Hanacell

学費巡ってボイコット運動

「ドイツの大学はタダである!」。これは比較的多くの人が知っていることではないでしょうか?日本では私立大学に在籍中の私にとって、これがどれだけ素晴らしい制度であることかと、日々感じています。

しかし、私が現在交換留学生として通うハンブルク大学ではこのドイツの学生の特権が奪われつつあります。というのは、2007年の夏学期から、学生に対して授業料(500ユーロ/1学期)を徴収するようになったのです。日本の私立大学の学費に比べれば500ユーロくらい…と思っても、これまでタダ同然で通っていた学生にとっては、容易には受け入れることができないのも当然です。

授業料が徴収されるようになった背景としては、大学に財政的な余裕がなくなったこと。またキリスト教民主同盟(CDU)の政策の一環として、優秀な人材を育てるためにドイツの教育・研究現場を国際的なレベルに引き上げる必要があり、授業料を徴収することによって、その費用でソフト・ハード面を整備し、大学の質の低下を防ごうと考えたものです。その結果として、まずはCDUが政権を握る州を中心に授業料徴収の動きが出始めました。

ボイコットを呼びかける看板
大学内・周辺の至るところに掲げられている、
ボイコットを呼びかける看板

この制度に対する学生の反応は様々ですが、最近特に目立っているのがボイコット運動です。具体的には、授業料を振り込まないよう学生に呼びかけているのです。至る所に看板を立て、ビラを配り、時には演説をするといった具合です。しかし、ここで私が驚いたのは、このような運動に対する学生の関心の高さです。もし日本でこんなことが起きたら学生はどのような行動をとるでしょうか。おそらく、不本意ながらも、しぶしぶ授業料を払うことでしょう。私達、日本人にはあまり馴染みのない、西洋の民主主義の姿というものを、このような運動から垣間見ることができた感じがします。

なお、授業料の払い込みは学期中に行われるため、このボイコットが成功するか否かは、もう少し待たなければわかりませんが、いずれにせよ、この問題はハンブルク大学の学生・学校側の双方にとって大きな岐路となることでしょう。

ボイコットを呼びかけるチラシ
ボイコットを呼びかけるチラシ。
学生が配布し、学生寮のポストにまで入っています

保田さん保田理恵(やすだりえ)
去年の夏から、交換留学生と してハンブルク大学で勉強中。日本では、東京の大学で政治学を学ぶ。学生ならではの視点で、ハンブルクのあれこれを紹介します。
 
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