワインがすっかりおなじみとなり、ユーロリーフ・マークが付いたビオワインを選ばれる方もいらっしゃると思います。特に意識していなくても、好みのワインがビオの造り手のものだった、というケースも度々あることでしょう。ビオワインの栽培面積は、過去6年の間に3%増え、全体の8%を占めるまでとなり、さらに増加中です。世界には、認証を取っていなくても、可能な限りビオを実践している醸造所もたくさんあります。近年では、ビオ認証の有無にかかわらず、多くの醸造所が、持続可能なワイン造りを目指すようになっています。ドイツでは、2013年に「Fair and Green」という持続可能なワイン造りを目標とする醸造家団体が誕生しています。

持続可能なワイン造りにおいては、農薬散布量を減らすことが大きな課題の一つです。散布を減らすことができれば、畑にトラクターを入れる回数が減り、CO2排出量も減ります。土壌も生きかえり、農薬を散布する人の健康も守れるほか、農薬も労力も少なくて済むためコストの削減にもなります。栽培が困難で人手が足りない急傾斜の畑を維持することも可能です。

農薬投入量を大幅に減らすことができるのがピーヴィー品種*です。ピーヴィー品種は、2012年の記事でご紹介したように(926号)、ブドウの大敵である複数のカビ菌に耐性があり、場合によっては農薬散布量を80%まで減らすことができる新交配品種です。条件が良い年であれば、いずれかのカビ菌に対する農薬がゼロで済む場合もあります。

ピーヴィー品種は、カビ菌に耐性のある米国品種やアジア品種とヨーロッパ品種の交配によって生まれます。品種改良が進むにつれ、より現代人の嗜好に合う味わいのものが登場しています。ドイツの複数のワイン研究所では、抵抗力が強く、しかも美味しいワインができる品種を生み出そうとしているのです。

2012年当時、ピーヴィー品種のワインといえば、赤のレゲント、白のヨハニーター、ブロナーに時々出会うくらいでしたが、現在では品種も多様になり、味わいも良くなっています。レゲントを生んだユリウス・キューン研究所からは、白のカラルディス・ブランやカラルディス・ムスクなどが、 ヨハニーターとブロナーを生んだフライブルク・ワイン研究所からは、白のソヴィニエ・グリとムスカリス、赤のモナルヒなどが登場しています。

数年前から、人気が上昇しているのが白品種のカベルネ・ブランです。ネーミングも良く、栽培醸造所は着々と増えています。カベルネ・ブランを生んだスイスの育種家、ヴァレンティン・ブラットナーは、ほかにも赤のピノティン、カベルティン、ラウロなどを生み出しています。ドイツではファルツの苗木業者のフォルカー・フライタークが ブラットナーの交配品種の普及につとめています。

*PiWi=Pilzwiderstandsfähige Rebsorten

 
Weingut Abthof
アプトホーフ醸造所(ラインヘッセン)

Weingut Abthof
左からマーティン&アリーナ夫妻、マーティンの妹の
チェチーリエさん、シャルロッテ&ヘルベルト夫妻

ハーンハイムの家族経営の醸造所。かつて苗木業者でもあった父ヘルベルト・コッホとガイゼンハイム大学とウディーネ大学で醸造学を修めた息子マーティンが、家族と共同でワイン造りに取り組む。中世にはシトー会修道院の所有だった石灰質土壌の畑で、リースリングなどの伝統品種を栽培するほか、ピーヴィー品種に力を入れている。コッホ父子が選択したのは白のソラリス、ムスカリス、ソヴィニエ・グリ、赤のモナルヒの4種類。いずれの品種からも上質のワインを生み出し、高く評価されている。所有畑16ヘクタールのうちピーヴィー品種の割合は20%に及ぶ。進歩的な醸造所だが、伝統を重んじ、失われつつある固有品種ゲルバー・オルレアンを新たに栽培し始めている。ミサ用ワインの公式生産者でもある。

Weingut Abthof
Bahnhofstr. 27
55278 Hahnheim
Tel. 06737-380
www.weingut-abthof.de


Schäferlay2017 Auftakt Souvignier Gris trocken
2017年産 アウフタクト、
ソヴィニエ・グリ、辛口 7.50€

コッホ父子は10年以上前からピーヴィー種を栽培しているが、初ヴィンテージは2015年。納得のいくワインができるようになってからリリースし始めたのだという。「アウフタクト」はアプトホーフ醸造所のピーヴィー品種の新ブランドで「はじまり」を意味する。ソヴィニエ・グリはフライブルク・ワイン研究所で誕生したセイヴァル・ブラン(米国品種とのハイブリッド)とツェーリンガーの交配種。爽快なアロマ、グラウブルグンダーのようなふくよかさを持つ。サラダなど野菜主体の前菜やチーズと特に相性が良い。

 
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岩本順子(いわもとじゅんこ) 翻訳者、ライター。ハンブルク在住。ドイツとブラジルを往復しながら、主に両国の食生活、ワイン造り、生活習慣などを取材中。著書に「おいしいワインが出来た!」(講談社文庫)、「ドイツワイン、偉大なる造り手たちの肖像」(新宿書房)他。www.junkoiwamoto.com
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