Hanacell

輝け、原石たち
日本を飛び出し、ドイツで切磋琢磨する "若き血潮" を紹介します。


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1973年 千葉県市川市生まれ
1994年 神田外国語専門学校 英会話本科卒業
1994~98年 渡独、日航ホテル・デュッセルドルフ支店にてホテルマンとして勤務
2004年 Kunstakademie Düsseldorf在学、デュッセルドルフ在住
2006年 クンストアカデミーの学生展 ベットブルク=ハオ
2007年~ 「日本からやってきた8つのコンテナ」デュッセルドルフ その他、ベルリン、ボン等で展覧会開催
2008年 「Too high or too low there ain't no inbetween」グラスゴー「Zwei Vögel, Eine Klappe」ケルン
グラフィックから立体、空間インスタレーション、パフォーマンスまで幅広く手掛ける社会派アーティスト。

展示室に置かれた鏡やタンスなどの家具。そのタンスの中に入るとさらに部屋があり、そこにはいくつかの立体が並ぶ。それらを鑑賞する人々……。でも、実はこの2つの部屋はマジックミラーで仕切られていて、最初の展示室からは向こう側の部屋の鑑賞者の姿が鏡に映る仕組みになっている。そんな遊び心満載のインスタレーションを手掛ける鍵冨孝暁さん。作品のコンセプトは、「観る人が作品の一部になること」だ。

昔から海外志向が強く、高校卒業後は外国語の専門学校で英語とドイツ語を学んだ。渡独のきっかけは、デュッセルドルフのホテルの求人への応募だった。現地で音楽や絵と関わる人たちに出会い、ヨーロッパでは芸術と人の距離が近いと感じた。そこで自らも芸術の道に進むことを決意。芸術大学のグラフィック科に入学した。子どもの頃からデッサンは好きだったと言うが、実際に芸術活動を始めたのは来独してから。にもかかわらず、「特に苦労はしなかったですね」と、さらりと言ってのける。

2007年のコンテナを使ったインスタレーション作品では、水槽に亀を泳がせて、その隣にはビデオテープが詰まった狭く薄暗い部屋を置いた。芥川龍之介の小説『河童』をモチーフに、「もし現代に引きこもりの河童がいたら……」と想像を膨らませて作ったという。受け狙いのような制作秘話だが、そこには引きこもりという現代病を生み出した日本社会に対する批判が込められている。

「作品は、日々考えていることや経験したことを記録する日記のような存在です。ただ、そこに込めた自分の思いを表に出そうとは思いません。観る人によって印象や受け止め方は違いますからね」

制作の面白みをそこに見出す鍵冨さん。今後の目標は、2次元の媒体としてのみ存在する作品を増やすこと。3次元の作品を記録保存し、次の世代に遺したいと意気込む。

(編集部:林康子)


グラスゴーの展覧会で出展された家具のインスタレーション


「日本からやってきた8つのコンテナ」展:3匹の亀が泳ぐ水槽(左)とビデオテープがぎっしり詰まった部屋


ケルンの展覧会では、首吊りの縄の形をしたミラーボールを展示
Information

”Rundgang“「ルントガング」
クンストアカデミーの学校祭
期間:2月15日(日)まで 入場無料
時間:9:00~20:00 土日10:00~18:00
場所:Kunstakademie Düsseldorf
Eiskellerstr. 1, 40213 Düsseldorf
TEL : 0211-13960
www.kunstakademie-duesseldorf.de

グループ展「SMALL WORLD」
鍵冨さんのほか、3人の日本人アーティストが出展
期間:3月7日(土)~5月16日(土) 入場無料
※鍵冨さんの作品は4月11日(土)まで展示
時間:14:00~18:00 土10:00~
場所:E105 Halle für Kunst und Design
Endenicher Str. 105, 53115 Bonn
TEL : 0228-4297769
www.e105.de

 
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