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ロンドンのゲストハウス
Mo. 14. Okt. 2019

ドイツワインの歴史を少しだけ: 戦後から現代へ

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2つの世界大戦によってドイツのワイン産業は大きな痛手を受けましたが、1950~80年代にかけて復興期、発展期を迎え、90年代にはぶどう畑の総面積も、再び20世紀初頭並みの10万ヘクタールに回復しました。

発展理由の1つは収穫量の増加です。20世紀初頭の収穫量は1ヘクタール当たり20ヘクトリットル程度で、これが当時の平均収穫量でした。それが50年代には40ヘクトリットルに倍増、80年代に入ると100ヘクトリットルを超え始め、収穫量の多いクローンがどんどん作付けされました。当時はとにかく量産することが重視されたのです。

50年代には畑の区画整理も始まり、ぶどう畑の構造改革が起こりました。畑作業の合理化に従ってテラス式の畑をならし、トラクターが入りやすい道路が作られ、非常に細かく区分されていた単一畑がすっきりとまとめられ、71年には新たな畑のリストが出来上がりました。小さな畑がまとまったことで、 同種のワインが一定量を確保できるようになり、ワインの平均的な品質が向上しました。しかし区画整理によって古木が大量に植え替えられてしまったため、90年代前半には樹齢20年以上のぶどうの栽培面積が18%にまで落ち込みました。

また、ドイツワインの多くは80年代頃まで甘口が主流で、一時はソフトドリンク感覚で楽しめる「リープフラウミルヒ」がドイツの輸出ワインの60%を占めていました。しかし90年代以降、甘口ワインの生産は減り、かつてのリープフラウミルヒは各地域のクヴァリテーツヴァインとして輸出されるようになりました。

90年代といえば、気候の変化も手伝ってシャルドネやソーヴィニヨン・ブラン、ヴィオニエ、メルロ、シラー、カベルネ・ソーヴィニヨンなどのフランス品種が、一部の醸造所で試験的に栽培され始めた時期です。そして、ちょうどこの頃から戦後の大量生産、画一化、合理化といった動きをすべて逆戻しにする潮流が生まれてきました。例えば、今日では高品質のワインを生産するため、造り手は収穫量を厳しく制限しています。また、ひとまとめにされてしまった単一畑を個々の醸造所が再び土壌の性質に従って自主的に区分し、異なるワインとして醸造するという動きも見られます。名前が失われてしまった過去の単一畑を復活させようとしているのです。

80年代から本格的に始まったビオワイン生産も、現在注目を浴びているビオディナミ農法も、新時代の潮流です。造り手たちは産業化、工業化時代以前の伝統的でナチュラルなワイン造りに新しい形でアプローチしようとしているのです。

目下熱いテーマとなっているのが畑の格付けです。ラインガウ地方では、99年のヴィンテージからエアステス・ゲヴェックスの格付けがスタートしましたが、これはガイゼンハイムの研究所や気象庁が長年共同で行ってきた調査を基本としています。このほか、VDP(ドイツ・プレディカーツワイン生産者協会)がドイツ全土の会員醸造所の畑の格付けを行っています。また、2012年からは、原産地呼称制度も導入されています。

Weingut Spreitzer シュプライツァー醸造所 (ラインガウ地方)

シュプライツァー醸造所
写真: ©Weingut Spreitzer

ラインガウ地方のエストリッヒで、17世紀半ばからワイン造りに携わっているという伝統ある家族経営の醸造所。ぶどう畑は全部で17ヘクタールで、うち栽培品種はリースリングが97%を占めている。1997年からはアンドレアス・シュプライツァー、ベルント・シュプライツァー兄弟による共同経営。18世紀半ばに造られたセラーには、ワインの発酵、熟成にとって理想的な環境が整っている。シュプライツァー兄弟のワイン造りのキーワードは「自然に近いワイン」。プレディカーツワインはすべて手摘みで、理想的に熟したぶどうは破砕せずに圧搾しているという。その後、しっかりと清澄された果汁は木樽あるいはステンレスタンク内で発酵に導かれ、輝きのある味わいを醸し出している。

Weingut Spreitzer
Rheingaustraße 86, 65375 Oestrich
Tel. 06723-2625
www.weingut-spreitzer.de


2009 Oestricher Lenchen "Rosengarten" Erstes Gewächs
2009年産リースリング
エストリッヒャー・レンヒェン エアステス・ゲヴェックス(辛口)

19.50€

2008 IDIG シュプライツァー醸造所が所有する特級畑(ラインガウ地方ではエアステス・ゲヴェックスと呼ばれる)の1つ、レンヒェンのリースリング。 レンヒェンはレス土、粘土、マール(泥灰岩)が混在している土壌で、 かつてはアイザーベルク、ヘレ、ローゼンガルテンなど、いくつもの小さな畑に区分されていたという。このエアステス・ゲヴェックスは、かつてローゼンガルテンという名前だった、部分的に石壁で囲まれた畑のぶどうから造られている。ただ、エティケット(ラベル)にはまだローゼンガルテンと表記することができない。瑞々しいリンゴの香りとすっきりした味わいが魅力的。ハーバル系のエッセンスが香ばしいハッテンハイマー・ヴィッセルブルンネンのリースリングもお勧めだ。

 

 
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岩本順子(いわもとじゅんこ) 翻訳者、ライター。ハンブルク在住。ドイツとブラジルを往復しながら、主に両国の食生活、ワイン造り、生活習慣などを取材中。著書に「おいしいワインが出来た!」(講談社文庫)、「ドイツワイン、偉大なる造り手たちの肖像」(新宿書房)他。www.junkoiwamoto.com
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