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ハノーファー音楽学校

ハノーファー音楽学校(Musikschule der Landeshauptstadt Hannover)は昨年、設立50周年を迎えました。この学校は幼児から大人まで、音楽を楽しむすべての人に門戸を開き、楽器のレッスンをはじめ、合唱や歌、音楽やリズムに合わせて踊りを楽しむ幼児向けコースなど、幅広いプログラムを用意しています。

鉄琴や木琴を奏でる子どもたち
鉄琴や木琴を奏でる子どもたち

音楽に興味を持つこと、音楽を通して社会性を養うこと、才能を伸ばすこと、達成感が得られる場を提供することなど、音楽学校には様々な使命があります。楽器や歌のレッスンは個人でもグループでも受講可能。楽器はピアノやバイオリン、チェロなどはもちろん、弦楽器や管楽器、オーケストラのコースまであり、ジャンルもクラシックのほか、ジャズやロック、ポップがあります。

4~6歳児を対象にした2年間にわたる音楽教室では、週1回、音楽を聴きながら歌ったり、踊ったりするほか、鈴や太鼓、トランペットやアコーディオンも試します。教本には絵が書いてあるだけで音符はありません。森や魔法、季節、色など、毎回1つのテーマで手遊びやお絵描きをしてイメージを膨らませます。それにより、「音楽も遊びの1つで、頑張って覚えようとしなくて良いのだ」と子どもたちは体感するのです。宿題も、塗り絵や工作、歌など様々です。

このコースの終了後、自分の好きな楽器を習い始める子もいます。ドイツでは、楽器を習い始めるのは6、7歳からで十分という考え方が主流で、それまでは音楽自体を楽しみ、自分に合ったものを見付けることが重視されます。アコーディオン、トランペット、バイオリン、ピアノの4つの楽器をそれぞれ1カ月ずつ試してみることができるコースもあります。無理強いをして音楽が嫌いになってしまっては元も子もないので、日本で見られるようなスパルタ式音楽教育は小数派のようです。

音楽学校のカフェ
音楽学校のカフェ

音楽学校の本館はエギディエントア広場(Aegidientorplatz)のそばにありますが、市内各地50カ所でレッスンを行っています。幼稚園や学校に出向いて行う出張音楽教室もあり、子どもたちが気軽に音楽に触れる機会を提供しています。夏祭りではコンサートが開かれるほか、様々な楽器を試す機会としても人気です。また、本館のカフェは職業訓練生が運営しているとあって、手頃な値段で手作りのランチやケーキ、ドリンクを提供しており、学校関係者や生徒以外でも気軽に利用できます。

老若男女に音楽の多様な楽しみを伝える音楽学校。ハノーファーの音楽教育に大きく貢献しています。

ハノーファー音楽学校の情報は、www.hannover.de の「Leben in der Region Hannover」よりご覧いただけます。

田口理穂(たぐち・りほ)
日本で新聞記者を経て1996年よりハノーファー在住。社会学修士。ジャーナリスト、ドイツ語通訳。著書に『市民がつくった電力会社: ドイツ・シェーナウの草の根エネルギー革命』(大月書店)、共著に「お手本の国」のウソ(新潮新書) など。

 
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