ドイツにおけるぶどう畑の格付けシステムは、まだ産声を上げたばかりです。現在、法的に認可されているのは13生産地方のうちの1地方、ラインガウ地方の格付けだけで、ここではエアステス・ゲヴェックス(Erstes Gewächs)と言われます。格付けされた畑は40ほどで、ラインガウ地方のぶどう畑の約3分の1に相当します。
その他の12地方でも、公式に認可されてはいないものの、格付け作業はほぼ完了しています。長年にわたってその作業を行ってきたのは、VDP(ドイツ高品質ワイン生産者連盟)という100年の伝統を持つ民間団体。会員となっている醸造所は、およそ200ほどです。
VDPのシステムは3段階となっています。まず、グーツワイン(Gutswein)と呼ばれる畑名を表記しないベーシックなワインがあり、続いてオルツワイン(Or tswein)と呼ばれる伝統ある畑のワインがあります。そして最高峰に位置づけられているのが、エアステ・ラーゲ(Erste Lage/第1級の畑)と呼ばれる格付けされた畑で、長年にわたって偉大なワインを生み出してきた、恵まれたテロワールの畑が対象となっています。ドイツでは、最も小さなぶどう畑の単位を単一畑(Einzellage)と言い、ドイツ全体で2600ほどありますが、VDPがエアステ・ラーゲとして格付けしているのは、そのうちのおよそ1割です。また、格付けされているのは各々の単一畑のうちのVDP会員が所有する部分に限定されています。
エアステ・ラーゲのワインは、 格付けされた畑のぶどうが使用されているだけでなく、ぶどうがそれぞれの地方の規定品種であること、手摘み収穫であること、収穫量が規定量以下であることなど、様々な厳しい条件をクリアしなければなりません。それは、優れたテロワールと造り手の丁寧な手仕事が一体となって生まれるワインなのです。
エアステ・ラーゲに指定された畑で造られるワインで、条件を満たした「辛口ワイン」はグローセス・ゲヴェックス(Großes Gewächs)と呼ばれます。ラインガウ地方で、エアステス・ゲヴェックスと言われているものは、これと同等です。一方、ドイツには優れた「甘口ワイン」がありますが、それには従来のカビネットからトロッケンベーレンアウスレーゼまでの肩書きが使われています。エアステ・ラーゲのワインには一目でそれと分かるよう、ボトルやラベルに数字の1とぶどうの房を模したシンボルマークが付いています。
飲み手にとってエアステ・ラーゲという「ブランド」は、ワインを購入する際の1つの目安になります。とはいえ、VDP非会員の醸造所がエアステ・ラーゲと同一の畑を所有し、エアステ・ラーゲとは言えないものの、高品質のワインを生産しているケースはいくつもあり、そのようなワインを発掘するのも楽しいものです。
非常に複雑ではありますが、エアステス・ゲヴェックス、グローセス・ゲヴェックス、あるいはエアステ・ラーゲという言葉を聞いたら、それが公式、あるいは非公式に格付けされている畑のことなのだ、と覚えておけば良いでしょう。格付けされた畑のワインは高価ですが、特別な日には、ぜひドイツ・ワインの最高峰を楽しんでみてください。
(ミッテルライン地方)

写真)©Weingut Toni Jost
ミッテルラインの家族経営の醸造所。オーナーのペーター・ヨーストは、醸造所を継いだ1970年代半ばから現在に至るまでその名声を保ち続けている。リースリング(8割)とシュペートブルグンダーを中心とする、ドイツ・ワインの王道をゆく品種構成。VDPがエアステ・ラーゲに指定しているデボン紀のスレート岩土壌の畑「バッハラッハー・ハーン」を所有し、ライン川に面するこの急斜面の畑からは、グローセス・ゲヴェックス(辛口)のほか、カビネットから貴腐ワインに至る数々の偉大なリースリングを生み出している。
Weingut Toni Jost
Oberstr. 14, 55422 Bacharach
Tel.06743-1216
www.tonijost.de
2007 Bacharacher Riesling Spätlese feinherb
2007年産バッハラッハー・リースリング、シュペートレーゼ(ファインヘルプ)
9,80€












