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野外芸術作品巡り

美術鑑賞というと、美術館など室内での鑑賞が思い浮かびますが、公園や街角など、野外の公共空間にもパブリックアートと呼ばれる芸術作品が存在します。フランクフルトにも、こうした野外芸術作品が市内の至るところに点在しています。普段は気にも留められず、通り過ぎてしまわれることも多いパブリックアートを広く紹介するため、フランクフルト市文化庁が市内を中心とした噴水や銅像、彫刻などの野外芸術作品をまとめてデータベース化しています。

データベース上では、作品の種類や作者などによってカテゴリー分けされており、自分が見たい作品を簡単に検索することができます。さらに、デジタル技術を利用して野外芸術巡りができる、QRコード・プロジェクトも実施。市内中心部にある彫刻やモニュメントにQRコード(写真下参照)を付け、スマートフォンやタブレットパソコンでコードを読み込むと、作品の紹介や地図上の位置情報がリアルタイムで表示されるというシステムです。私も実際に、自分のスマートフォンを片手に野外芸術巡りをしてみました。

作品パネルにあるQRコード
作品パネルにあるQRコードを読み込むと、作品について即時に学べます

2つあるコースの内、昔の市内城壁に沿って進むコースを回ってみました。ルート上で最南西に位置するフランクフルト劇場(Schauspiel Frankfurt)近くの噴水からスタートし、緑地帯に沿って旧オペラ劇場まで北上しました。金融街を背にした緑豊かな遊歩道には、10以上もの野外芸術作品が並びます。

公園にあるオブジェ
公園にあるオブジェは子どもの遊び場になることも

各作品のそばには、作品名と共にQRコードのパネルがあり、スマートフォンでコードを読み込んでみると、作品が作られた時期や作者、その歴史的背景までが即座に表示されました。1990年代に作られた現代アート作品から、何百年も前に製作され、戦禍によって破壊されながらもオリジナルに忠実に復元したものまで、それまで風景の一部でしかなかったオブジェが、芸術作品として生き生きと街を彩っていることを実感しました。

続けて、昔の見張り台だったエッシェンハイマー塔を通って中世時代の市の境界線を東へ進みました。さらに南下して、ルートの最南東に位置するショーペンハウアー記念碑まで、2時間ほどの散策で20を超える作品を鑑賞することができました。

すべての作品が緑地帯にあるため、散歩コースとしても最適です。作品の前で解説を読みながら鑑賞して回ると、作品の歴史はもちろん、街の歴史についても考えさせられます。緑の中のオブジェは、それぞれが持つ歴史を今に伝えつつ、市民の憩いの場の一風景として溶け込んでいました。

今回私が回った緑地帯コースのほかに、旧市街を回る短いコースもあります。こちらは観光スポットに近いので、ありきたりの観光に飽きた人は、野外芸術を通して街を巡ってみてはいかがでしょうか。また、QRコードを読み込む作業自体も楽しく、家族や友だち同士でオリエンテーリングとしてコースを回るのもお勧めです。

フランクフルト野外芸術
www.kunst-im-oeffentlichen-raum-frankfurt.de

ユゴ さや香
2003年秋より、わずか2週間の準備期間を経てドイツ生活開始。縁もゆかりもなかったこの土地で、持ち前の好奇心と身長150cmの短身を生かし、フットワークも軽くいろんなことに挑戦中。夢は日独仏英ポリグロット。
 
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