1988年3月27日生まれ。2006年に静岡県の清水東高校から鹿島アントラーズに入 団すると、クラブ史上初めて高卒ルーキーとして開幕戦先発フル出場を果たし、注目を浴びる。先発出場が確実視されていた10年の南アW杯では直前の負傷も影響し、出番なしに終わった。昨季にシャルケ入りすると徐々に存在感を出し始め、欧州CL の準決勝進出に貢献する。高い戦術理解力と、読みとスピードを生かした攻撃参加を持ち味とし、今後の活躍が期待される右サイドバック。

ブンデスリーガ移籍1年目の昨季、リーグ戦だけでなく、欧州チャンピオンズリーグ（CL）での躍進なども手伝い、一気に知名度を上げた。今夏のオフ期間中、日本ではサッカー専門誌、スポーツ専門誌だけでなく一般誌への露出も増やした。甘いマスクに加え、スピードを売りにしたプレースタイルも彼のさわやかな印象とあいまって、もともと高かった女性の間での人気がさらに上昇した。さらに、日本のバラエティ番組などに出演しても、そつないだけでなく気の利いたユーモアを披露し、お茶の間の受けも上々。プレーだけでなくメディア露出においても欠点のないほどの活躍を見せ始めていた。だからこそ、シャルケでの2季目を迎える彼には大きな期待が寄せられていた。

だが、そんな内田が今季、意外なほどの苦戦を強いられている。プレシーズンからサブ組に回されると、シーズンが始まってもベンチを温める日々が続く。右サイドバックの先発の座を新加入のヘーガーに奪われた上に、そのヘーガーが活躍してしまい、ますます先発の座は遠ざかった。今季初めて先発したのはUEFAヨーロッパリーグ、アウェーのヘルシンキ戦。だが、それもフクスの出場停止の穴を埋めるためで、本職ではない左サイドバックでの出場。慣れないポジションでのプレーは冴えず、失点にも絡んでしまい、ビルト誌などでは戦犯扱いさえされていた。

でも、内田はゆっくりと着実に先発に戻って来る。高校を卒業してからというもの、彼がどこかのチームでサブに甘んじ続けたことなどないのだ。前所属の鹿島でも、世代別代表でも、もちろんフル代表でも、シャルケでも。

「ゆっくり調整しますよ。（あなたたちが）焦らないで」と周囲に言うほどには、内心は落ち着いていないはず。頭をフル稼働して、どうすればポジションを再び奪取できるか、考えに考えている時期のはずだ。昨季シャルケでの1年間は、「欲のない僕が、もう少しサッカーがうまくなりたいと思えた1年だった」のだそうだ。その思いも、ピッチでの経験も、生かすのはこれからだ。