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国際ワインコンクール

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店頭で手にしたワインに、金賞や銀賞受賞を表示するシールが貼ってあることがあります。そのワインは、いったいどのようなコンクールをくぐり抜けてきたのでしょうか。今回は、ドイツで開催されているワインコンクールをご紹介します。

ドイツでは毎年、2つの国際ワインコンクールが開催されています。ノイシュタットで行われるMundus Vini(ムンドゥス・ヴィニ)とベルリンのBerliner Wein Trophy(ベルリナー・ワイン・トロフィー)です。いずれも、生産者と取扱業者が自主的に参加する形態で、参加費が掛かります。

今年で創設14年目を迎えたムンドゥス・ヴィニの場合、創設時のエントリー本数は約2000本でしたが、現在では6000本を超えています。国別エントリー数は、トップがイタリア、2位がドイツ、3位がスペイン、続いてフランス、ポルトガル、オーストラリア、オーストリア、チリ、南アフリカの順となっています。エントリー国は40カ国を超え、ここ数年、本数こそ少ないものの、タイや中国、インド、台湾などアジア各国も参加し始めています。

審査は1年に2度、約45カ国から総勢約220人のテイスターが集まり、計6、7日間にわたって行われます。テイスターの内訳は醸造家やコンサルタント、大学関係者、ソムリエ、ジャーナリストなどで、6、7人の小グループに分かれ、1グループで1日当たり60本程度をブラインド・テイスティングします。採点法は各コンクールによって多少異なりますが、その多くがムンドゥス・ヴィニのように、OIV(国際ぶどう・ワイン機構)の基準に従い、100点法を採用しています。採点の際は視覚、嗅覚、そして味覚の様々な要素を評価します。 合計点数により、グランドゴールド (Großes Gold、95点以上)、ゴールド(90点以上)、シルバー(85点以上)の3つの賞が授与され、受賞ワインにはシールを貼って販売することができます。2013年の場合はエントリーした約6212本のうち、グランドゴールド受賞が30本、ゴールドが1142本、シルバーが1601本。受賞ワインは全体の約45%でした。ムンドゥス・ヴィニは、2010年からビオワインのコンクール(Mundus Vini Biofach)も開催しています。

ワインコンクールの形態には、ムンドゥス・ヴィニのように企業が出版社と共同で行うもの、ワイン見本市が主催するもの、雑誌が実施するもの(英国のDecanter誌など)、利益団体(醸造家団体など)やワイン関連の研究所が行うものなどがあります。筆者の知る限り、エントリー数が最も多いのは、Decanter誌のワイン・ワールド・アワード(DWWA)で約1万4000本、英国のインターナショナル・ワイン・チャレンジ(IWC、William Reed Business Media社主催。日本酒部門もある)は約1万2000本、ブリュッセル国際ワインコンクールが約8000本です。

日本にも、アジア最大規模の国際ワインコンクール「ジャパン・ワイン・チャレンジ」や、今年創設された、日本女性だけが審査を行う「サクラアワード」があります。

Mundus Vini入賞ワイン
www.meiningers-weinsuche.com/de/mundus-vini-2014
Berliner Wein Trophy入賞ワイン
www.dwm.de/index.php?id=234&L=2%27

 
Eva Fricke
エファ・フリッケ(ラインガウ地方)

エファ・フリッケ エファ・フリッケはブレーメン出身。ガイゼンハイム大学でぶどう栽培・ワイン醸造を学び、イタリア、スペイン、オーストラリアなどで修業、ラインガウ地方のJ.B.ベッカー醸造所勤務を経てヨーゼフ・ライツ醸造所で醸造責任者として活躍した。ライツ醸造所に勤務していた2004年に独立を決意。06年に同醸造所での仕事と並行してキードリッヒに個人醸造所を立ち上げ、初ヴィンテージをリリース。所有畑0.24ヘクタール、生産量600リットルからのスタートだった。11年8月にライツ醸造所を退職し、9月からは完全に独立。現在の所有畑は6ヘクタール。栽培品種はリースリングと少量のジルヴァーナー。畑のほとんどがロルヒの急斜面にある。リューデスハイムの北側に位置するロルヒは近年注目を浴び始めている地区。中には樹齢60年のリースリングもあり、風化粘板岩や珪岩土壌の特性を生かしたワインが造られている。ロルヒのクローネとシュロスベルクは単独で醸造されるトップワイン。ロルヒハウゼンのゼーリッヒマッハーはセカンドワインという位置付けだ。このほか、ロルヒとキードリッヒそれぞれの村名ワインも生産している。約70%を輸出、残りはレストランと専門店に卸し、ワイン造りに専念している。

Suttonstraße 14, 65399 Kiedrich
Tel. 06123-703658
www.evafricke.com


2012 Rheingau Riesling QbA trocken
2012年 ラインガウ・リースリング(辛口)
9.00€(2012年産は完売)

ラインガウ・リースリング(辛口)ロルヒ、リューデスハイム、そしてキードリッヒで栽培されたリースリングのブレンド。エファが生産するワインの中で、最もベーシックな「グーツワイン」(エステートワイン)。日々の食卓で楽しめる軽快なワインだ。2009年から生産しているもので、農家から購入したぶどうや果汁から造っている。購入先の農家がビオに移行しつつあり、13年産では30%がビオのぶどうだという。エステートワインは醸造所のメッセージが聞こえるワイン。エファのこのワインは、ラインガウ特有の砂状のレス土、粘土、陶土、スレート、珪岩などで育ったぶどうのハーモニーが楽しめる。熟れたリンゴやモモなどの果実のアロマに溢れ、爽快な酸味とのバランスも良い、すっきりとした辛口。優しい味わいの中に秘めた力強さを感じる。目下、エファは着々とビオディナミ実践の準備を進めている。醸造所設立当初から、除草剤、殺虫剤は一切投入せず、ラインガウ・ワイン醸造家連盟のエコロジーワイン規定に従って醸造している。

 
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岩本順子(いわもとじゅんこ) 翻訳者、ライター。ハンブルク在住。ドイツとブラジルを往復しながら、主に両国の食生活、ワイン造り、生活習慣などを取材中。著書に「おいしいワインが出来た!」(講談社文庫)、「ドイツワイン、偉大なる造り手たちの肖像」(新宿書房)他。www.junkoiwamoto.com
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