Hanacell

ドイツのホームへの入居 その1
選び方とそのポイント

Birgit Edinger

老後の生活について計画する際、自宅に住むか、それとも様々な形式のホームに住むか、どちらを前提にするかと言えば、ほとんどの人が自分の家に住むことを選びます。しかし、結果として高齢者用のホームに入ることになるケースがかなり多いのも事実です。心身の健康状態や周囲の看護環境にもよりますが、高齢に達すると、様々な援助を得る必要性が出てくることが予想されます。そのため、特に外国出身の方は、ドイツでの介護に関する情報を集めておくことが大切です。

高齢者用施設には老人居住ホーム、老人ホーム、介護ホームなどがあり、そのすべてが揃っている施設もあります。自分が援助や介護*1を必要とするようになったとき、ホームに入るか、いわゆるデイケアの方法を取るかを前もって決めておき、ホームに入るなら具体的にどこにするかも含め、周囲の人に伝えておいてください。

老後

実際に介護が必要だと思われる場合には、どこで介護を受けるかに関係なく、まずは「MDK」 という健康保険会社共同のメディカルサービス機関から要介護度認定師を派遣してもらい、どの程度の介護が必要かを審査してもらいます。現在では医師を介さなくても、本人や周囲の人などから、その人の入っている健康保険会社に審査を申請できます。また、介護の申請に年齢制限はありません。要介護度は0から1、2、3と上がり、特別に重いケース(Härtefall)までありますが、要介護度ゼロと査定されても、認知症の場合には自宅での家事補助サービスなどが受けられます。

ホームに入所したいという人は、ホームでの介護が必要か否かも査定してもらいます。家族などによる介護援助があったとしても不充分だったり、あるいは医療以外の援助面で自宅での生活が望ましくない場合は、本人の希望も考慮し、ホームへの入所の必要性が認められます。

どのホームに入所するかは、本人が実際に見学し、場所や環境、雰囲気などが最も合う所に決めるのが一番良いのですが、多くのホームで待機期間があり、すぐに入所できるわけではありません。入所の優先順位はその人の入所の必要性にしたがって決められますが、それを決めるのは各ホームのホーム長です。ホーム長は入所希望者が必要とする介護の程度と質を、その人の必要とする文化的な背景なども含めて考慮します。そのため、各ホームではその人をサポートする人、例えば家族や友人の協力、外国人ならその人にあった環境がどうすれば実現可能かを考え、同国人のボランティアにも声を掛けます。私どものホームでも多くのボランティアが活動しており、2つの日系公益法人とも協力関係にあり、日本人看護士も養成中ですので、日本人の方には比較的好環境と言えるかもしれません。

公的な介護を前提としたホームへの入所を決めた場合、その人は自分の経済的な状況、年金や財産を漏らさずホームに申告します。これは、入居者が万が一、経済的に行き詰まった場合にも、ホームを通して地方自治体による社会扶助を申請し、ホームでの介護生活をそのまま続けることができるようにするためです。実際、ホームの費用をすべて支払えない人であっても、そのままホームに住んで介護を受けている人が何割かいます。つまり、社会保障機関・介護保険機関と提携している老人・介護ホームの場合、一旦入ったら経済的なことが理由で追い出される! などということはないわけです。次回は、ホームへの入居手続きについて説明しましょう。

*1 必要な援助には、介護保険でカバーされる医療介護と保険でカバーされないものがある。

関連ドイツ語
  • Altenwohnheim (n) 老人居住ホーム (高齢者用のマンション形式の施設)
  • Altenheim (n)老人ホーム(介護が可能な施設)
  • Pflegeheim (n) 介護ホーム(介護が中心の施設)
  • MDK (m) (Medizinischer Dienst der Krankenversicherung) 健康保険会社共同のメディカルサービス機関
  • Tagespflege (f) 介護施設のデイケア

(m)男性名詞、(f)女性名詞、(n)中性名詞
Birgit Edinger(ビルギット・エディンガー)
介護ホーム "Dorothee-Sölle-Haus"(Diakonie, Düsseldorf)及び、隣接する高齢者のための総合センター"zentrum plus"の責任者。同市ライン川左岸シニア顧問会議議長。DeJaK-友の会のプロジェクト "邦人のための情報センター作り" の主要メンバーでもある。
訳 渡辺・レグナー嘉子 (DeJak-友の会)
 
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