ジャパンダイジェスト

ビオワインの世界 6 ecovin(エコヴィン)

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1985年にラインヘッセン、プファルツ、モーゼル、バーデン地方の計35のビオ醸造所が結集して設立した連邦エコロジカル・ワインぶどう栽培連盟(Bundesverband ökologischer Weinbaue.V.)がエコヴィンの前身です。1990年に団体名をエコヴィンに変更し、商標権を得ました。

エコヴィンは、ドイツで唯一ワインに特化したビオ生産者の団体で、本部はビオワインの中心地、ラインヘッセン地方のオッペンハイムにあります。ドイツにある13のワイン生産地域のうち、11地域に支部があり、現在、会員醸造所数は222、ぶどう畑の総面積は約1600ヘクタールに及びます。ワイン醸造家団体であるがゆえに、そのビオ基準は設立当初から、ぶどうの栽培法のみならず、醸造方法、そしてパッケージにおいても、きめ細かく定められていました。2012年産から適用されている欧州連合(EU)のビオワイン醸造に関する規定は、エコヴィンが長年にわたり実践してきた基準の多くを、そのまま採用しています。

エコヴィンの活動は多岐に渡り、例えば団体内でのワインコンテスト「エコヴィナー(Ecowinner)」を毎年実施しています。今年は77醸造所の423品のワインがエントリー。17のカテゴリで最優秀ワインが選ばれ、消費者がエコヴィン・ワインを選ぶ際の指標となっています。エコヴィンもほかの団体と同様、化学合成農薬や化学肥料の投入を禁じ、ぶどう畑の緑化を義務付けてビオトープの活性化を推奨しています。その際、できるだけ多様な植物で緑化し、成長した下草はなるべく刈り取らずにローラーで軽く折って土壌を覆い、昆虫などが生息しやすいよう配慮します。畑に「昆虫ホテル(Insektenhotel)」を設置している会員醸造所もあります。このほか、レゲントやフェニックスなど、農薬散布量を大幅に減らせるピーヴィ(PiWi)種の栽培を勧めています。

また、廃棄物を減らすため、できるだけカプセルの使用を避け、梱包用の発泡スチロールやビニルテープの使用を禁じています。さらに、プファルツやバーデン地方のオークを使用した樽を積極的に採用して植林が促されるよう努めたり、スペインやポルトガルのコルクの森が失われないよう、できるだけコルク栓を使用するなど、広域における環境保護に注力しています。

2010年からは、ビオディナミ団体のデメターと提携していますが、エコヴィン会員には、以前からビオディナミ農法を取り入れている醸造所も多く、中にはエコヴィンとデメターの両団体に加盟している醸造所もあります。エコヴィンはビオワイン造りの最前線を行く専門家集団と言えるでしょう。

「ecovin」基準例 ※カッコ〈〉内はEUビオ基準

● 会員は、所有するすべての畑において「ecovin」基準に従って栽培しなければならない。〈畑の一部でビオの実践が可能〉

● ボルドー液用硫酸銅の上限は年間3kg/haまで。〈年間6kg/ha〉

● ワインに添加する亜硫酸量(一例)は、辛口白・ロゼワインで150mg/L、 辛口赤ワインで100mg/L(いずれも残糖分2g/L以下の場合)。〈同一〉

ecovin: www.ecovin.de

 
Römerkelter
レーマーケルター醸造所(モーゼル地方)

ハイナー・ザウアー 一家
ディーンハルト父子

モーゼル川中流のマーリング=ノヴィアントにある家族経営のビオ醸造所。 オーナーのティモ・ディーンハルトは2005年に両親の醸造所を継ぎ、父ハンスと共に高品質のワイン造りに取り組んでいる。醸造所名は1980年代にモーゼル地方で発掘されたローマ時代のぶどう圧搾場に因んでいる。父の代から除草剤の使用を止めて畑を緑化するなど、ビオ農法に取り組み始め、1995年よりエコヴィンの会員に。ティモはビオディナミ農法を実践しており、エコヴィンの会員にとっては、この農法はスタンダードとなりつつあると言う。現在、レーマーケルター、ティモ・ディーンハルト、エディション・ビー(editionbee)の3つのブランドを展開。ピーヴィ種のレゲント、カベルネ・ブランからも高品質のワインを生み出している。

Römerkelter, Familie Dienhart
In der Duhr 6, 54484 Maring-Noviand
Tel. 06535-430
www.roemerkelter.de
www.edition-bee.de


2012 edition bee Kräuterwingert Riesling trocken
2012年 エディション・ビー クロイター
ヴィンガート リースリング(辛口) 9.80€

ワインエディション・ビーは、ティモ・ディーンハルトとワイン愛 好家でグラフィックデザイン事務所を経営する友人アンドレアス・トランが共同で生み出したブランド。2人が愛してやまないスレート岩の傾斜畑ホーニッヒベルク(Honigberg)で栽培されているリースリングを中心に、5種類のワインを展開。環境、そしてミツバチを守りたいとの願いから「ビー」という名称にした。ワインはすべて自然酵母による醗酵。クロイターヴィンガートは、オレンジやハーブの風味が際立つ瑞々しいワイン。ビー・シリーズにはこのほか、ベーシックなビートル(beetle)、ほのかな残糖がやさしいブラウシーファー(Blauschiefer、樹齢25年)、トップクラスの辛口クロイツライ(Kreuzlay、樹齢35年)、残糖のあるファルケンボルン(Falkenborn、樹齢38年)がある。これら5本に、モーゼル・リースリングの様々な表情と魅力が存分に表現されている。

 
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岩本順子(いわもとじゅんこ) 翻訳者、ライター。ハンブルク在住。ドイツとブラジルを往復しながら、主に両国の食生活、ワイン造り、生活習慣などを取材中。著書に「おいしいワインが出来た!」(講談社文庫)、「ドイツワイン、偉大なる造り手たちの肖像」(新宿書房)他。www.junkoiwamoto.com
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