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日独交流で明治大生が報告 東日本大震災から学んだこと

1991年から始まったハンブルク市アルトナ区のオッテンゼンと東京の向島との日独地区交流は、自治体による姉妹都市とは異なり民間レベルで始まりました。主に都市の再開発や再利用、都市計画について互いの取り組みを紹介し合い、刺激を受け合っています。

去る7月13日には、アルトナ区のモッテ地区文化センターにて日独地区交流25周年記念行事が開催されました。その一環として明治大学の山本俊哉教授の都市計画研究室などから20名以上の大学生が来独し、東日本大震災で被害を受けた陸前高田の復興の様子や向島地区の町づくりに関して「防災」という観点からの報告をしてくださいました。特に震災復興に関しては、震災時より常に現地に入り調査し続けてきた方々のリアルな報告で非常に興味深かったです。

明治大学学生
プレゼンテーションする明治大学の学生たち

学生たちが主張していたのは、被災地復興のためにどのように防災対策を立てるのか、住民の居住地域や商業地域をどのように再建させるのかを、本来は行政と住民とがよくコミュニケーションを図った上で、「都市計画」として総合的に協議されるべきだということです。陸前高田ではそれがなされず、防災と都市計画が個別に検討されたために巨額の資金を投じて高さ12メートルの防潮堤を建設し、山を切り崩して土地のかさ上げが行われました。しかし、果たしてその地域にかつての住民が戻って来るのか疑問の声が挙がっているそうです。大規模なマンション型の災害公営住宅も建設されているのですが、もともとこの地域に住んでいた方々は一戸建ての木造住宅に住んでいたため、マンションという住宅形態になじみがありません。そのため入居してもすぐに退去するケースが増えているとのこと。このように被災地はまだまだ多くの問題を抱えています。

そのような中、防災に関して彼らが提案したのは、ハード面の整備に頼るだけではなく「普段から避難経路を考える」というソフト面のアプローチです。そのために、津波浸水域を基に設定した避難目標ポイントに何分で到達できるか、地図上の道を色分けする「逃げ地図」作成を提唱して地域住民の方々とワークショップを行ってきたそうです。その結果、この道路には『目標地点まで○○メートル』『ここを登っても避難場所はない』の看板が必要など、具体的なことが整理されてきました。これならすぐ始められ、継続して啓蒙することができるのでどの町でも有益な方法です。

逃げ地図
学生と地域住民が作成した「逃げ地図」

若い世代の学生たちが真剣に丁寧に震災復興について調査して考えた報告に、会場に集ったドイツ人、日本人合わせて80名ほどが大きな感銘を受けました。

井野さん井野 葉由美(いの はゆみ)
ハンブルグ日本語福音キリスト教会牧師。イエス・キリスト命。ほかに好きなものはオペラ、ダンス、少女漫画。ギャップが激しいかしら?

 
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