Hanacell

NSU裁判でトルコ系メディアの傍聴席確保
憲法裁、開廷は5月に延期

10年以上に及ぶ連続殺人事件の実行犯とされる極右テロ組織、国家社会主義地下組織(NSU)のメンバー、ベアーテ・チェーペ被告の裁判をめぐり、トルコ系メディアが傍聴席を確保できないことに対して、トルコのSabah紙がドイツの連邦憲法裁判所に不服を申し立てていた件で、憲法裁は12日、訴えを部分的に認め、「事件の被害者に関わりのある国のメディアに適切な数の傍聴席を与えるべき」との判断を下した。これを受けて裁判は3週間延期され、5月6日に開廷されることになった。

NSUによる外国系市民連続殺人事件では、被害者10人のうち8人がトルコ系だったにもかかわらず、50ある報道陣席の中にトルコ系メディアのための傍聴席が1席も確保されていないとして、Sabah紙が訴えを起こしていた。 

NSU裁判の傍聴席問題をめぐっては、左派党、緑の党、社会民主党(SPD)のトルコ系議員らが中心となって、連邦議会内で55人の議員がアピールを採択。「メディアの関心に対応できる法廷環境を用意すべき」とのコメントを発表した。このアピールには、シュミット元保健相(SPD)も賛同。「人種差別による犯罪の裁判で、外国メディア、特にトルコ系メディアが締め出されているという印象を与えることは致命的だ」との見解を述べた。対応策としては、裁判の様子を配信し、映像を通して傍聴できる別室を用意することも提案されている。

一方で、ヘッセン州を中心に、全国の刑務所で服役する極右受刑者を支援するネットワークの存在が発覚。その目的は、極右犯罪を犯した受刑者に対し、収監中および出所後の財政支援を行うというもので、極右思想の教育や普及なども行なっており、2011年に発覚した同様の組織は連邦内務相から活動禁止命令を受けている。同組織には、1990年代にNSUのメンバーも関わっていたという。

また、チェーペ被告が収監後に新たな極右組織に加入していた可能性も浮上。ヘッセン州カッセルのネオナチ組織代表のベルント・Tが収監中のチェーペ被告に接触し、新たな極右組織「AD(アーリア人種保護連盟)」への参加を呼び掛けていたという。Tは極右組織「シュトルム18」の創設者で、ホームレス殺害の前科を持つ。

 

独政府、人身売買対策に遅れ
EU基準を遵守できず

連邦政府が、欧州連合(EU)の定める人身売買に対する具体策を順守できていないことが明らかになった。5日付のヴェルト紙が報じた。EU域内では年間10万人が強制的に連れ去られ、うち4人に3人は未成年者を含む女性で、売春を強要されているという。被害者が加害者からの報復を恐れるため、裁判に至るケースは少ないという。

これを受けてEUは、人身売買に関する具体的な対策を各政府に要求。加害者に対する厳罰を求めるなど被害者の保護を訴えているが、ロイトホイサー=シュナーレンベルガー法相(自由民主党=FDP)は、「必要なのは法改正ではなく、警察側の対応」との見解を示している。

 

ハノーファー検察がヴルフ前大統領を在宅起訴
罰金刑を受け入れず、法廷へ

ハノーファー検察は12日、汚職疑惑で昨年辞任したクリスティアン・ヴルフ前大統領を在宅起訴した。検察はヴルフ氏に対し、2万ユーロの罰金支払いと引き換えに不起訴とする条件を提示していたが、前大統領がこれを拒絶。無罪を主張し、法廷で闘う構えを見せた。

ヴルフ前大統領はニーダーザクセン州首相だった2008年9月に映画製作者のダヴィット・グレーネヴォルト氏から休暇旅行費用やホテル代などの利益供与を受け、その見返りとして映画の配給を支援するなど便宜を図ったとして、汚職行為を指摘されている。グレーネヴォルト氏も贈賄罪で起訴されている。ヴルフ氏は弁護士を通じて、検察側の訴えは事実無根であると主張、「大統領の威信にかけて戦う」との見解を述べた。

ヴルフ前大統領をめぐる一連の金銭スキャンダルは、2011年末に発覚。自宅購入の際に、知人から個人的な金銭借入を行っていた件に始まり、知人への利益・便宜供与問題などが指摘され、昨年2月に辞職に追い込まれた。今年3月には、長年の側近であった元広報官が起訴された。

