Hanacell

輝け、原石たち
日本を飛び出し、ドイツで切磋琢磨する "若き血潮" を紹介します。


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1977年 新潟県生まれ
1996年 渡独、飲食店勤務
2002年 陶芸家の道を歩み始める。エッセンのMargaretenhöheで研修
2003年 バート・ホネフのSebastian Klose氏の下で本格的 な職業訓練(Ausbildung)を開始
2006年 ゲゼレ試験に合格。陶芸職人の資格を得る
2007~08年 Töpferei Oberheid(デュッセルドルフ)や、Piet Stockmans氏(ベルギー)の下で働く
2009年 デュッセルドルフを拠点に製作活動中。
進学→就職→結婚、型通りの将来像に不安を抱いた高校生は卒業と同時に渡独した。人に頼らずに生きる道を模索する中で始めた陶芸。自分の強さを試す挑戦の道中に身を置く。

ゼロからのスタートとは、まさにこのこと。渡独して6年、陶芸家を目指すという新たな決意を胸に日本に一時帰国した志田美知子さんを迎えたのは家族からの猛反対だった。決意のほどを試した親心と娘を案じるやさしさは、今なら分かる。しかし、当時は反対された悔しさをバネに、資金ゼロ、コネもゼロという逆境の中、「陶芸家」という新たな道をがむしゃらに走り続けた。

念願のゲゼレ試験に合格し、陶芸家として半自立した生活を送る志田さんの今があるのは、2人の職人との出会いによるところが大きい。

1人は、ゼバスティアン・クローゼ氏。職業訓練時代の師匠だ。ボンで生活し、1時間半かけてバート・ホネフの山奥にある工房へ、週末はアルバイトをしにデュッセルドルフへという3年間は辛かったが、ここで陶芸の楽しさを知った。陶芸のことだけではない。植物学を修めたクローゼ氏の工房の庭は、動植物の生と死を存分に感じられる環境。その中で半自給自足の生活を送る彼から、「生きること」の根底にあるものを教え込まれた。「自分に嘘を付くことがいかに無意味で、生きていくことがどんなにハードか」を実感したと言う。

もう1人は、ピート・ストックマン氏。紙のように薄い磁器製品を作るスペシャリスト。工業デザイナーでもある彼の作品は、無駄のない美しさと機能性を併せ持つ。また、彼の仕事に対するクオリティと効率性へのこだわりは、ずば抜けており、彼の下で生業として陶芸を志す者の情熱と技術を極める姿勢を学んだ。

日常生活の中で、ふと欲しいモノや足りないモノに気付く。それが志田さんの創作意欲の源泉。花瓶なら花、食器なら食事が主役で、年齢や性別、右利き左利きなど個人差を問わず誰にでも使えるユニバーサルデザインに配慮した陶器を作ることが信条と言う。「使う人が日常生活を不自由なく過ごせるように」小さな幸せを願いながら、轆轤(ろくろ)を引く日々は続く。

(編集部:高橋 萌)


シンプルなデザインだから、どんなシーンでも活躍する



料理を添えて、本来の魅力を発揮する食器


右利きでも、左利きでも、楽々使えるティーポット


茶碗や醤油さし(写真)など、日本の食卓の定番も

Information

若手アーティストのグループ展

6月11日(金)~ 13日(日)

デュッセルドルフを拠点に活動しているデザイナーや職人が、それぞれの作品を一挙に公開。写真や服、アクセサリー、バック、そしてもちろん陶芸品。日常生活を豊かにする、世界にたった1つの品が集まる。気に入ったものはその場で購入可。

11日 16:00~22:00
12 ~13日 12:00~20:00

Tonreich
Grafenberger Allee 403, 40235 Düsseldorf

☆志田さんに食器を作ってもらいたい方へ⇒受注製作も受付中
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