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Do. 03. Dez. 2020

生き残りをかける ベルリンのクラブ事情

長引く新型コロナウイルス感染症の影響のもと、人々は日常的なマスク着用などの「新しい常識」に少しずつ馴染んできています。しかし以前の盛況を取り戻せず、苦境にあえいでいる業界も存在します。音楽業界、とりわけ密閉空間かつ接触も避けられないテクノクラブなどは、現在も通常営業には戻っていません。

ベルリンには数多くのクラブが存在し、老若男女問わず、週末の遊び場として市民の生活の一部となっていました。パンデミック以降、営業停止となったクラブの多くは、週末にライブ配信を行いつつ、クラウドファウンディングなどで寄付を集めることで存続を図っています。

シシフォスの外観。鉄扉の向こう側に、広大な庭が広がっていますシシフォスの外観。鉄扉の向こう側に、広大な庭が広がっています

シシフォス(Sisyphos)も、早くからライブ配信やクラウドファウンディングを行なっていたクラブの一つ。寄付をすると金額に応じてTシャツなどのリターンがあるのが一般的ですが、シシフォスのリターンはほかとは一味違います。「クロークが無料になる」、「トイレに並ばなくてもいい券(ファストパス)」、「クラブのサウンドシステムで1時間、あなたの好きな音楽をかけられる権利」など非常にユニークで、クラブ遊びを知り尽くしたスタッフたちの遊び心が存分に反映されています。

シシフォスではさらに、食事を提供できる許可を新たに取得。屋外スペースを「テクノが聴けるビアガーデン」にして、5月から営業を再開しました。オープン時間は金曜〜日曜の15~22時という短縮営業ですが、前売り券が完売するほどの人気です。

筆者も先日、夕方からシシフォスを訪れました。クラブ内は撮影禁止のため写真はありませんが、広々としていてかつ立体的に構築された庭に、人々が思い思いにくつろいでいる姿……まるで、この状況下に湧いたオアシスのようでした。レコードが生み出す音楽はまさに極上で、それでいて決してうるさくなく、リラックスして会話が楽しめます。本格的に寒くなる前にもう一度来たいと思わせられる、最高の空間でした。

内部は絶対撮影禁止! 落書きされた出口の扉も雰囲気があります内部は絶対撮影禁止! 落書きされた出口の扉も雰囲気があります

「世界最高のテクノクラブ」と名高いベルクハイン(Berghain)でも、9月から新たな取り組みが始まりました。ベルクハインの巨大かつ堅牢な建物を利用して、現代美術の展覧会が12月まで行われています。キュレーションを担当しているのは、防空壕を再利用した個人美術館を設立したことで一躍脚光を浴びた、クリスティアン・ボロス氏率いるボロス財団。前売りチケットは連日完売するなど、大きな注目を集めています。

先の見えないパンデミックの下で、さまざまな方法で生き残りをかけるベルリンのクラブたち。ここに挙げたのはほんの一例で、数多くのクラブがそれぞれの方法を模索し続けています。こうしたクラブが一つでも多く残っていくことを願わずにはいられません。

 
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中村さん中村真人(なかむらまさと) 神奈川県横須賀市出身。早稲田大学第一文学部を卒業後、2000年よりベルリン在住。現在はフリーのライター。著書に『ベルリンガイドブック』(ダイヤモンド社)など。
ブログ「ベルリン中央駅」 http://berlinhbf.com
守屋健(もりやたけし) ドイツの自動車、ビール、そして音楽に魅せられて、2017年に渡独。現在はベルリンに居を構えるライター。健康維持のために始めたノルディックウォーキングは、今ではすっかりメインの趣味に昇格し、日々森を歩き回っている。
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