 

NPDの違憲審査申請、政府は不参加
野党や州政府からは批判の声

連邦政府は3月20日、連邦参議院が決議していた極右政党ドイツ国家民主党(NPD)の違憲審査を連邦憲法裁判所に求める申請に参加しない方針を明らかにした。

州政府の代表からなる連邦参議院によるNPD禁止申請について、レスラー副首相(自由民主党=FDP)はこれを「尊重する」としながらも、「(極右のような)愚行は禁止するのではなく、政治的に対峙していかなければならない」と述べ、連邦政府としては禁止申請を行わない意向を明らかにした。これに対し、野党・社会民主党(SPD)からは批判が噴出。同党のオッパーマン幹事長は、「メルケル首相(キリスト教民主同盟=CDU)が本件に対する責任を州政府に負わせるというのは、耐えがたいこと」とコメント。ザクセン=アンハルト州のハーゼロフ首相(同)は「極右テロ組織NSUによる犯罪があった事実を踏まえ、これに対する明確な政治姿勢を示さなければならない」と述べ、NPD禁止申請の意義を強調した。

連邦政府の決定を受け、禁止申請の是非に対する論議が再燃。ノルトライン=ヴェストファーレン州CDUのラシェット代表は、「州政府はNPD禁止申請の実施について、もう一度熟考すべきである」として、「禁止を実現するためには、NPDが民主主義を根本から脅かす存在であるという証明が必要。それを踏まえて考えると、連邦憲法裁が違憲判断を下すかどうかは不確実」と発言。一方、ドイツ・ユダヤ人評議会は今回の連邦政府の決定に「失望している。間違った判断だ」との見解を発表した。

連邦参議院では昨年12月、連邦憲法裁に対するNPD禁止申請を決議している。しかし、10年前にも連邦政府、議会および州政府によるNPD禁止申請が行われたが、NPD上層部に捜査当局の情報提供者が多数いたことから、申請そのものが却下された経緯がある。

一方で、13年前に開始された極右組織からの脱退を促進するプログラム「エクジット」に関しては、今年の5月1日付で、連邦政府および欧州連合(EU)からの支援期限が終了する。これまで年間合計16万5000ユーロの助成金を得ていた同プログラムを存続させるかについて、政府は連邦労働省を交えて議論する予定。

 

ヴルフ前大統領、罰金支払えば不起訴に
公職時代の利益供与疑惑で

ハノーファー検察局は3月22日、汚職疑惑に問われているヴルフ前大統領に対し、2万ユーロの罰金の支払いと引き換えに起訴を行わないとする条件を発表した。

ヴルフ前大統領は、ニーダーザクセン州首相時代の金銭借入問題や、知人への利益・便宜供与問題などで昨年辞職に追い込まれた。検察は、ヴルフ氏が映像制作会社社長のグレーネヴォルト氏から休暇旅行の費用やホテル代などの利益供与を受け、その見返りとして便宜を図ったとして汚職を指摘している。検察側の提案を受け入れた場合、ヴルフ氏は「刑法上の責任を負う」という形になる。罰金か起訴かの選択期日は4月8日。

 

ゴアレーベンへの核廃棄物輸送中止へ
環境相とニーダ―ザクセン州が合意

使用済み核燃料の最終貯蔵施設問題をめぐって3月25日、アルトマイヤー連邦環境相(キリスト教民主同盟=CDU)とニーダ―ザクセン州政府が会合を持ち、最終処理場の場所が法的に確定するまでは同州ゴアレーベンへの核燃料廃棄物輸送を中断することで合意した。

会合では、環境活動家など24人の構成員による意見調査委員会の設立を確認。最終処理場探しに関する法整備のための意見の取りまとめを行う。ゴアレーベンについては、1977年に当時の州政府が核燃料廃棄物貯蔵施設建設を決定。その後、度重なる反対運動を経て連邦・州政府が新たな貯蔵施設候補地を探し始めることで合意していた。

 

