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「未来のための金曜日」運動、ハノーファーで3000人

ハノーファーで8月23日、「Fridays for Future(未来のための金曜日)」運動のデモ行進が行われ、約3000人が参加しました。若者を中心に保護者や年配者も市内を練り歩き、市庁舎前で市とハノーファー郡の代表者に気候保護のための要望書を手渡しました。

プラカードをかかげる獨協中高生も参加プラカードをかかげる獨協中高生も参加

この気候保護運動は、スウェーデンの少女グレタ・トゥーンベリさんがたった独りで始めたものです。今では欧州中に広がり、生徒たちが金曜日に学校をストライキして気候保護運動に参加。ハノーファーでも今年1月から定期的に行われています。

この日は12時半にオペラ広場の前に集合し、生徒たちの演説の後、プラカードを掲げたグループ、大人に付き添われた小学生たち、また個人で参加した生徒たちが行進。時折拡声器を持った高校生が「What do we want?(何を求めるのか)」と呼びかけ、参加者は「Climate justice!(気候正義)」と応えます。続いて「When dow ew ant it?(いつほしいか)」「、Now!( 今)」というやりとりが反復されました。車が通りを走ると、「自転車を出してきて! 車から降りて!」と繰り返し、ほかにも「石炭反対」など、さまざまなメッセージを呼びかけた参加者たち。「私たちはここにいる。私たちは大声だ。だって(大人が)私たちから未来を盗もうとしているから!」という言葉もインパクトがありました。

2時過ぎに市庁舎に到着すると、音楽に合わせて主催者の若者たちが踊り始めました。市庁舎前の広場にいた若者もリズムに合わせて身体を動かし、若いエネルギーが溢れ出します。近くで見ていて鳥肌が立ちました。続いて女の子3人が「2025年までに再生可能エネルギーで市のエネルギーすべてまかなうこと」、「夜間の飛行機禁止」など、市の気候保護政策についての要望を述べ、みんなから声援が上がりました。

気候保護について要望書を提出気候保護について要望書を提出

印象的だったのは、要望書を受け取った政治家2人がとても好意的だったこと。「お礼を言いたい。みなさんの要望をどう実現するか、9月16日に環境会議をするので招待する。これからも活動を続けてほしい」、「地球は未来のもの、君たちのものだ」と、激励しました。

行進に参加して感じたのは、楽しくていいんだ、楽しいから力になるんだ、ということ。ハノーファーで活躍する中心グループは30人ほどから成りますが、代表者はいません。グループの1人(19歳)は「楽しいから参加している。みんな平等で、それぞれできることをしている」と話していました。この運動が実際にハノーファーの環境政策にも影響を与えるのだから、すごいことです。若者たちは、本当に地球の未来について考えているんだと実感しました。

ちょうど環境研修のためにハノーファーに来ていた獨協中学・高等学校の生徒20人も坂東広明教頭や塩瀬治教諭と参加し、 プラカードを掲げてアピールしました。日本の中高校生にとっても、この行進は大きな刺激になったようです。

田口理穂(たぐち・りほ)
日本で新聞記者を経て1996年よりハノーファー在住。ジャーナリスト、法廷通訳・翻訳士。著書に『なぜドイツではエネルギーシフトが進むのか』『市民がつくった電力会社: ドイツ・シェーナウの草の根エネルギー革命』、共著に「お手本の国」のウソ(新潮新書) など。
 
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