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美術工芸博物館で日本を感じる

ハンブルク中央駅を挟んで北西にハンブルク市立美術館、南東には美術工芸博物館(Museum für Kunst und Gewerbe)があります。そのような抜群の立地にある博物館・美術館の、歴史を感じさせる建物をいつも眺めてはいたのですが、その中に入る機会は、これまでほとんどありませんでした。しかしこのたび、美術工芸博物館で日本の伝統的な染色技法である「型染め」の型紙を紹介する特別展が9月2日まで開催されていると聞き、足を運んできました。

型染めという染色技法の歴史は古く、6世紀頃にはすでに存在していたそうです。方法は、まず透かしの型を彫り、布の上に型を置いて、その上に糊を貼ります。型をはがして糊が乾いたら、次に染料を塗ります。糊を貼った部分には染料が染み込まず、型の部分だけがくっきりと染まります。今回の展覧会では、江戸時代から明治時代に作られた透かしの型紙約40点が展示されていました。型紙は刀(とう)で彫るそうですが、その精緻さ、きめ細やかさは「さすが日本人の成せる業!」という気がしました。そしてその絵柄のモチーフは菊や松、柳、桜、鯉、波など、いかにも日本を感じさせるものが多く、「そうそう、こんな柄の浴衣ってあるよね」と、忘れかけていた日本の風景が懐かしく思い出されました。

ハンブルク
型染めの技法を使って染められた布

さて、美術工芸品を扱う同博物館ですが、そのコレクションは食器や衣類、装飾品、家具、楽器など、生活に関わる品々です。食器については、古代の土器から中国、アジアの陶器、ヨーロッパの陶器、チェコのガラス細工まで多種多様な作品が展示されています。特にヨーロッパ各地の陶器を紹介するコーナーでは、マイセンをはじめ、芸術的価値が高く美しい食器や置き物が並び、目の保養になりました。面白かったのは、陶器の爪楊枝入れです。ロココ時代の貴族たちは爪楊枝を綺麗な装飾が施された陶器の入れ物に入れて持ち歩いていたのですね。

楽器のコーナーでは、古楽器の実際の音を聴くことができるような展示になっているのが印象的でした。鍵盤楽器は、スピネットから現代のグランドピアノ、ヤマハのエレクトーンまでが展示されています。

さらに同博物館には、なんと茶室があります。茶道のお茶碗なども美術工芸品として常設展示されていて、茶会も定期的に開かれているそうです。型染めにしても、茶道にしても、今回の博物館探訪は、現代の日本人が忘れかけている日本の伝統美を再認識させてくれました。

www.mkg-hamburg.de

ハンブルク
博物館内にある茶室

井野さん井野 葉由美(いの はゆみ)
ハンブルグ日本語福音キリスト教会牧師。イエ ス・キリスト命。ほかに好きなものはオペラ、ダンス、少女漫画。ギャップが激しいかしら?
 
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