FDPの連帯税廃止論をめぐり与党内で議論
財務相には廃止の意向なし

旧東独地域の経済復興支援の名目で導入されている連帯税に対し、9月の連邦議会選挙を前に論議が起こっている。3月25日付のヴェルト紙が伝えた。

論議の発端は、自由民主党(FDP)のブリューデルレ院内総務が「連帯税をできるだけ速やかに廃止すべき」と発言したこと。これに対し、旧東独のメクレンブルク=フォアポンメルン州、ザクセン州政府などから反対の声が挙がり、ザクセン=アンハルト州のハーゼロフ首相(キリスト教民主同盟=CDU)は、連帯税の意義を確認するために「インフラ開発支援金」などと改名することなどを提案した。

ショイブレ財務相(同)は、「旧東独の経済再建を目指す連帯協定は2019年まで有効。連帯税はこの連帯協定と結び付いて」として廃止案を一蹴。一方、FDPは連帯税の額を14年から段階的に減らし、2019年の期限をもって完全に廃止するとの案を提示している。

連帯税は1991年に導入され、当初は所得税の7.5%だったが、98年以降は一律5.5%が徴収されている。連帯税による連邦政府の年間税収は120億ユーロに上る。

 

シュトゥットガルト21の工費、65億ユーロに増大へ
ドイチェ・バーンの監査役会が工事続行を決定

シュトゥットガルト中央駅とその周辺一帯の大規模な都市改造計画「シュトゥットガルト21」の工事続行をドイチェ・バーンの監査役会が決定した。これにより、これまで45億ユーロと見積もられていた工事費用が20億ユーロ増の65億ユーロに増大することが明らかになった。6日付のヴェルト紙が伝えた。

シュトゥットガルト21に対しては、これまでも実施の是非をめぐって州民投票が行われるなど論議を呼んできたが、工期のさらなる延期が決まったことなどを受け、工事費用がさらに20億ユーロ増大することとなった。

工事続行を決定した監査役会側は「長期的に見て、工事を続行する方が中断するよりも経済的なメリットが大きい」と話しているが、緑の党が政権を担うバーデン=ヴュルテンベルク州およびシュトゥットガルト市は、追加工事費用の捻出を拒否。これに対してラムザウアー交通相(キリスト教社会同盟=CSU)は、「同州が工事費用を負担しないのであれば、鉄道料金の値上がりにつながる可能性もある。本来は同州が責任を負うべき」と警告している。

 

役員・幹部の報酬に制限を
スイスの国民投票を受け、ドイツ国内で議論

先頃、スイスで国民投票により、企業の役員・幹部の報酬への制限設置が決定したことを受け、ドイツ国内でも同様の論議が行われている。5日付のヴェルト紙が伝えた。

役員・幹部の報酬制限措置について与党・キリスト教社会同盟(CSU)と自由民主党(FDP)は賛成を表明し、CSUのハッセルフェルト議員は欧州、国内の政策課題に盛り込むことを提案。また、FDPのブリューデルレ院内総務は「連邦議会選挙の前に同件に関する布石を置くべき」と発言した。一方、キリスト教民主同盟(CDU)は、同問題は一国で決めるべきことではないとして慎重論を展開。協調が必要として、欧州委員会内での検討を提案している。

 

検察、ヴルフ前大統領の報道官を起訴
イベント・マネージャーに便宜供与

ハノーファー検察局は6日、クリスティアン・ヴルフ前大統領の報道官だったオラフ・グレーゼッカー氏を収賄容疑で起訴したことを発表した。ヴェルト紙が伝えた。

グレーゼッカー氏は、ヴルフ前大統領のニーダーザクセン州議員時代から長年にわたり、側近・報道官として活躍した。起訴状は、グレーゼッカー氏がニーダーザクセン州政府報道官だった2007~09年に、イベント・マネージャーのマンフレート・シュミット氏に対して不当な便宜供与を行ったとするもの。この見返りとしてグレーゼッカー氏は、19回にわたる飛行機代や休暇地での滞在費用など1万2000ユーロ相当の利益供与を受けたとされている。

 

連邦政府が貧富リポートを発表
フォン・デア・ライエン労働相は楽観的見解

連邦政府は6日、最新版の「貧富リポート」を発表した。これは、国内における貧困率や失業率、富の分配などを調査した内容で、その結果についてフォン・デア・ライエン労働相(キリスト教民主同盟=CDU)は、楽観的見解を示している。ヴェルト紙が伝えた。

