ドイツワインと聞くと、ほとんどの方が白ワインを連想されるのではないかと思います。確かにドイツは昔から主に白ワインの産地で、1970年の時点では白ぶどうの栽培面積がワイン用のぶどう畑全体の85%を占めていました。ところが、近年では赤ワインの生産量が増え、白の栽培面積は全体の65%にまで減少しました。
ドイツは、世界市場においてもトップクラスの白ワインを生み出すことができる伝統品種リースリングの故郷で、その栽培面積は白ぶどうの中で最大です。リースリングは晩熟で、ドイツのような寒冷な地域(EUワイン法上の気候区分でAゾーン。ただしバーデン地方のみ、より温暖なBゾーンに分類される)でゆっくりと育つことにより、その美味しさを開花させると言われます。また、リースリングはテロワール(土壌)の特徴を実によく反映する白品種とも言われています。
それに次いで多く栽培されている白品種がミュラー=トゥルガウ(別称リヴァーナー)、シルヴァーナー、そしてケルナーです。いずれもドイツ特有の品種で、爽やかな飲み口のワインに仕上ります。リースリングを含めた以上の4品種は、リープフラウミルヒと呼ばれるドイツの大衆ワインの構成品種ですが、単独でもその美味しさを発揮します。中でも東欧にルーツがあるシルヴァーナー種はここ数年、人気が再燃しています。
これらに続く品種が、グラウブルグンダー(旧名ルーレンダー、フランス語名ピノ・グリ)、ヴァイスブルグンダー(フランス語名ピノ・ブラン)など、ブルゴーニュがルーツのいわゆる「ブルグンダー種」。ブルグンダー種では、ほかにもシャルドネ、オクセロワ(同名の赤もあるが別品種)の栽培も増えています。フランス系のソーヴィニヨン・ブランも人気上昇中で、高品質のワインが生産されています。また小アジアがルーツの香り高いムスカテラや、南欧がルーツと言われるゲヴュルツトラミーナの生産量も増加傾向にあります。
その一方で、軒並み減少傾向にあるのがドイツ品種を主とする交配(ハイブリッド)により生まれたバッフス、ショイレーベ、ファーバーレーベ、オルテガ、フクセルレーベ、モリオ=ムスカートなどの品種。ミュラー=トゥルガウとケルナーも交配品種で、両者の生産量も徐々に減っています。
栽培品種の傾向を見ると、伝統品種がより好まれ、交配品種はどんどん淘汰されつつあることがわかります。これは、造り手および飲み手の伝統への回帰、本物志向の現れかもしれません。しかし交配品種にも優れたものがあり、例えばショイレーベなどから偉大なワインを生み出す生産者もいます。また、無農薬、低農薬栽培が可能な新しい交配品種も誕生しており、いずれはその中から頭角を現してくるものあるかもしれません。
参考: リースリング・イタリコと呼ばれる白品種がありますが、これはドイツ語ではヴェルシリースリングと言い、ドイツのリースリングとは別の品種。オーストリア、ハンガリーで主に栽培されています。
(ラインガウ地方)

ラインガウ地方、エストリッヒの伝統ある家族経営の醸造所。現在のオーナー、ペーター=ヤコブ・キューンは11代目。15ヘクタールのぶどう畑ではリースリング(約83%)とシュペートブルグンダー(約17%)が栽培されている。キューン氏はビオへの深い関心から、ビオディナミ(シュタイナー農法)の手法を取り入れているほか、垣根を低くし、地熱を活用したり、自然酵母による発酵を行うなど、自然の力を最大限に活かすワイン造りを行っており、世界的にも高く評価されている。
Mühlstr. 70, 65375 Oestrich
Tel. 06723-2299
www.weingutpjkuehn.de
2007 Landgeflecht Riesling Qualitätswein, trocken
2007年産 ラントゲフレヒト・リースリング、トロッケン(辛口)18,60€