同リポートの公表は4回目。今回の調査では、国内の貧富格差の拡大が止まり、長期失業者の割合が2007~12年の間に40%減少、貧困状態にある子どもの数は25万人減少したことなどが報告されている。さらに、失業率が1990年の東西ドイツ統一以来最低の数字を記録し、就労能力のある生活保護受給者の割合は前回調査(2008年)の9.7%から8.2%に減少。若年者失業率は欧州連合(EU)内で最も低く、高齢者の就労率がかつてないほど上昇しているなどの内容が盛り込まれている。

フォン・デア・ライエン労働相はこの調査結果を受け、「サクセスストーリーだ」との楽観的見解を表明。ただし、女性のパートタイム労働の多さや企業役員に占める女性の割合の低さなど、女性の労働問題に関しては今後も改善の余地があると指摘した。さらに、25~35歳の若年長期失業者に対して職業訓練の機会を与える「第2のチャンス」プロジェクトに力を入れていくことも強調。なお、2006~10年にかけて、学校卒業資格を持たない若者の数は8%から6.5%に減少している。

一方、2010年時点で400万人以上が時給7ユーロ以下の労働に就いていたことや、個人資産の分配が不平等であることについては、リポート内ではほとんど触れられておらず、財産税についての議論もなされていないことなどについて、社会福祉団体や野党からは「表向きだけよく見せかけたリポートだ」とする批判の声が挙がっている。ちなみに、現行の法律で定められている最低賃金は時給9.15ユーロとなっている。

連邦統計庁によると、月収952ユーロ以下の場合が「貧困の危機にあるライン」とされており、国民の14~16%がこれに相当するとみられている。貧困の最も大きな要因は失業。また、ひとり親世帯が貧困の危機にさらされているケースも多いという。

 

留年制度の廃止案めぐり論議
教員連盟からは反対意見

ニーダーザクセン州政府が学校での留年制度の廃止を検討していると表明し、留年の是非について連邦レベルで論争が起こっている。2月19日付のヴェルト紙が伝えた。

留年制度廃止についてドイツ教員連盟のクラウス代表は、「模範的な生徒像を前提とした議論であり、留年制度の廃止は逆に中退の可能性を高める」と言明。バイエルン州のシュペンレ文化相(キリスト教社会同盟=CSU)も「大衆迎合主義的な教育政策」と批判している。

 

国内全体の留年率は年間2%。昨年、多くの州で留年制度の廃止または最低限の場合のみ実施する方針が決定され、ハンブルク市はすでに2010年に同制度を廃止している。

 

同性カップルに養子縁組の権利
連邦憲法裁が判決

連邦憲法裁判所は2月19日、同性パートナーシップ登録をしているカップルに、婚姻関係になる夫婦と同様に養子縁組をする権利を認める判決を下した。

判決は、「家族基本法は、継続的な生活共同体である同性カップルとその子どもの上にも適用されるものである」とした上で、「子どもの保護や養育の能力において同性カップルに異性同士の夫婦との違いはない」としている。

ロイトホイサー=シュナーレンベルガー法相(自由民主党=FDP)は同判決に同意を示しているが、キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)からは、同性パートナーシップを婚姻関係と同列視する見方に異論が上がっている。

 

法相の二重国籍導入案をめぐり与党内で論議
対象の大多数はトルコ系移民の子

ロイトホイサー=シュナーレンベルガー法相(自由民主党=FDP)が2月19日、二重国籍の導入を検討していることを表明し、論議を呼んでいる。ヴェルト紙が伝えた。

ドイツでは2000年に、欧州連合(EU)域外の外国出身者で、ドイツ国内で出生した子どもたちに、23歳まで二重国籍を認める法改正が行なわれた。ただし、23歳になる前にどちらか一方の国籍を選択しなければ、ドイツ国籍は自動的に失効することになる。この法律の対象となるのは、大多数がトルコ系移民の子どもたち。

二重国籍の導入の意義について法相は、「移民のドイツ社会への統合を支援するため」との見解を述べているが、連立パートナーのキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)からは、「二重国籍はかえって統合の妨げになりかねない」との反論が上がっている。一方、移民問題の専門家であるクラウス・バーデ教授は「ドイツで生まれ、ドイツ社会に溶け込み、高い専門能力を持つトルコ系の若者が二重国籍を認められず、『外国人』であり続ける事態を認識するべき」と述べている。

 

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